はじめに
2022年9月5日には10月の生産量を決定するOPECプラスの閣僚級会合が行われた。
ここ最近特に8月下旬以降米国市場は低調な状況となっており、そのような状況を踏まえOPECプラスが今後の原油生産をどのように決定したのか気になるところ。
以下今回のOPECプラス会合結果内容を確認し整理しておく。
2022年9月5日のOPECプラス会合まとめ
以下は主にロイター、ブルームバーグの報道などより引用・抜粋。
【会合前】
- 8月22日にブルームバークがサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相へ行ったインタビューで、先物市場の流動性の乏しさとマクロ経済への懸念を背景とする直近の原油価格の下げに対応するために石油輸出国機構(OPEC)には減産する用意があると発言
- 8月31日にロイターがOPECプラス関係筋の話として、一部OPECプラス加盟国の生産不足を背景に、2022年の原油市場の供給過多は日量40万バレルと従来見通しを大幅に下回るとの見方を示したと報道
- またロイターが入手した報告書では、OPECプラスの共同技術委員会(JTC)が今年の石油需要は日量310万バレル増加すると予想しながらも、物価上昇と金融引き締めで消費者の家計が圧迫される中不確実性が高まっていると指摘。エネルギー価格の上昇は将来的に追加リスクとなり、特に年末にかけてエネルギー価格の上昇は予想以上に大幅な消費減退につながる可能性があるとしている
【会合結果】
- OPECプラスは5日の閣僚級会合で10月の供給を日量10万バレル引き下げることで合意
- 2020年5月から実施した大幅な協調減産を2021年初めから段階的に縮小して供給を拡大してきたが、今回は小幅だがそれ以降で初の減産
- 市場の変動が続くようであれば、OPECを主導するサウジアラビアがいつでも臨時会合を開催することができることでも合意
- OPECプラスの次回閣僚級会合は10月5日予定
【会合後】
- ロシアのノバク副首相は、OPECプラスの減産決定は世界経済の成長が鈍化するとの見方が背景と発言
- サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、今回の決定はツールキットのあらゆる手段を駆使する意思の表明だ。ささやかな微調整は、市場参加者と業界の利益のため、市場の効率的機能と安定を支える点で注意深く、先手を打ち積極的に動く姿勢を示すものだと発言
- ホワイトハウスのジャンピエール報道官はOPECプラスの減産合意を受け、バイデン米大統領がエネルギー供給を強化し価格を引き下げるために必要なあらゆる手段を講じることを確約したと発表
まとめ
僅かながらも10月の供給を引き下げるというOPECプラスの決定は、各国で続くインフレや景気後退の懸念、8月末に中国の深セン、広州市の一部で新たなCOVID-19規制が実施されたことなどが原因だったのだろう。
上記の様なOPECプラス会合の結果を受けて9月5日のニューヨーク原油先物は
一時上昇したものの、その後ホワイトハウスの発表により前日とほぼ変わらない水準で終えている。9月5日は米国がLabor Dayで祝日だったことでそれ程動きが無かったのかもしれない。
年初来で見ると
それなりに上下動はあるものの6月に1バレル=120ドルを突破した時点からは概ね下落傾向となっている。小売価格に反映されるまでは時間がかかるが、最近の米指標ではエネルギー関連の小売価格がやや落ち着いてきた感もある。
となると気になるのは原油先物価格に依存することが大きい自分が所有しているエクソン・モービル(XOM)の株価だが過去1ヶ月で見ると、
ニューヨーク原油先物、市場(S&P 500)はマイナスとなっている一方で、エクソン株はプラスとなっており、予想外に健闘している。
過去1年で見ても
エクソン株は6月末まではニューヨーク原油先物とほぼ連動していたが、7月以降はそれよりも良いパフォーマンスとなっている(S&P 500とは比べるまでもない)。自分の米国株資産全体が大崩れしていないのは、エクソン株がその他銘柄の下落をある程度カバーしてくれているおかげでもあるので、はっきりした理由は不明だがこのまま原油先物と関係なくエクソン株が好調を維持してくれると有難い。