はじめに
米現地時間2023年7月25日(火)、26日(水)には2023年5回目となるFOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)が開催された。
現在米国企業の四半期決算(主に2023年4~6月期)が本格化しており、26日も自分の所有銘柄ではボーイング(BA)、コカ・コーラ(KO)、AT&T(T)が決算を発表している。
各個別企業の決算内容も気になるのだが、FOMC結果は市場全体に影響を与える可能性が高いのでその内容を先に確認し整理しておくことにする。
2023年7月25日、26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果及びパウエル議長の発言まとめ
FOMC会合結果
以下は米連邦準備制度理事会(FRB)のサイトで現地時間14時に公開されたFederal Reserve issues FOMC statement(FOMC声明)より引用・抜粋。
前回からの主な変更点等は以下の通り。
【最近の経済】【金融システムに関して】
前回とほぼ変わらず
【今後の政策金利決定に関して】
- the Committee decided to raise the target range for the federal funds rate at 5-1/4 to 5-1/2 percent
委員会はフェデラルファンド金利の目標誘導レンジを5.25~5.50%に引き上げることを決定した
前回はmaintain(維持)だったが、今回は0.25%のraise(引き上げ)となっている
- The Committee will continue to assess additional information and its implications for monetary policy
委員会は追加の情報と金融政策への意味を引き続き評価する
前回は金利据え置きだったため上記文章の前に「今会合で誘導目標レンジを据え置くことで」という説明があったが、今回はそれが無くなっている程度で内容は変わらず。
0.25%の利上げが行われた以外は、FOMC声明全体はほぼ前回と変わらない内容だった。
パウエル議長の発言
以下はFOMC会合結果開示後のパウエル議長の会見における主な発言より。
- 政策は期待された効果を完全に得られるほど十分に抑制的でなく、期間も不十分だと我々は認識している
- 改めて我々は、インフレ率が2%目標へと持続的に低下していると確信するまで政策を抑制的なものに維持する意向であり、適切だと判断されれば追加引き締めに動く用意がある
- このプロセスには恐らくまだ長い道のりが残っていると思われる
- (FOMCは1会合置きの利上げに傾斜しているのか)将来の政策行動については何も決定していない。会合ごとに判断していく
- データが正当化すれば9月会合で再び利上げする可能性は当然あると言える。そして、同会合で金利据え置きを選択する可能性もあると言っておく
- 連続した会合での利上げを議論の対象から外してはいない
- (FRBの)スタッフは現在成長の顕著な減速が年内に始まると予想しているが、最近の経済に見られる強靱性から、もはやリセッションは見込んでいない
- 年内の利下げはないだろう
FOMC会合結果及びパウエル議長の発言を受けての市場
米国主要3市場
更に細かくS&P 500の日中の動きを見てみると
となっており、FOMC声明が発表された14時は株式市場の反応はほとんど無し。パウエルFRB議長の会見が始まった14時半からは大きく上昇して一時前日比プラスとなる局面もあったが、すぐに会見前と同程度に戻って最終的には前日とほぼ変わらずで取引を終えている。
市場の予想では0.25%の利上げが本命であり、パウエル議長の会見も結局全体ではこれまでの会合ごとにデータ、しかも1度のデータだけではなく判断するというスタンスを変えてはいないことから最終的には大きな影響がなかったのだろう。
米国債長期金利(10年債)
米国債長期金利(10年債)の利回りの日中変化は以下の通り。
こちらは14時半開始のパウエル議長の会見中の15時が取引終了ということもあってか、14時半から利回りが低下したまま終えている。ただ株式市場は15時過ぎに下落に転じているので、本日の利回りがどうなるかは不透明。
また前回のFOMC時にも書いたが相変わらず10年債と2年債で逆イールド現象が続いている。
ドル円為替
ドル円為替の日中変化は以下の通り。
FOMC声明が出た米国東部夏時間14:00は上記チャートのBST(英国夏時間)では19:00。FOMC声明の19:00では反応薄で19時半からドル安になり140円前後まで。その後は方向感に欠ける動きが続いている。
まとめ
2023年7月のFOMC及びパウエル議長の会見は市場の想定内であり、新たな発言もなかったことから、パウエル議長の会見時に少し上下動があったものの無難にイベントを通過したと言えるだろう。
パッと見た感じでは先に挙げた同日に決算発表のあった自分の所有しているボーイング(BA)、コカ・コーラ(KO)、AT&T(T)とも、株価の動きにFOMCの影響を受けた様には見受けられなかった。
ここ数回はこのFOMC及びパウエル議長の会見というイベントを穏当に通過している印象があるので、次回9月19、20日のFOMCも市場に大きな動きが無いことを期待したい。そしてその間に発表される各種経済指標もインフレ抑制の効果が反映され、最終的には米国市場が緩やかな景気後退程度で乗り切ってくれるといいのだが。