はじめに
2020年11月上旬になってから掲題の通りボーイング関連で様々な報道・アップデートがなされている。
手持ち銘柄の決算発表の整理や、11月に入っての退職後の手続きなどでボーイング株まで気が回らなかったが、ここでそれら情報を整理しておくことにする。
2020年11月上旬のボーイング関連アップデート
以下日付はいずれも現地時間。ロイター通信の報道より引用・抜粋。
11月6日:
米政府によるボーイングへの補助金に対抗する措置として、欧州連合(EU)が航空機や航空機部品を含む40億ドル相当の米輸入品に対し来週にも関税を課す可能性が高いことが、EU外交筋の話で分かった。EU各国の大半がすでに関税を支持しており、9日のEU貿易相会合後、10日か11日に実施される見通し。
EUによるエアバスへの補助金を巡り、米国は75億ドル規模の欧州製品に関税を課している。
11月9日:
欧州連合(EU)は、米政府によるボーイングへの補助金に対抗する措置として、10日から航空機や航空機部品を含む40億ドル相当の米輸入品に対して報復関税を課すと発表した。
欧州委員会のドムブロフスキス副委員長は会見で「長引くこの問題を解決したいと、あらゆる段階で明確にしてきたが、残念ながら努力の甲斐なく米国側に進展が見られないため、対抗措置を講じることにした」と述べた。
ボーイングはEUの判断に「失望した」とし、エアバスとEUに紛争解決に向けた取り組みを求めた。
11月9日:
米連邦航空局(FAA)は2度の墜落事故を受けて運航停止となっているボーイングの旅客機「737MAX」の修正点を巡る審査の最終段階にあり、「数日中」にも完了する可能性があるとスティーブ・ディクソン長官がロイターに明らかにした。
状況説明を受けた関係筋3人によると、FAAは早ければ今月18日にも運航停止命令を解除する見通し。
ディクソン長官はロイターへの声明で、安全性の問題に「ボーイングが対処したとFAAとして納得できれば、手続きは数日中に完了する」との見方を示した。ディクソン長官は「世界各国の航空当局がFAAの認証判断について確認の準備を進める中、引き続き連携していく」とも表明。「繰り返し述べてきたように、FAAは必要な時間をかけて残りの作業を徹底的に検証する。ゴールに近づいているものの、認証基準を満たすと安全性の専門家が納得して初めて、運航停止命令を解除する」と強調した。
FAAによる運航再開承認後、航空各社はソフトウエアの更新や操縦士の再訓練を完了する必要があり、実際の飛行再開には少なくとも30日かかる見通し。
11月10日:
米航空機大手ボーイングは、運航停止中の主力機「737MAX」12機の受注が10月にキャンセルされたことを明らかにした。同月の同社全体の納入機数は13機と、前年同月の20機から減少した。競合する欧州エアバスの10月の受注機数は11機で、納入数は72機だった。
1~10月は737MAX1043機のキャンセルが発生した。
1~10月の納入機数は111機と、前年同期の321機から減少した。
11月12日:
米ボーイングBAは12日、2039年までの中国の商用機需要について、昨年予測の8090機から8600機に上方修正した。金額ベースでは1兆4000億ドルに達すると予想している。
新型コロナウイルスにより世界の航空機納入に今後影響が及ぶ見通しだが、中国の航空市場の先行きは引き続き明るいと見込まれている。ただし、ボーイングは先月、新型コロナの影響を理由に向こう20年の世界の商用機需要予測は引き下げている。
ボーイングの商用機部門幹部は「新型コロナは世界中の全ての旅客市場に深刻な影響を与えたが、中国の基本的な成長けん引力は依然堅調で底堅い」とし「中国は新型コロナからの回復が他国よりも早かっただけでなく、輸送インフラの改善・拡大に向けた政府の継続的な投資、大規模な地域交通の流れ、国内市場の活況は、この地域が特に成長することを意味している」と説明した。
まとめ
上記の様なアップデートを受けて過去5日間のボーイング株の動きを市場と比べてみると、以下の様になる。
11月9日はファイザーのコロナワクチンに関する期待から市場全体が上昇したのに伴いボーイング株も大幅上昇。翌10日は上記737MAX運航再開の報道を受けて再び上昇。翌11日は737MAXの受注に関する報道で下落。
具体的なボーイング株の変動は以下の通り。
11月6日閉場後:
11月9日閉場後:
11月10日閉場後:
11月11日閉場後:
ボーイング単体のニュースもあるが、それに加えて米大統領選やコロナワクチンによって市場全体が大きく変動している影響もあり、ここ数日のボーイング株の変動幅が非常に大きいので、どう判断していいのか悩ましい。
個人的にはEUとの関税に関する懸念はあるものの、コロナワクチンの状況や737MAXの運航再開といったポジティブなニュースに対する期待の方が今は大きい。
ただワクチンが広く利用可能になり、航空需要が上向きになるにはしばらく時間がかかるのは確かだろう。10月末の2020年第3四半期決算発表時には、コロナワクチン報道前だが
- Expect passenger traffic to return to 2019 levels in ~3 years; return to long-term trend a few years thereafter
旅客数は3年以内に2019年のレベルに戻り、数年後に長期的な傾向に戻ると予想されます
としていたので、やはり気長に業績回復を待つのが適切だろう。完全リタイアとなった今では株価・業績の回復よりも早期の配当再開が望ましいのだが、それは一体何時の事になるのやら・・・。