はじめに
2023年12月も終盤となって米国はクリスマス休暇ということもあり、今週は落ち着いた動きが続く可能性が高いと思っていたのだが、気が付くと自分が所有するブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)は掲題の通りこの時期になって立て続けに買収を発表している。
以下、買収の内容と市場の反応について確認しておく。
2023年12月終盤のブリストル・マイヤーズの買収発表
情報はブリストル・マイヤーズの企業ページより引用・抜粋。
12月22日(金)のKaruna Therapeutics(KRTX)買収
- ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)とKaruna Therapeutics, Inc.(KRTX)は本日、最終的な合併契約を締結したと発表
- ブリストル・マイヤーズは、Karunaを1株当たり現金330.00ドルで買収することに合意し買収額は140億ドル
- 買収資金の調達は新規債権の発行を想定
- 取引の資金調達コストから2024年にブリストル・マイヤーズの非GAAP希薄化後1株当たり利益を約0.30ドル希薄化させると想定
- Karuna株主の承認や必要な規制当局の承認などの慣例的な完了条件を条件として、2024年上半期に取引完了する予定
- Karunaは精神疾患や神経疾患を抱える人々に革新的な医薬品を発見、開発、提供することを目指しているバイオ医薬品会社
- Karunaの主要資産は統合失調症治療薬KarXTで2024年後半に米国で発売される予定
- またKarXTは統合失調症の補助療法、アルツハイマー病精神病の臨床試験を実施中
12月26日(火)のRayzeBio, Inc.(RYZB)買収
- ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)とRayzeBio, Inc.(RYZB)は本日、最終的な合併契約を締結したと発表
- ブリストル・マイヤーズは、RayzeBioを1株当たり現金62.50ドルで買収することに合意し買収額は約41億ドル
- 買収資金の調達は新規債権の発行を想定
- 取引の資金調達コストから2024年にブリストル・マイヤーズの非GAAP希薄化後1株当たり利益を約0.13ドル希薄化させると想定
- 合併契約の条件に基づき、ブリストル・マイヤーズは直ちに公開買い付けを開始し、発行済み普通株式の過半数の取得、RayzeBio株主の承認や必要な規制当局の承認などの慣例的な完了条件を条件として、2024年上半期に取引完了する予定
- RayzeBioは臨床段階後期の放射性医薬品を手掛けている企業
発表を受けてのブリストル株
ブリストルがKarunaの買収を発表した12月22日(金)の米国株式市場は
ほぼ前日と変わらずだったが、ブリストル株は
2.01%とまずまずの上昇。
そしてブリストルがRayzeBioの買収を発表した12月26日(火)の米国株式市場は
いずれも前日比やや上昇したがブリストル株は
1.61%の下落となっている。
Karunaは統合失調症治療薬KarXTが2024年後半に米国で発売予定(PDUFA date:Prescription Drug User Fee Act date(FDAによる審査終了目標日)が2024年9月26日)でブリストルへの貢献見通しがある程度立っている一方で、RayzeBioの放射性医薬品は後期とはいえ未だ臨床段階で見通しが不明瞭なことがブリストル株の動きに影響しているのだろうか。
ちなみにブリストルの買収対象の両社株は発表後にKarunaは約50%、RayzeBioは約100%上昇して取引を終えている。
まとめ
2023年末のブリストル・マイヤーズの2社買収について整理してみた。年末ということもあってか株価への影響は意外と軽微。
ブリストルは2023年第3四半期決算発表で、新製品ポートフォリオの目標を従来の2025年に100~130億ドルから2026年に100億ドル以上にしたことが嫌忌されて6%を超える大きな下落をしたのだが、これら買収で新製品ポートフォリオの拡充を狙っているのだろう。
買収対象の両社ともにブリストルへの将来的な貢献数値は定かではないのだが、結果として買収が成功だったと言える様になることを期待したい。
年初来のブリストル株は
市場が概ね上昇していた(24.36%上昇)のに反して右肩下がり(28.40%下落)の1年となってしまっている。来年2024年も特許切れ製品の売上が減少して厳しい状況が続きそうな気はするが、何とか現在の株価水準程度を維持してもらいたいものだ。