はじめに
2026年7月22日(水)には自分の所有しているAT&T(T)の2026年第2四半期決算の発表があった。
前回2026年4月の2026年第1四半期決算は市場予想を上回る売上、EPS、Postpaid phone純増数だったが、同業他社の動向(ドイツテレコムがTモバイルとの経営統合を目指すとの報道)もあって0.39%の上昇に留まった。その際には
「今後のAT&T株だが、今回決算発表と同日に同業他社のドイツテレコムとTモバイルの経営統合報道があったため、決算内容自体がどう評価されたのかはしばらく様子を見る必要がありそうだ。個人的には決算内容自体は良かったと言って良いと思うので、下落傾向に転じることは無いと思いたい。ただ年初来の株価はマイナス5%~プラス15%超と幅が広く、方向感に乏しい動きとなっているので注意していきたい。」
と書いていた。
しかし4月末まではほぼ横ばいで推移したものの、5月からはやや下落傾向。そして6月に入ると
SpaceX(Starlink)への懸念から下げ幅を大きく拡大してしまっている。7月に入ってから6月に上昇したSpaceX株が不調なこともあって、AT&T株はやや持ち直しているがその幅は限定的。
そんな状況の中、今回のAT&T決算内容とそれを受けてのAT&T株の動きはどうなったのか。以下に確認して整理しておく。
AT&T2026年第2四半期決算概要
以下の内容はAT&Tの企業サイトより引用・抜粋。
- 2026年第2四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は315億5800万ドル、前年同期は308億4700万ドルで前年同期比2.3%増加
- 2026年第2四半期のAT&T帰属の純利益(Net Income Attributable to AT&T)は46億2700万ドル、前年同期は45億ドルで前年同期比2.8%増加

- 2026年第2四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.65ドル、前年同期は0.54ドルで前年同期比20.4%増加

- 2026年第2四半期のフリーキャッシュフローは46億7000万ドル、前年同期は43億9400万ドル

事業部業績
【Advanced Connectivity(アドバンスト・コネクティビティ)】

- Operating Revenues(売上):286億1500万ドル、前年同期比4.1%増
- Operating Income(営業利益):73億4500万ドル、前年同期比20.3%増
- Operating Income Margin(営業利益マージン):25.7%、前年同期比3.5%増
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- 月額料金を支払う携帯電話契約数(Postpaid phone)は43万2000純増で解約率は0.86%
【Legacy(レガシー)】

- Operating Revenues(売上):16億3200万ドル、前年同期比25.9%減
- Operating Income(営業利益):5億2300万ドル、前年同期比45.5%減
- Operating Income Margin(営業利益マージン):32.0%、前年同期比11.6%減
【Latin America(ラテンアメリカ)】

- Operating Revenues(売上):12億2400万ドル、前年同期比16.1%増
- Operating Income(営業利益):3800万ドル、前年同期比17.4%減
- Operating Income Margin(営業利益マージン):3.1%、前年同期比1.3%減
2026~2028年通期見通し
今回も2026~2028年の見通しという形での提供となっている。

- Service Revenue Growth(サービス売上成長率):low-single-digit range annually(年間一桁台前半)
- Advanced Connectivity(アドバンスト・コネクティビティ): mid-single-digit range annually(年間一桁台半ば)、2026年は5%の成長率
- Adjusted EBITDA(調整後EBITDA):2026年は3~4%、2028年には5%あるいはそれ以上に改善
- Advanced Connectivity(アドバンスト・コネクティビティ): mid-to-high-single-digit range annually(年間一桁台半ばから後半)、2026年は6%の成長率
- Capital Investment(設備投資):年間230億~240億ドル
- Free Cash Flow: 2026年は180億ドル、2027年は190億ドル、2028年は210億ドル
- Adjusted EPS(調整後EPS):2026年は2.25~2.35ドル、2028年までの3年間で2桁のCAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)
ほとんど前回と変わっていないが、Adjusted EBITDA(調整後EBITDA)の2028年がimproving to 5% or better in 2028と前回決算時の文言に「or better」という語句が追加され、ほんの少し上方修正されている。
その他
その他決算及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 今年初め、当社は成長の加速と戦略の実行に関する見通しを示したが、第2四半期にはまさにそれを実現した
- 光ファイバー、固定無線、postpaid phoneから100万人以上の接続サービス加入者を獲得し、3つの製品カテゴリすべてで前年比で純増数が増加
- これは、AT&Tファイバーの純増数としては過去最高の第2四半期であり、光ファイバーと固定無線を合わせた純増数でも記録的な四半期となった
- 統合顧客基盤も拡大を続け、第2四半期末時点でホームインターネット顧客の42.5%がAT&Tのポストペイド無線アカウントも保有しており、この統合率は、Lumenから買収したエリア内の顧客を除くと45%に達する
- これらは生涯価値の高い加入者で、当社の力強い顧客成長は第2四半期の財務成長加速の重要な原動力となっている
- 連結レベルでは、サービス収益、調整後EBITDA、調整後EPSの前年同期比成長率は、第1四半期の成長率を上回った
- また、今世紀初頭に事業を高度接続事業に再集中させて以来、連結調整後EBITDAマージンが最高値となった
- これは、5Gと光ファイバーの規模拡大に伴う営業レバレッジの向上、事業規模の縮小に伴う旧来のコスト削減、そして全社的なコスト変革イニシアチブの継続的な実施によるもの
- 光ファイバー、固定無線、postpaid phoneから100万人以上の接続サービス加入者を獲得し、3つの製品カテゴリすべてで前年比で純増数が増加
- ここまで来るのに多くの努力が必要だったが、アドバンストコネクティビティサービスの売上は、2028年まで一桁台前半のCAGRで成長すると引き続き予想している
- 当社の業績の強さは長年にわたる一貫した的を絞った投資によって確立された構造的な優位性から来ており、今年はファイバー拡張において過去最大の年となり、Lumenから買収した400万以上の拠点を含め、800万の新規拠点に到達する計画
- 以前にも申し上げたように、光ファイバーが敷設されている地域では、当社は優位に立っており、光ファイバーとワイヤレスを組み合わせることで、新たな光ファイバー敷設場所の拡大に伴い、統合型サービスの顧客基盤と財務実績において力強い成長を遂げると確信している
- 投資主導型戦略のメリットは、現在、改善された事業運営の勢いという形で明らかになっているが、当社は引き続き、AI駆動型接続の将来の高度なネットワーク需要に対応できる最適なビジネスを構築していく
- 現在、業界調査によると、AIエージェントは、同じ作業を行う人間よりもタスクあたりの総トラフィックが最大450%増加することが示されている
- AI推論をエッジに分散させるには、エンドポイントにアクセスするための低遅延かつ高帯域幅の接続が不可欠で、だからこそエッジにおける光ファイバー対応ネットワークの統合こそが真の競争優位性を生み出すと確信している
- AT&Tは、10年後の需要を支えるために必要な規模で、このインフラを構築し投資している唯一のプロバイダーであると確信している
- 今世紀末までに、当社は高密度で相互接続されたメトロファイバーと全国規模の広帯域スペクトルを基盤とした、米国で最も先進的で技術的にオープンな通信ネットワークを運営できると見込んでいる
- これはまさに、AIがコネクティビティの次の時代を形作り始める中で、当社が望む資産基盤であり、当社の資産を他社の資産と交換するつもりはない
- 資本収益率の向上を支え、当社の事業基盤と株価評価との間の乖離を是正するため、今年予定している自社株買いのペースを最大25%増の約100億ドルまでさらに加速させる柔軟性を得ている
- FCCの積極的な措置により加速された、非効率な銅線ベースのサービスからの撤退に向けた取り組みも今四半期に勢いを増した
- 先月、FCCはカリフォルニア州にある当社のワイヤーセンターの約60%で従来の銅線音声サービスを廃止する許可を出した
- これにより、お客様をAT&T Phone Advanced、光ファイバー、ワイヤレスにアップグレードすることができる
- 全国的に銅線ネットワークサービスと運用を廃止する取り組みは順調に進んでいる
- ワイヤーセンターの30%以上で従来のサービスを廃止する承認を得ており、これは2026年末までに有効になる
- 年末までに、数百のワイヤーセンターで顧客がゼロになると予想しており、これはコスト構造の一部を縮小し、業務をさらに合理化するための道筋を開くものとなる
- 先月、FCCはカリフォルニア州にある当社のワイヤーセンターの約60%で従来の銅線音声サービスを廃止する許可を出した
- 先月発表した通り最高財務責任者(CFO)のPascal Desroches氏は2026年末で退任予定であり、現在は後任予定のJennifer Biry氏への引継ぎ期間中
- 財務関連
- 第2四半期の設備投資額は前年同期の51億ドルに対し、61億ドルに増加
- 第2四半期のフリーキャッシュフローは前年同期比で約3億ドル増加して47億ドルとなり、ガイダンスレンジの上限である40億ドル~45億ドルを上回ってた
- 通期では、引き続き180億ドル以上のフリーキャッシュフローと230億ドル~240億ドルの設備投資を見込んでいる
- 昨年後半は光ファイバーの展開を加速させていたが、今年は設備投資額がより安定すると見込んでいる
- また、昨年は訴訟和解や年金への多額の拠出など個別の項目によって業績が影響を受けたため、今年第4四半期の営業キャッシュフローは昨年よりも増加すると見込んでいる
- 第2四半期には、約22億ドルの自社株買いを含め、41億ドルを株主に還元
- 当社は7月に約10億ドル相当の自社株買いを実施する予定で、2026年全体では約100億ドル相当の自社株買いを実施する見込み
- これは、今年度の自社株買い目標額80億ドルを上回るものであり、2028年までの自社株買い計画を前倒しするもの
- 第2四半期末の純負債対調整後EBITDA比率は2.68倍で、第1四半期とほぼ変わらず
- EchoStarとの取引完了後、純負債比率は3.2倍の範囲まで上昇し、その後、EchoStarとの取引完了後約3年以内に目標とする2.5倍の範囲に戻ると引き続き予想
- 質疑応答
- バリューセグメントをターゲットとした、より低価格帯の市場開拓の現状について
- 今四半期の新規口座開設数は3年ぶりの高水準に達したが、新規口座開設の多くはバリューセグメントで行われており、既存口座への追加が主ではない
- これは当社にとって健全なことであり、特に当社のサービス収益全体のパフォーマンス、提示した利益率、EBITDAの成長率を見ると、これら全てが達成したい目標の非常に健全な組み合わせであると言える
- 率直に言って、私たちの目標は顧客1人当たりの平均売上を確実に伸ばすこと
- 衛星通信による今後の地方戦略への影響について
- 我々が地方に関して都市部と郊外に多額の投資を行っているのには理由があり、それが我々の能力に最も合致し、最も効果的に収益を上げられる場所と考えているから
- 衛星通信で十分なサービスを提供できる地域では地上回線の規模を縮小できる可能性もある
- 我々が深く関わりたいのは、光ファイバーを構築し、その末端、つまりエッジポイントに無線送信機器を設置し、それらのネットワークを効果的に活用してトラフィックを統合できる分野
- トラフィックの98%を自社で所有・運用できる環境で顧客にアプローチしたいと考えており、残りの2%については提携、リースなどでカバーする方向
- 将来的なM&Aの可能性について
- 先程のトラフィックの98%という発言からの質問かもしれないが、そういうう意図はない
- 時折、顧客がネットワークから離れてしまう瞬間、つまり2%のケースを処理するには衛星コンステレーションのようなものが役立つのは確か
- 合弁事業と、これまで提携パートナーであるAST SpaceMobile社と共同で行ってきた技術開発を組み合わせた取り組みは、来年には実を結ぶ
- ネットワーク圏外にいても、ネットワークから切断されることはなく、デバイスごとに衛星通信によるシームレスな接続を提供するだろう
- 私が言及していたのは、そういった特殊なケースのことであり、来年までには残りの2%を解決し、お客様が望むこと、つまり1つのプロバイダーから購入すれば常にインターネットに接続できるという安心感をお客様に提供できるようになる
- 携帯デバイスのコスト上昇の影響について
- デバイスのコストは上昇すると予想され、これは誰にとっても謎ではない
- コストが上がれば価格も上がり、価格が上がれば需要は下がるだろう
- 資本配分について
- 取締役会はこの問題に絶えず積極的に取り組んでいるが、ここ数ヶ月の出来事によって議論の様相は1年前とは異なっている
- 短期的な決定として自社株買いを前倒しすることにしたのは、この株の評価が非常に低く抑えられていると感じられたため
- 弊社には様々な対応ができる柔軟性があり、どちらの方向にも対応できるが、今後数ヶ月の状況を見守る必要がある
- バリューセグメントをターゲットとした、より低価格帯の市場開拓の現状について
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2026年第2四半期の総売上高(Total Operating Revenues)は315億5800万ドルで、市場予想の318億ドルを下回っている
- 2026年第2四半期の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.65ドルで、市場予想の0.59ドルを上回っている
- 2026年第2四半期の月額料金を支払う携帯電話契約数(Postpaid phone)は43万2000純増で、市場予想の33万8500増を上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算結果を受けてAT&T株は

前日比3.50%の上昇。同日の米国市場が

横ばいからやや下落となっていることを考えれば、かなり良い上昇幅と言えるだろう。
売上は市場予想に届かなかったものの、EPS、Postpaid phoneの純増数は市場予想を上回り、最近の懸念であった衛星通信に対しても、カンファレンスコールである程度それを払拭する説明が出来たことが上昇に寄与したのだろう。
決算後数日を含めた年初来のAT&T株の推移を市場(S&P 500)と比べると

今回決算前までの動きは概ね冒頭に書いた通り。そして7月に入ってやや持ち直していた株価が、今回決算を受けて3.5%上昇。翌日はやや下落したものの、翌々日には5%を超える上昇となっている。今回のAT&Tの決算に続き、T-Mobile(TMUS)、ベライゾン(VZ)と米通信大手の決算発表が3営業日連続で行われ、T-Mobile以外は堅調な決算(T-Mobileは24日の決算で10.75%の急落)だったことも衛星通信への懸念を和らげる一因となったようだ。
ちなみに以下は7月25日(金)の米通信大手3社の株価。

前日大きく下落したT-Mobileも含めていずれも5%を超える上昇となっている。
今後のAT&T株だが、7月に入ってから大きく上昇しているものの3月末の最高値には全く届いていない。この上昇傾向がどれだけの期間続き、どこまでの株価上昇となるかを見極める必要があるだろう。決算内容からすると堅調な株価推移が望めそうな気もするが、7月前までの3ヶ月続いた下落傾向を思うと、何らかのキッカケで流れが変わる可能性も十分にある。願わくば次回決算まで堅調に株価が推移し、次回の決算でも堅調な業績/見通しが示されると安心できるのだが、どうなるだろうか。