はじめに
2023年5月1日(月)には、日本でも報道されたように3月の米銀2行破綻に続き4月24にの決算を受けて一日で60%株価が下落したファースト・リパブリック・バンクが破綻することになった。
ここ最近は自分が所有している銘柄の決算発表を確認してそのまとめも追い付いていないのだが、やはりこの新たな米銀破綻は気に掛かるところなのでこちらの状況を確認し整理しておくことにする。
ファースト・リパブリック・バンクの破綻に関する報道まとめ
以下は主にブルームバーグの報道より。
- ファースト・リパブリック・バンクが5月1日に米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれる
- その後JPモルガン・チェースがファースト・リパブリック・バンクを買収し、融資債権約1730億ドル、証券300億ドル相当、預金920億ドルを引き取る
- JPモルガンとFDICはファースト・リパブリック・バンクの一戸建て住宅向けローンおよび商業用ローンからの損失と回収額を分け合う
- JPモルガンは買収を巡り26億ドルの一時利益を計上する予定で、今後1年半で20億ドルの関連再編コストを見込む
- JPモルガンは買収代金としてFDICに106億ドルを支払い、FDICは新たに500億ドルの5年物固定金利ターム融資を提供する
- ファースト・リパブリック・バンクの預金920億ドルの内300億ドルは、JPモルガンを含む他の大手米銀が3月にファースト・リパブリック・バンクの財務を支えるため注入したものだが、JPモルガンは250億ドルを他の大手銀行に返還し自行が提供した50億ドルはファースト・リパブリック・バンク統合とともに消去する
- FDICは資産を民間セクターに置くことで回収額を最大化できるはずだとし、預金保険基金の負担は約130億ドルになると見積もっている
- 全ての規制当局の承認は得られており、取引は完了している
ファースト・リパブリック・バンク破綻及びJPモルガンによる買収報道後の市場
米国株式市場
この日はファースト・リパブリック・バンク破綻の他に、米供給管理協会(ISM)が発表した4月の製造業総合指数が47.1と2020年5月以来の低水準だった前月の46.3から上昇し市場予想の46.8を上回ったこと、そして5月2、3日のFOMC会合を控えて市場が様子見をしていることなどから方向感に乏しい動きでいずれの市場も前日比ややマイナスで終えている。
JPモルガン・チェース(JPM)株
一方JPモルガン株は2.14%の上昇。
最高経営責任者(CEO)のJamie Dimon氏は買収後に以下の様にコメントしている。
- この件は終了に近づきつつある。全ての安定化につながることを期待したい
- (ここ数週間に発表された地銀各行の1~3月期決算は)実際にはかなり良好である
- 完璧な水晶玉はないが、銀行システムは非常に安定していると思う
- 銀行融資はしばらく今回の一連の破綻による影響を受けるだろう
- 金利が上昇し続ければ、他の問題が続くかもしれないが、取りあえず今は誰もが深呼吸をするべきだ
こういった発言や、一部アナリストが今回のファースト・リパブリック・バンク買収はJPモルガンにとってかなりバーゲンであったと指摘したことも影響したのだろう。
ちなみに自分の所有しているシティグループ(C)株も
前日比ややプラスで終えている。
まとめ
個人的にはファースト・リパブリック・バンク破綻という報道を見た時には、また米銀株が大きく下落するのではと懸念していたのだがとりあえずはそのような事態には陥らなかった。ただしあくまで破綻/買収直後のみの結果であり、同日のKBW地域銀行指数(KRX)は2.7%下落したことを考えると、まだ銀行株が安定するかどうかは不透明。
中堅銀行を含めた米銀の1~3月期決算はほぼ終えているため決算を受けての急落はしばらくはないだろうが、今後の状況・政策金利によっては危機的な状況に陥いる銀行があるかもしれない。
取り合えずは5月2、3日のFOMC会合後の政策金利及びパウエル議長の会見がどうなるか、そしてそれを受けて市場、特に米銀株がどう動くかに注目しておきたい。何とか無難に乗り切ってくれるといいのだがなあ。