はじめに
昨日2022年12月5日(月)の米国市場は
いずれも1%を超える下落と総じて低調だった。こういった市場全体の下落は何らかの理由がある事が多いので確認してみたところ、掲題の米供給管理協会(ISM)が発表した非製造業総合指数(NMI)の件が影響していたらしい。
以下、昨日発表の非製造業総合指数と市場の動きの関連について整理しておく。
2022年12月5日(月)発表の11月ISM非製造業総合指数
以下はISMのサイトより。
市場予想が53.3だったのに対し、実際は56.5と市場予想を上回る上昇。ちなみに右側の12月2日に発表されたISM製造業総合指数(Manufacturing PMI)は49.0と50を下回るのは2020年6月に発表された5月の値以来29ヶ月振り。
先月は54.4とやや下がり市場予想の55.5を下回っていたのだが(6~9月はいずれも市場予想を上回っていた)、今回は再び上昇に転じている。
同日の米国市場下落について
ISM非製造業総合指数、ISM製造業総合指数とも50を目安としてそれを上回ると景気拡大、下回ると景気後退とされている。
今回米市場が下落したのは11月30日のFRBパウエル議長講演で12月の米利上げのペースが減速するのではという観測が、発表されたISM非製造業総合指数が予想外に上昇したことで利上げペースを維持する可能性もあると市場が捉えたためだろう。
一方で12月2日に発表されたISM製造業総合指数の予想外の低下を受けて米国市場が然程変わらなかった
のは、パウエル議長の講演で既に利上げペースが減速する可能性が示唆されて市場に織り込まれており、発表されたISM製造業総合指数の結果がその流れと変わらなかったためだろう。
同日のドル円為替について
米利上げの幅が大きいと、日米金利差が広まりドル資産の方が有利になる可能性が高まるため円売りドル買いとなる傾向が高い。11月末のパウエル議長講演以降のドル円為替の動きを見てみると
講演のあった11月30日(上記チャートはGMTのため12月1日)から、米利上げが減速するとの観測からドルが売られて円を買う動きが主流でドル安になっていたのだが、予想外のISM非製造業総合指数を受けてドル高に転じている。
まとめ
個人的にはISM非製造業総合指数、製造業総合指数は米国市場にとって重要な指標ではあると認識はしていたが、これ程大きく市場に影響を及ぼしたのは意外の感がある。
上述した通りFRBパウエル議長講演で示唆された12月の利上げペースが落ちるとの市場見通しが、今回のISM非製造業総合指数が予想外に高かったことから利上げペースが現状維持かもしれないという憶測が台頭してきたためだろう。そういった意味では今回のISM非製造業総合指数はサプライズだったため市場が大きく動いたのかもしれない。
ここ最近の各種米国指数は自分が思っているよりもFRBの利上げに影響を与える、つまり米国市場を大きく動かす可能性が特にFRBの方向性と合致しない場合にあるのかもしれない。
ちなみに自分の資産に関して言うと、昨日の米国株資産は
市場と同様大きく下がったのだが、円ベースの資産では
とドル高の恩恵を受けてドル程はしていない。ドルベースの資産が大きく減少しているので手放しでは喜べないが、円ベース資産の下落が限定的であったことを有難く思うべきだろう。
しばらくは米市場、ドル円為替共に神経質な動きが続きそうだが、既に完全リタイアして配当金生活をしている身としてはドル配当が減らずに生活費に充当する際の変換レートでの為替差益が多くならないのがベストなので、望むらくはドルベースの資産が増え為替がドル安傾向になって円ベース資産の総額がそこそこ増加していって欲しいものだ。