はじめに
ここ1年の間に自分のポートフォリオの主力銘柄であるAT&T(T)は長期債務返済のために非中核部門の売却を進めている。
自分が覚えているだけでも、
- 2020年10月:Central European Media Enterprisesをチェコの投資ファンドPPF Groupに11億ドルで売却
- 2020年12月:CrunchyrollをSONY傘下のFunimation Global Group, LLCに11億7500万ドルで売却
- 2021年2月:DirecTVをAT&Tの事業から分離し、株式の30%を米投資ファンドのTPGキャピタルに売却
といった具合。
今回はそれらに続く売却の報道がなされたので以下にその内容を整理しておく。
ViacomCBS Inc.の発表
以下はViacomCBS Inc. (NASDAQ: VIAC, VIACA)の企業サイトより引用・抜粋。AT&T及びWanerMediaでは発表されていない。
- Apr. 5, 2021– ViacomCBS Inc. (NASDAQ: VIAC, VIACA) today announced that ViacomCBS Networks International (VCNI) has agreed to acquire Chilevisión from WarnerMedia, a division of AT&T (NYSE:T).
2021年4月5日 –ViacomCBS Inc.は本日、ViacomCBS Networks International(VCNI)がAT&T(NYSE:T)の一部門であるWarnerMediaからChilevisiónを買収することに合意したと発表しました
この後Chilevisiónの買収がViacomCBS Inc.にとってラテンアメリカのストリーミングサービスに重要か(Chilevisiónは名前の通りチリの無料テレビ放送チャンネル)について述べられているのだがここでは割愛。発表の最後に取引内容について以下の様に言及している。
- The purchase price of the acquisition will be financed by ViacomCBS’s existing cash balances. The transaction is subject to customary regulatory approvals and closing conditions. Financial terms of the transaction were not disclosed.
買収の購入価格は、ViacomCBSの既存の現金残高によって賄われます。この取引は、通常の規制当局の承認と取引完了条件の対象となります。取引の金銭的条件は明らかにされていません
従ってこの発表だけでは具体的な買収の条件は不明。ただ買収はViacomCBSの既存の現金残高によって賄われるとしており、直近のViacomCBSの四半期決算を確認してみると約30億ドル近くの現金がある。
まとめ
この発表があったのは米現地時間4月5日の1:20 PM EDT(Eastern Daylight Time:米国東部標準時(夏時間))。この発表を受けてのAT&T、ViacomCBS Inc.の株価がどうなったかと言うと、
両社とも特に目立った動きはなし。自分のポートフォリオ全体を毎日見てはいたのだが、AT&T株の動きが取り立てて目立たなかったので本日4月7日になるまでこの売却に気が付かなかった。取引の規模感が不明のため反応薄だったのだろうか。AT&Tは5日が0.79%、6日が0.88%それぞれ上昇しているものの、それは北米で先週公開された「Godzilla vs. Kong」の影響のためだろう。
またViacomCBS Inc.は最近話題になっているArchegos Capital Managementが扱っていた銘柄のため年初来の株価が以下の様にものすごいことになっているので、この程度のニュースでは市場も反応しないのかもしれない。
AT&Tは2020年末時点で1475億ドルの長期債務があったのだが、こういった非中核部門の売却を通じてどこまで債務が減っているのか。AT&Tの2021年第1四半期(2021年1~3月)決算は4月22日予定されているので、その内容に注目したい。