はじめに
自分は米国株ポートフォリオを主にYahoo! Financeを用いて管理しており、自分の所有銘柄ではティッカーシンボルのアルファベット順でボーイング(BA)が最上部に来るため目に付きやすい。
そして2023年1月6日(金)のボーイング株の終値が
と200ドルを超えているのに気が付いた。昨年末の時点では200ドルを超えてはいなかったと思っていたので確認してみたところ、2022年30日の終値は
やはり190ドルそこそこであり、そこから4営業日で11.8%程上昇したことになる。
調べては見たが特にこれといった大きな上昇要因があった訳では無さそうだったので、ここ最近のボーイング株推移と関連ニュースを整理しておくことにする。
過去1ヶ月のボーイング株推移
過去1ヶ月のボーイング株推移は以下の通り。
これに市場(S&P 500)の推移を加えてみると
期間中S&P 500はややマイナスとなっているのに対して、ボーイング株は20%近く上昇とボーイングの上昇振りが際立つ。12月はS&P 500が下落基調であるのに対してボーイングは緩やかではあるが上昇基調。そして先に挙げたように2023年に入ってからの上昇振りが際立っている。
最近のボーイング株関連ニュース
【2022年12月21日に737MAX認証期限の撤廃決定報道】
上述の株価推移を見てみるとまずは12月21日の上昇が目立つ(翌日は市場の下落もありほぼb前々日の株価に戻っているが)。
この日は以前から懸念されていた年内にボーイング737MAX7、MAX10の認証が取れなければ、操縦席に警告システムを搭載する新たな規制を満たす必要が生じて就航が大幅に後ずれする可能性があったことに対して、前日の時間外後に以下の様な報道がなされたことがボーイング株の上昇要因だったのだろう。
- ボーイングは737MAXの新型機2機にコックピット警報を発するための新たな安全基準を課す迫り来る期限(12月27日)を撤廃するため議会から支持を得た
- 上院商業委員会の委員長であるMaria Cantwell上院議員が提案した既存のMAX航空機の新しい安全強化を要求する法案に免除事項を添付した
- Cantwell上院議員の提案では、既存のMAX航空機に合成強化迎角(synthetic enhanced angle-of-attack)システムを追加し、失速警告と速度超過警告を遮断する機能を追加する必要がある
- また航空会社は737MAX10が認証されてから3年間既存のMAX機を改修することができ、ボーイングがその全ての費用を負担する
ちなみにこの時点ではまだ議会で可決されてはいなかったがその後通過した模様。
【2023年に入ってからの上昇】
明確な理由とは言えないかもしれないが恐らくRobert W. BairdのアナリストPeter Arment氏の最新の評価が影響していると思われる。
投資格付け:Buyで変わらず
目標株価:210ドルから250ドルに上方修正
元々Peter Arment氏はここ1年ボーイングに対しBuyの評価をしている強気のアナリストであるので割り引いて考える必要はあると思うが、目標株価の上方修正と共にボーイング株を2023年の「Top Pick」ともしている。
Arment氏は独自の納入チェックを実施し先月のボーイングで納入活動が大幅に急増したことを指摘している。彼の調査によるとボーイングは68機のジェット機を納入し(うち53機が 737MAX)2022年第4四半期の納入総数は151となり、市場予想を約10%上回っているとのこと。
実際の納入はボーイングより正式発表されていないので、そろそろ発表されるであろう2022年12月の正式な納入数がアナリストの想定と大きく異なる結果となった場合は大きく株価が下落する可能性がある点には注意したい。
まとめ
最近は上記に挙げた以外にも航空機や軍用機の受注報道が複数あり、昨年2022年の一時低迷からは抜け出した感もある。以下は過去1年のボーイング株とS&P 500の推移。
特に2022年11月の投資家向け説明会以降の上昇が際立っている。ただその少し前の10月末に行われた2022年第3四半期決算発表を受けて8%を超える大幅下落となっているので、実際の決算が出るまでボーイングが好調と判断するのは気が早いだろう。
ボーイングの2022年第4四半期決算発表は2023年1月25日に予定されており、何とかここ最近の好調な株価を損なわないような決算結果となってほしい。