はじめに
最近、自分が所有している米国株の中で一番割合の大きいシティグループ(C)に関する掲題のニュースがあったので、以下に内容を確認し整理しておく。
2022年6月2日のブルームバーグ・ロー報道
元々ブルームバーク・ロー(Bloomberg Law)が6月2日の米国市場閉場後に報じているのだが、以下はブルームバーグ及びロイターの報道から引用・抜粋。
- シティグループは、先月(2022年5月)に欧州株式市場のフラッシュクラッシュ(瞬間的暴落)を引き起こしたロンドン在勤トレーダーの入力ミスの影響で、少なくとも5000万ドルの損失を計上する可能性がある
- シティはなお損失額を算定中で最終的にさらに膨らむ可能性がある
- ロンドンのDeltaOneトレーディング部門のトレーダーが英祝日の5月2日に自宅で勤務中、欧州市場の早い時間の取引でゼロを一つ多く入力するミスを犯したことがフラッシュクラッシュの原因
- 現時点では原因は在宅勤務ではなく人為的ミスとシティは結論付けている
- シティの広報担当者はコメントを控えた
この報道を確認してまとめた理由
この2022年6月2日米国市場閉場後の報道を受けてシティグループ株は確かに市場(S&P 500)や同業のJPモルガン・チェースに比べて下げ幅は大きいのだが
動き自体は市場やJPモルガンとそれ程変わらないので、わざわざまとめる必要もないかと思っていた。
しかしつい最近シティグループ(C)の投資格付けアップデートをまとめた
シティグループ(C)の投資格付けアップデート(2022/5)
際にアナリストが投資格付け下方修正の根拠として、他行に比べて以前問題のあったリスク管理、データの品質管理、内部統制に関するインフラ投資(コスト)に言及していたのを思い出し確認した次第。
報道ではシティは人為的ミスと結論付けているらしいが、そもそも1回の人為的ミスで5000万ドルの損失が発生し得るシステムとなっているのは、未だシティのインフラがリスク管理、データの品質管理、内部統制の面で問題がある様にも思われる。
まとめ
報道とシティ株の動きだけを見ると今回のシティの5000万ドル損失報道は人為的ミスということもあり、とりあえず株価への影響も限定的に見受けられる。
ただしよく見ると損失額は「少なくとも5000万ドル」と今後膨らむ可能性もあり、人為的ミスについても先に挙げた様な理由から、シティのインフラが他行に比べてまだ見劣りし、さらに追加コストがかさむ可能性もあり得る。そして規制当局が再びシティのシステムに対して調査等をする可能性もゼロではない気が個人的にはしている。
直近1ヶ月ではシティ株のパフォーマンスは
同じ米銀のJPモルガンよりは悪く、市場(S&P 500)に比べるとややマシという事になっている。しばらくはこの件に関する続報に注意すると共に、例年6月下旬に結果が公表される米銀ストレステストがどうなるかを待つことにしたい。
先日シティグループ(C)の投資格付けアップデートをまとめた際には
「米銀ストレステストを上手く乗り切って、何とか3年(12四半期)据え置きとなっている配当を増やして欲しいのだがなあ」
と書いたのだが、前回の投資格付け下方修正や今回の報道を考えると残念ながら配当増は期待しない方が良さそうな気がしてきた。はあ。