JPモルガン・チェース2020年第1四半期決算(2020/4)

はじめに

新型コロナウイルスの影響が顕著になってから自分の所有銘柄で初めての決算発表となるJPモルガン・チェース(JPM)の2020年第1四半期決算が、昨日2020年4月14日の米国市場開場前に発表された。以下にその内容を整理してまとめておく。


JPモルガン2020年第1四半期決算発表まとめ

以下の内容はJPモルガン・チェースの企業サイトからの引用・抜粋。

  • 総収入(Managed Revenue)は290億6900万ドルで、前四半期比とほぼ変わらず、前年同期比3%減少
  • 純利益(Reported net income)は28億6500万ドルで、前四半期比66%減少前年同期比69%減少
  • 1株あたり純利益(EPS)は0.78ドルで前四半期より70%減少前年同期比71%減少
  • 純金利マージン(調達金利と貸付金利の差)は2.37%で前四半期の2.38%から低下

純利益(Reported net income)ひいては1株あたり純利益(EPS)が急減しているのは、

Provision for credit losses(貸倒引当金)が前四半期の14億2700万ドルから82億8500万ドルと急増していることが原因。

発表資料の中でも会長兼CEOのJamie Dimon氏はJPモルガンの財務状況に関して以下の様に述べている。

  • “The company entered this crisis in a position of strength, and we remain well capitalized and highly liquid – with a CET1 ratio of 11.5% and total liquidity resources of over $1trillion. And JPMorgan Chase performed well in what was a very tough and unique operating environment – growing deposits in every line of business and providing loans as we extended credit and served as a port in the storm for our clients and customers. In the first quarter, the underlying
    results of the company were extremely good, however given the likelihood of a fairly severe recession, it was necessary to build credit reserves of $6.8B, resulting in total credit costs of $8.3B for the quarter.”
    「当社はこの危機において強い立場に立ち、CET1比率*は11.5%、流動性リソースの合計は1兆ドルを超え、十分な資本と流動性を維持しています。また、JPMorgan Chaseは、非常にタフでユニークな運用環境で好調に推移しました。すべての事業で預金が増加し、融資を提供し、顧客のせめてもの救いとして機能しました。第1四半期の業績は非常に良好でしたが、かなり深刻な景気後退の可能性を考えると、68億ドルの信用準備を構築する必要があり、四半期の総信用コストは83億ドルになりました」

*CET1:Common Equity Tier 1。金融機関の自己資本の構成項目の一つで、中核的自己資本(普通株式・内部留保等)の事


まとめ

いつもならここで市場予測と主要数値の確認をしていたのだが、今回はそれにあまり意味はなさそうなので割愛。

アナリストとのカンファレンスコールも確認はしたのだが、この状況下のせいか仮定の話が多かった気がする。例えばCFOのJennifer A. Piepszak氏は以下の様にアナリストの質問に対して答えていた。

  • as we close the books for the first quarter, just to give it context, we were looking at an economic outlook that had GDP down 25% in the second quarter and unemployment above 10%.
    第1四半期を締めくくるにあたり、状況を説明するために、第2四半期のGDPが25%減少し、失業率が10%を超える経済見通しで検討していました
  • Since then, as I noted in my prepared remarks, our economists have updated their outlook and now have GDP down 40% in the second quarter and unemployment at 20%. That’s obviously materially different. Both scenarios, though, do include a recovery in the back half of the year.
    それ以来、準備した備考で述べたように、我々のエコノミストは見通しを第2四半期のGDPは40%減少し、失業率は20%と更新しました。それは明らかに物質的に異なります。ただし、どちらのシナリオにも年度後半の回復が含まれています

まだまだ信頼度の高い見通しを提供するのは難しいのだろう。

この決算発表を受けてのJPモルガン・チェースの昨日の株価は、

2.74%のマイナス。ダウ工業平均が2.39%、S&P 500が3.06%それぞれ上昇していたことを考えると大幅な下落。やはり貸倒引当金の積み増しや、先行きの不透明さが嫌気されたのだろう。

JPモルガン・チェースの発表は米国の主要企業のほぼ最初であり、今後その他の企業の決算発表が続くことになる。怖いのは、自分の中ではJPモルガンはまだマシな方だと思っていたのだが、株価が大きく下落している点。

本日4月15日の米国市場開場前には、自分の所有比率が高いシティグループ(C)の決算発表があるのだが、JPモルガンよりも悪い内容になりそうな気がするのだよなあ…。

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