ワーナーブラザース・ディスカバリー1Q24決算(2024/5)

はじめに

2024年5月9日(木)には自分が所有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)の2024年第1四半期決算発表があった。

前回の決算発表では市場予想に届かない決算や通期見通しが不明だったこともあって前日比10%近い大幅下落で

「今後のワーナーブラザース株だが、2023年第4四半期の売上/一株当たり利益が予想に届かなったことに加え、今後の具体的な見通しがはっきりしないことを踏まえると、残念ながら余程の事が無い限りしばらく上昇に転じることはないのだろう。」

と書いており、その後3月にも同業パラマウントの投資格付けアップデートの類推からか6%を超える下落があり振るわないパフォーマンスだった印象。

そんな状況の中今回の決算及び株価はどうなったのか。以下ワーナーブラザースの決算内容と株価を確認し整理しておく。


ワーナーブラザース・ディスカバリー2024年第1四半期決算概要

以下の内容は、ワーナーブラザース・ディスカバリーの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2024年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は99億5800万ドル、前年同期は100億7000万ドルで為替の影響を除いて7%減少
  • 2024年第1四半期のシリーズA株希薄化後1株当たりの純(損失)利益(Net (loss) income per share allocated to Warner Bros. Discovery, Inc. Series A common stockholders Diluted)は0.40ドルの損失、前年同期は0.44ドルの損失

事業部別業績

【スタジオ部門】

売上は28億2100万ドルで前年同期比12%減(恒常為替ベースでは13%減)、Adjusted EBITDAは1億8400万ドルで前年同期比70%減(恒常為替ベースでも70%減)。

昨年同期は「Hogwarts Legacy」がヒットしたが今四半期は特に目立ったタイトルがなく、また全米脚本家組合/全米映画俳優組合のストライキによる影響で特にTV収入が大幅減少したことが響いている。

【ネットワーク事業】

売上は51億2500万ドルで前年同期比8%減(恒常為替ベースでも8%減)、Adjusted EBITDAは21億1900万ドルで前年同期比8%減(恒常為替ベースでも8%減)。

前年同期はあったAT&T SportsNetの撤退、有料TV視聴者の減少や米国での広告市場の軟化による売上減少が影響している。

【DTC事業】

売上は24億6000万ドルで前年同期比ほぼ横ばい(恒常為替ベースでもほぼ横ばい)、Adjusted EBITDAは8600万ドルで前年同期比72%増(恒常為替ベースでは59%増)。

広告収入は増加したもののコンテンツ収入の減少で相殺されたが、前四半期マイナスだったAdjusted EBITDAが再びプラスになっている。

DTC加入者数

  • 有料ストリーミング加入者の総数は今四半期190万増加し合計9960万

2024年見通し

2024年の見通しについては前回と同様資料での発表は無く

  • Warner Bros. Discovery, Inc. may provide forward-looking commentary in connection with this earnings announcement on its quarterly earnings conference call

とカンファレンスコールで言及する可能性があると述べるに留まっている。

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • フリーキャッシュフローは季節的に最も低かった四半期にもかかわらず前年同期比13億ドル改善し約4億ドル
    • フリーキャッシュフローの主な用途バランスシートの健全化
    • 第1四半期に10億ドルを超える負債を返済
  • MAXは今年の初め以来ラテンアメリカの開始により米国の単一市場から39の国と地域に拡大し、今後数週間でヨーロッパの25以上の追加市場でサービスを展開
  • 昨日今夏から米国でウォルト・ディズニーとDisney+、Hulu、Maxのストリーミングバンドルを提供することを発表(価格等は未発表)
  • 広告面では全社の広告売上高は当四半期で7%減少したが、第2四半期は現在に至るまで改善傾向が見られている
  • 誰もが一番重要と考えているであろうNBAとの放映権については、約40年に渡ってパートナーシップを築いてきており、双方にとって意味のある合意に達することができることを期待(Hopeful)している
  • DTCは第2四半期も記録的な四半期となることが予想されるが、コンテンツ収入が46% 減少した第1四半期と同様に第2四半期も困難な状況が続くと想定

カンファレンスコールでは前日発表されたディズニーとのストリーミングサービスバンドルに関する質問が多かったが、具体的な情報の開示は特に無し。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2024年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は99億5800万ドル、市場予想の102億3000万ドルを下回っている
  • 2024年第1四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)は0.44ドルの損失、市場予想の0.24ドルの損失より悪くなっている

となっている。


まとめ

上記の様な決算発表を受けてワーナーブラザース・ディスカバリーの株価は

前日比3.08%の上昇。同日の米国市場も

前日比でやや上昇して終えているが、ワーナー・ブラザース株の上昇はそれ以上。しかし日中の株価の動きを見てみると

昼付近からは前日比プラスを維持して取引を終えてはいるが、午前中は何度も前日比下落となる方向性が見えない展開だった。第1四半期決算内容が市場予想を下回ったこと、前日発表されたディズニーとの協業(ただし詳細は不明)、NBAとの交渉、バランスシートの健全化など株価に影響を与えそうな事柄が市場で様々に受け止められた結果なのだろう。

年初来のワーナーブラザースの株価推移を見てみると

前回決算以前は右肩下がりで決算発表で大幅下落。その後は何とか粘って株価を維持して今回決算を迎えてやや上昇。決算翌日も上昇しているが市場(S&P 500)が9.49%上昇しているのに対して28.38%下落と酷いパフォーマンスになっている。

今後のワーナーブラザース株だが、決算発表で目立った好材料が無く株価上昇も限定的だったことを考えると相変わらず株価上昇は望めない日々が続くのだろう。ディズニーとの協業も起爆剤になるとは思えない。何とか次四半期決算で良い結果を示して欲しいものだ。

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