はじめに
2022年5月11日の米国市場閉場後に自分の所有銘柄であるウォルト・ディズニー(DIS)の2022年第2四半期決算発表があった。
先日ウォルト・ディズニーと同様にストリーミングサービスを提供しているネットフリックス(NFLX)が決算を受けて前四半期に続き急落したこともあり、AT&Tから分離して保有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)も冴えない動きをしている。
それもあってウォルト・ディズニーのストリーミングサービスであるディズニー・プラスの状況に気を付けながら決算の内容を確認しておく。
ウォルト・ディズニー2022年第2四半期決算概要
以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第2四半期の売上高(Revenues)は192億4900万ドル、前年同期は156億1300万ドルで前年同期比23%の増加
- 2022年第2四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は1.08ドル、前年同期は0.79ドルで前年同期比37%の増加
売上に関しては、主にDTCサービスでコンテンツを使用するため過去数年間に配信された映画及びテレビコンテンツのライセンス契約を早期に終了したことにより10億ドルの悪影響があったとしている。
また主に外国所得に対する実効税率が今四半期に発行された税法の影響を以下の様に受けているため利益に影響を与えている。
事業部別業績
【Disney Media and Entertainment Distribution】
Disney Media and Entertainment Distributionの売上は前年比9%増の136億2000万ドル、営業利益は前年比32%減の19億4400万ドル。DTCの売上が23%増加しているものの、DTCの営業損失は約3倍に拡大している。営業損失の理由は主にディズニー・プラスの番組制作、マーケティング、インフラ投資コストが嵩んだこととESPN+の番組制作コスト上昇とUFCのペイパービューが低調だったことを挙げている。
Direct-to-Consumerの中核をなすディズニー・プラス、ESPN+、Huluの2022年第2四半期末有料視聴者数と月平均利用額は以下の通り。
【有料視聴者数(単位100万)】
ディズニー・プラスの加入者数は1億3770万。前四半期は1億2980万だったので約790万の増加。先述のネットフリックスの減速もあり加入者の動向が懸念されたが、市場予想の530万人増を上回っている。
ESPN+は前四半期から約100万増、Huluは前四半期から30万増。
【月平均利用額】
【Disney Parks, Experiences and Products】
Disney Parks, Experiences and Productsの売上は66億5200万ドルで前年同期は31億7300万ドル、営業利益は17億5500万ドルで前年同期は4億600万ドルの損失。
昨年はCOVID-19のため多くが閉鎖していたテーマパークが再開したことで、売上、営業利益共に大幅増となっている。
アナリストとのカンファレンスコール
以下はアナリストとのカンファレンスコールで気になった点。
- インフレ圧力とサプライチェーンの課題の財務への影響を正確に予測することは難しいが、状況を把握しており利益率への影響を抑えるため取り組んでいる
- 2024年9月末までに2億3000万から2億6000万のディズニー・プラス加入者という目標は順調に進んでいる
- 番組制作に関するコストを「非常に慎重に注視している」と発言。2022年の映画・テレビ向け支出見通しは10億ドル引き下げて320億ドル
- COVID-19によるアジアのテーマパーク閉鎖は、第3四半期の営業利益を最大3億5000万ドル削減する可能性がある
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第2四半期の売上高(Revenues)は192億4900万ドル、市場予想の200億3000万ドルを下回っている
- 2022年第2四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は1.08ドル、市場予想の1.19ドルを下回っている
- 2022年第2四半期末のディズニー・プラス総加入者数は1億3770万、市場予想の1億3440万を上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてウォルト・ディズニーの株価は
0.86%の下落。
同日の米国市場が
上下動が激しかったもののあまり前日と変わらなかった。ディズニー株は開場直後に一時100ドル割れ
となった事を考えるとそれ程悪くは無かったのかもしれない。
開場直後に大きく下がったのは、売上、特定項目を除く一株当たり利益が市場予想を下回った事やアナリストとのカンファレンスコールでも目立った好材料が無かったためだろう。
逆にそこから持ち直した理由は判然としないのだが、概ね市場と類似した動きをしているので市場に引っ張られて下げ幅を縮小した可能性が高い。
年初来では
30%以上下落しており、市場(S&P 500)の17.54%よりもかなり悪い。特に4月半ばに先述したネットフリックス決算で大きく下落して以降の下げ幅がキツイ。ディズニー・プラスは混四半期も加入者増となったたもののストリーミングサービス全体に対しての市場の懸念が未だ続いているのだろう。ウォルト・ディズニーはテーマパーク部門があるものの、ストリーミングサービスの軟調を考えるとあまり株価に期待しない方が良さそうだ。