ウォルトディズニー(DIS)2024年1Q決算(2024/2)

はじめに

2024年2月7日(水)の米国市場閉場後には自分の所有銘柄であるウォルト・ディズニー(DIS)の2024年第1四半期決算発表があった。ディズニーの今回決算は自分の所有銘柄の多くが2023年第4四半期であるのとは異なり、2024年第1四半期。ただし期間は概ね同じで10~12月の3ヶ月。

前回2023年11月の決算まとめ時には

「今後のディズニー株だが、決算内容からは特段の悪材料は見当たらず俳優のストライキが終わったことも加味すると、ここ半年の低調ぶりからは回復が見込めそうな気がする。何とか上昇基調に転じて欲しいものだ。」

と書いていたのだが今回の決算結果とその後の株価はどうだったのか。以下決算内容を確認し整理しておく。


ウォルト・ディズニー2024年第1四半期決算概要

以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2024年第1四半期の売上高(Revenues)は235億4900万ドル、前年同期は235億1200万ドルで前年同期とほぼ同じ
  • 2024年第1四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は1.22ドル、前年同期は0.99ドルで前年同期比23%の増加

事業部別業績

【Entertainment】

Entertainmentの売上は前年比7%減の99億8100万ドル、営業利益は8億7400万ドルで前年祖同期は3億4500万ドル。

Linear Networksの売上は前年比12%減の28億300万ドル、営業利益は7%減の12億3600万ドル。主に広告/アフィリエイトの減少が原因。

DTCの売上は前年比15%増の55億4600万ドル、営業損失は86%減の1億3800万ドルの損失。改善の主な理由として値上げと加入者増、制作コスト削減を挙げている。

Content Sales/Licensing and Otherの売上は前年比38%減少の16億3200万ドル、営業損失は2億2400万ドル。これは主に前年の「Black Panther: Wakanda Forever」及び「Avatar: The Way of Water and Strange World」に比べ今四半期の「The Marvels」と「Wish」が不振であったため。

Direct-to-Consumerの中核をなすディズニー・プラス、Huluの2024年第1四半期末有料視聴者数と月平均利用額は以下の通り。

【有料視聴者数(単位100万)】

Disney+ Coreの加入者数は1億1130万で前四半期から130万の減少、インドのDisney+ Hotstar加入者数は3830万で前四半期から790万増か。Disney+全体では1億4960万と前四半期から60万減少。

Huluは前四半期から120万増。

【月平均利用額】

基本的には価格改定により前年比で上昇しているが、北米、インドを除いた地域ではプロモーションの利用によりやや減少している。

【Sports】

Sportsの売上は前年比1%増の40億7300万ドル、営業利益/損失は1億300万ドルで前年同期比37%改善。主に大学フットボールの番組制作コストが減少したことで北米ESPNの営業利益は増加したが、Starでの ICC Cricket World Cup製作費(放映権料)が増加したため、インドでの営業損失が拡大している。

【Experiences】

Experiencesの売上は91億3200万ドル、前年同期は85億4500万ドルで7%増加、営業利益は31億500万ドル、前年同期は28億6200万ドルで8%増加。前年同期COVID-19のため58日間の営業だった上海ディズニーリゾートが今四半期は全営業日オープンだったことや香港ディズニーリゾートでの売上が好調だったことが売上/営業利益増に寄与している。国内での営業利益が僅かながらも減少したのは前年同期が50周年だったことやインフレのため。

2024年通期見通し

ディズニーは通常通期見通しを明らかにしていなかった印象がある(もしかしたら自分の勘違いかもしれない)のだが、今回第1四半期決算発表のタイミング(通常の企業は第4四半期決算のタイミングで翌年の通期見通しを発表する)で以下の様な見通しを提示ている。

  • 2024年通期の特定項目を除く一株当たり利益:約4.60ドル(2023年比で少なくとも20%増加
  • フリーキャッシュフロー:約80億ドル

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 決算発表前日にテレビを視聴しない若年層を取り込むため、スポーツ・ストリーミング・サービスを今年の秋以降に開始すると発表
    • ディズニー、フォックス、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの共同プラットフォーム
    • 3社が出資して新会社を設立し、米プロフットボールリーグ(NFL)やプロバスケットボール(NBA)などそれぞれが持つスポーツ放映権で新サービスを立ち上げる。サービスの名称は未定
  • 決算発表当日「フォートナイト」を開発する米エピックゲームズに15億ドルを出資(株式取得)すると発表
    • ディズニーやピクサーなどのキャラクターと交流できる「巨大なディズニーの世界」を作り上げると説明
  • スポーツ専門放送局ESPNの配信サービスを恐らく2025年8月から開始する
  • 2016年に製作した長編映画「Moana」の続編を2024年11月27日に全米公開すると発表
    • 2016年のオリジナル映画「Moana」は、最近 Disney+でのストリーミング時間が1億時間を超え、米国のあらゆるプラットフォームで2023年に最も多くストリーミングされた映画となった
  • 昨年再開した半期配当(受取は2024年1月)を@0.30ドルから@0.45ドルに50%増配することを決定
  • 2018年以来はじめて2024年度に30億ドルの自社株買いプログラムを実施することを取締役会が承認
  • 2024会計年度末までにDTC事業を黒字化する目標は変わらない
  • 2024年第1四半期に全体で5億ドルのコスト削減を行い、今年度末までに75億ドルを削減する目標を達成できる
  • Disney+ Coreの有料加入者数は第2四半期に550万~600万増加すると想定
  • この夏から不適切な共有が疑われるDisney+アカウント対策機能が提供開始される
    • 2024年の後半まではこれらの有料共有イニシアチブから顕著な利益が得られるとは期待していない

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2024年第1四半期の売上高(Revenues)は235億1200万ドル、市場予想の236億ドルを下回っている
  • 2024年第1四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は1.22ドル、市場予想の0.99ドルを上回っている
  • 2024年第1四半期末のディズニー・プラス総加入者数は1億4960万、市場予想の1億5020万を下回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算内容を受けてウォルト・ディズニーの株価は

前日比11.5%の上昇。同日の米国市場が

前日比ほぼ横ばいだったのと比べると大幅上昇。決算では売上やディズニー・プラス総加入者数は市場予想を下回ったものの、それ以外は5年以上振りの自社株買い実施、配当50%増、エピックゲームズの株式取得、2024年通期の特定項目を除く一株当たり利益が2023年比で少なくとも20%増、DTC事業の黒字化目標の堅持、Disney+ Coreの有料加入者数が第2四半期に550万~600万増加する、等々ポジティブな発表が多かったことが急上昇の原因だろう。

前回決算以来のディズニー株推移を見てみると

冒頭に挙げたように前四半期決算以降はほぼ市場(S&P 500)と同等のパフォーマンスであり、決算発表を受けて市場を大きく上回るパフォーマンスとなっている。ただし、決算翌日の取引では2%近く下落している。前日の大幅上昇による反動だろうか。

今後のディズニー株だが、ここ3ヶ月の株価推移や最新の決算内容での発表が正だとすると期待が持てそうではある。ただ個人的には今回減少したDisney+ Coreの有料加入者数が本当に第2四半期に550万~600万増加するのかという点で不安は残る。何とか想定通りに物事が進み堅調な株価推移となって欲しい。

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