はじめに
先月9月半ばにGEのキャッシュフローが2020年下半期に黒字化するという久々にポジティブな記事をまとめたのだが、またネガティブなニュースが現地時間2020年10月6日にあった。それを受けてGEの株価は、
3.74%大きく下落。以下に昨日の報道の内容を整理しておく。
2020年10月6日の米証券取引委員会(SEC)への提出資料
以下は2020年10月6日にGEが米証券取引委員会(SEC)へ提出した8-K、Current report filingより引用・抜粋。
- On September 30, 2020, the SEC staff issued a “Wells notice” advising GE that it is considering recommending to the SEC that it bring a civil injunctive action against GE for possible violations of the securities laws.
2020年9月30日、SECのスタッフは証券取引法違反の可能性についてGEに対して民事差止訴訟を起こすことをSECに推奨することを検討していることをGEに通知する「ウェルズ・ノーティス」を発行しました - The Wells notice is neither a formal allegation nor a finding of wrongdoing. It allows GE the opportunity to provide its perspective and to address the issues raised by the SEC staff before any decision is made by the SEC on whether to authorize the commencement of an enforcement proceeding.
ウェルズ・ノーティスは、正式な申し立てでも不正行為の発見でもありません。これによりGEは、執行手続きの開始を承認するかどうかについてSECが決定を下す前に、その視点を提供し、SECスタッフが提起した問題に対処する機会を得ることができます - GE disagrees with the SEC staff with respect to this recommendation and will provide a response through the Wells notice process.
GEはこの推奨事項に関してSECスタッフに同意せず、ウェルズ・ノーティスプロセスを通じて対応します
背景として2018年1月にGEは、GEキャピタルの保険事業で62億ドルの特別費用を計上、介護保険の保険金支払いに備えた引当金として150億ドルを計上している。この引当金計上を受けSECはGEの会計処理への調査を開始し、その後調査範囲は電力設備部門等にも広がっている。今回のウェルズ・ノーティスの対象は保険事業に関するものに対しての様だ。
まとめ
現段階では「ウェルズ・ノーティス」が発行されただけで、その具体的な内容や規模については不明。ただ「GE disagrees with the SEC staff」とし、ウェルズ・ノーティスプロセスに従う旨を明記しているので、そのプロセスが進むにつれて色々明らかになるのだろう。
問題はこのプロセスが進むにつれて、過去のGEの財務情報が変化したり、今後追加の償却を行う必要が出てくる可能性など、GEが見込んでいる今後の収益・キャッシュフロー向上へ向けてのプランに影響が出てくる可能性がある点。
ただでさえ、ここ数年低調な業績が続き、加えて今年のCOVID-19で大きく凹んだGEが、更に訴訟の可能性まで抱えるとなると、今後GEの収益・株価については自分が思っているほど期待できないのだろうか。先月の下半期キャッシュフロー黒字化報道で少し上向きなのかと思ったのだが。
2020年10月28日に予定されている2020年第3四半期決算発表で、この点についても言及されると思うので忘れずに確認することにしよう。