はじめに
2023年2月7日(火)には自分の持ち株であるデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)の2022年第4四半期決算が発表された。
前四半期の決算時には、決算発表直前に買収を撤回したRogersの資金を自社株買い戻しや長期債の償却に充てると発表したことや、2023年にはコスト圧力が和らぐだろうとカンファレンスコールで発言したことなどを受けて
7%を超える大幅上昇となっていたが、その勢いを保つことは出来たのだろうか。以下決算内容を確認し整理しておく。
デュポン・ドゥ・ヌムール2022年第4四半期決算概要
以下の情報はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第4四半期の総売上(Net Sales)は31億400万ドル、前年同期は32億4600万ドルで前年同期比4%減
- 2022年第4四半期の継続事業による希薄化後1株当たり利益(Earnings per common share from continuing operations – diluted)は0.20ドル、前年同期は0.29ドルで前年同期比31%減
継続事業による希薄化後1株当たり利益が前年比で大きく減少しているのは、主にRogers買収撤回の契約解除手数料に起因している。
- 2022年第4四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.89ドル、前年同期は0.79ドルで前年同期比16%増
事業部別業績
【Electronics & Industrial部門】
売上は前年同期比8%減の13億4300万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)が2%減。
【Water & Protection部門】
売上は前年同期比6%増の14億9700万ドル。既存事業売上高は12%増。
2023年通期見通し
2023年通期及び2023年第1四半期の見通しは以下の通り。
【2023年通期】
- 総売上(Net Sales):123億~129億ドル
- 営業EBITDA(Operating EBITDA):30億~33億ドル
- 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):3.50~4.00ドル
【2023年第1四半期】
- 総売上(Net Sales):~29億ドル
- 営業EBITDA(Operating EBITDA):~7億1000万ドル
- 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):~0.80ドル
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールでの説明・質疑も含めた主な項目は以下の通り。
- 中国がCOVID-19から復活することは(特に下半期の)需要を助けるだろう(中国はデュポン売上の20%を占める)
- 有毒な永久化学物質(Toxic forever chemicals)をめぐるカリフォルニア州司法長官からの訴訟(デュポン単独が対象ではなく3M等も含まれる)で和解に向けて交渉中。6月にPFAS(フッ素化合物)のトライアルが予定されている
- 四半期配当をこれまでの@0.33ドルから@0.36ドル(9%)に増配
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第4四半期の総売上(Net Sales)は31億400万ドル、市場予想の30億8000万ドルを上回っている
- 2022年第4四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.89ドル、市場予想の0.79ドルを上回っている
- 2023年通期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は3.50~4.00ドル、市場予想は3.86ドル
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてデュポン・ドゥ・ヌムールの株価は
7.50%の上昇。同日の米国市場が
昼頃のFRBパウエル議長のエコノミック・クラブ・オブ・ワシントンでのインタビューで大きく上下動し、最終的には大型ハイテク銘柄の上昇がけん引して3市場とも大幅上昇して終えたのと比べてもデュポンの上昇は際立っている。
2023年第1四半期の見通しは前年比で見るとそれ程でも無いが、市場予想を上回る決算内容、下半期ではあるが中国での需要回復示唆、有害化学物質の訴訟和解へのアクション、9%の配当増などの好材料が評価されたのだろう。
過去3ヶ月の株価推移を見ると
今回の決算後の上昇を除いても約20%上昇しており、S&P 500の約10%上昇を上回っている。
今後であるが第1四半期の見通しはさほどではないので、しばらくは上昇余地は限られそうな気がする。そしてもし今回の株価上昇が有害化学物質の訴訟和解へのアクションに拠る所が大きかった場合、訴訟和解が順調に進まなかった場合は大きく下落する可能性もある事は気に留めておきたい。