2021年4月のOPECプラス会合とエクソン株(2021/4)

はじめに

昨日2021年4月1日は

エクソンの2021年第1四半期収益考慮事項(2021/4/1)

で3月31日に開示されたエクソン・モービル(XOM)のForm 8-Kについて確認したのだが、その中で最近のエクソン株は原油価格と連動している事が多いと述べた。

そこで昨日まで行われた4月のOPECプラス会合の内容をまとめ、その結果エクソン株にどのような影響をもたらすかについて整理しておくことにする。


2021年4月OPECプラス会合まとめ

以下は各種報道(主にロイター、ブルームバーク)より引用。

  • 現在行われている協調減産を5月以降段階的に縮小していくことで合意
  • 合意により5、6月の削減量はそれぞれ日量35万バレル、7月はさらに40万バレル程度縮小され、全体の削減量は4月の日量700万バレル弱から5月は650万バレル強に低下する見通し
  • サウジアラビアが自主的に実施してきた日量100万バレルの減産も5月に日量25万バレル、6月に35万バレル、7月に40万バレル縮小し、元の水準に戻す
  • 7月時点のOPECプラスの原油供給量は、現在の水準から合計で日量200万バレル余り増え、協調減産(日量約700万バレル)とサウジの自主減産分を合わせた全体の約4分の1が市場に戻ることになる
  • サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は4月28日の次回会合で産油量水準について調整される可能性があると発言

このOPECプラスが5月から段階的に減産を縮小するとした決定は自分にとっては予想外。というのも3月末の報道では、

  • 新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)措置が広がる中、OPECプラスによる減産を5~6月にかけて延長する可能性が高い

という論調が多かったため。

報道によると今回の5月からの段階的減産幅の縮小は、4月1日の閣僚級会合に先立ち、アブドルアジズ氏と電話会談したグランホルム米エネルギー長官が

  • サウジのエネルギー相ときょう生産的な電話協議を行った。消費者にとって手頃で信頼できるエネルギー供給源の確保に向け国際協力の重要性をわれわれは再確認した
    I had a productive call with Saudi Energy Minister Abdulaziz bin Salman al-Saud today. We reaffirmed the importance of international cooperation to ensure affordable and reliable sources of energy for consumers

とツイートしていたことから、米バイデン政権がサウジアラビアに対し原油価格を手頃な価格に抑えるよう呼び掛けたのではとされているが、サウジは米国のほか、いかなる消費国の影響も受けていないとしている。


まとめ

確かに原油価格は今年に入ってから3月上旬までは概ね安定的に上昇していたが、3月中旬からは欧州のロックダウンなどもありやや下落している。以下は年初来のニューヨーク原油先物。

今回減産を縮小できるとOPECプラスが判断したのは、欧州のロックダウンを考慮に入れたとしても世界的な原油需要は今後高まると判断したのだろうか。一応次回4月末の会合で今回の決定に関する調整に含みを持たせてもいる。

興味深いのはこの5月から段階的減産縮小を受けて4月1日の原油価格は下がると思ったのだが、実際には上のチャートの様に上昇していること。OPECプラスの決定で需要が今後拡大し、供給が求められると市場が判断したためかもしれない。

このOPECプラスの決定を受けて昨日のエクソン株とニューヨーク原油先物の動きを見てみると、

やはり概ね原油価格と連動してエクソン株は上昇し、前日比プラス2.79%で取引を終えている。ただ今回のOPECプラスの決定がエクソン株に及ぼす影響は昨日だけでは測れないと思う。

一昨日のエクソン・モービル(XOM)のForm 8-Kと併せて、今後のエクソン株がどうなるかのアナリストの見解が知りたいところだったのだが、気が付くと本日4月2日(金)はGood Fridayでアメリカが祝日のため分析報道などは早くても来週だろうから、それらを見逃さないようにしたい。

個人的には、OPECプラスが段階的減産縮小を決定した判断が正しく、欧州のコロナ状況にもかかわらず原油需要が更に拡大し、それにつれて原油価格が上昇し、最近原油価格との連動性が高いエクソン株が上昇するという流れになってくれると有難いのだが、そんなに単純には行かないのだろうなあ。

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