シティグループ(C)が誤送金訴訟で連邦地裁敗訴(2021/2)

はじめに

昨年8月にまとめたシティグループの誤送金に関する訴訟の判決が2021年2月16日(火)ニューヨーク連邦地方裁判所で下った。結果は掲題の通りなのだが、以下にその内容を確認し、併せて判決を受けての株価についても整理しておく。


誤送金問題の流れと判決

誤送金の概要については以下で整理している。

シティグループの誤送金9億ドルと株価について(2020/8)

その後この誤送金に関連して、

シティのリスク管理に関する懸念で株価5%超下落(2020/9)

シティ、課徴金4億ドル支払いと業務改善に同意(2020/10)

といったリスク管理に対する業務改善(それに紐づく出費)や課徴金の支払などが発生している。

そして2021年2月16日の判決要旨は以下の通り。

  • transfers were final and complete transactions, not subject to revocation
    この送金は最終的かつ完全に手続きが済んだ取引で撤回対象にはならない
  • To believe that Citibank, one of the most sophisticated financial institutions in the world, had made a mistake that had never happened before, to the tune of nearly $1 billion would have been borderline irrational
    世界最高クラスの専門性を備えた金融機関であるシティが過去に一度もなかったそうしたミスをしたと信じることは合理性を欠く

結果、シティグループが主張する計5億400万ドルの返還をする必要はないとの判断を下した。

シティグループは

  • “We strongly disagree with this decision and intend to appeal”
    「今回の判断には全く同意できず、控訴するつもりだ」
  • “We believe we are entitled to the funds and will continue to pursue a complete recovery of them”
    「われわれは返金される権利を有していると信じており、引き続き完全な資金の回収を目指す」

として控訴する方針。


判決を受けてのシティの株価

この判決は2021年2月16日の昼頃に下ったらしいのだが2月16日のシティの株価の動きは、

とほぼ影響を受けていない様に見受けられる。

株価に変動が見られなかったのは、これが連邦地裁の判決でシティが控訴する方針だからなのか、それとも既に市場が回収できないことを見込んでいたからなのかは不明。


まとめ

取り合えずこの判決によって直接株価に大きな影響が出なかったのは良かったのだが、今後を考えると不安が残る。

もし最終的に敗訴した場合に5億400万ドルは、すぐにシティグループの損失になるのではなくレブロンへ(REV)の債権となる(元々シティはレブロンの融資に関係する事務代行のみ)のだが、問題はレブロンが経営難であるので債権が焦げ付く可能性もあること。

シティの勝訴で終わってくれればよかったのだが、今後もこの誤送金問題に関しては注意しておく必要がある。これ以上業績・株価に影響の出ない範囲で決着してくれるといいのだが。

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