はじめに
現地日付2026年3月6日(金)には2026年2月の米雇用統計が米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)から発表された。
前回2月の米雇用統計では、それ以前に発表されていた民間の雇用に関する経済指標が軟調だったこともあって懸念されていたのだが、結果は意外にも市場予想を上回って雇用の堅調さを示す結果となった。
そして米・イスラエルのイラン大規模攻撃に埋没してしまっているが、3月に入って発表された民間の雇用に関する経済指標は
- 3月4日、米ADP雇用統計
2026年2月の米民間部門の雇用は6.3万人増、市場予想の5.5万人増を上回っている - 3月5日、チャレンジャー人員削減数
2026年2月の米企業人員削減数は12万8496人(1月の確定値は10万2943人)
とまちまちな結果となっており、米雇用統計の結果が労働市場の底堅さを示すのか、それとも軟調さを示すのかが注目されていた。
以下、今回発表された2026年2月の米雇用統計の内容、及びそれを受けて市場がどう反応したのかについて確認し、整理しておく。
2026年3月6日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2026年2月米雇用統計
- 2026年2月の季節調整済み失業率は4.4%(前回1月は4.3%)、市場予想は4.3%
- 2026年2月の非農業部門雇用者数は前月比9万2000人減、市場予想の5万5000人増を大きく下回っている

また2025年12月の非農業部門雇用者数は4万8000人増から6万5000人下方修正されて1万7000人減となり、2026年1月も13万人増から4000人下方修正されて12万6000人増となっている。

同日の市場の動き
米国株式市場

米雇用統計の発表は米国株式市場開始の1時間前。
米雇用統計が発表されたタイミングの時間前取引で元々前日比下落で取引されていた市場は大きく下落。そして本取引も上記主要3株式指数がいずれも前日比1%を超える下落で始まり、概ね1%を超える下落での推移で取引を終えている。
米国10年債

米雇用統計が発表された米国東部標準時8:30は上記チャートのCST(米国中部標準時)では7:30。
開場直後は前日比利回り上昇(債権売り)で始まったものの、米雇用統計の発表を受けて利回りは低下(債権買い)、しかしそれは長く続かず再び利回りは上昇し開場直後をやや上回る水準に。ただそれも長く続かずにそこからは利回り低下傾向が続いて取引を終えている。
前半は原油価格高騰によるインフレ懸念(インフレ抑制のため政策金利据え置き)と米雇用統計が示す労働市場軟化(労働市場テコ入れのため政策金利引き下げ)という相反する状況を睨んで方向感が定まらなかったが、徐々に米雇用統計が重視されて利下げ時期が早まるとの見方が優勢になったため最終的には利回り低下傾向になったものと思われる。
ドル円為替

米雇用統計が発表された米国東部標準時8:30は上記チャートのGMT(英国標準時)では1:30PM。
発表前は1ドル=158円近辺だったが、米雇用統計発表を受けて1ドル=157.5円程度までドル安に。すぐに反発し1ドル=158円台となったものの、また157円台半ばまでドル安。その後はじわじわとドル高となり1ドル=157円台後半で週の取引を終えている。
ニューヨーク原油先物価格

ニューヨーク原油先物価格は3月5日時点では1バレル=80ドル程度だったのだが、中東での原油供給に係る各種情勢の悪化(ホルムズ海峡、産油国の貯蔵限界など)から上昇し、米国市場が本格化する前には1バレル=85ドル前後に。米国市場が本格化すると更に価格は上昇し、1バレル=90ドル台を超えて週の取引を終えている。
まとめ
以上、2026年3月6日発表の2026年2月米雇用統計と市場の動きについてまとめてみた。
米・イスラエルのイラン大規模攻撃の影響から、米国市場が本格化する前から原油先物価格が大きく上昇し、インフレ懸念の強まりから株式市場の下落は予想されていたのだが、今回の米雇用統計は予想外のネガティブサプライズで、米株式市場の下落に拍車をかけることになってしまった。
ただでさえイランを巡る紛争の拡大を受けた原油価格高騰がインフレ懸念を呼び起こしている状況に加えて、今回の米雇用統計で示された労働市場の軟化という状況が続くようだと、インフレ抑制のために利上げを行うか、労働市場テコ入れのために利下げを行うかというFRBの判断が非常に難しくなってくるだろう。
「公的経済指標における雇用及びインフレは比較的安定」
「FRBの2つの命題である「雇用の最大化」、「物価の安定」が安定化している兆しが見られ、株式市場は(米雇用統計、米消費者物価指数(CPI))発表両日共に落ち着いた動きとなっていた。今後の経済指標でも同様の傾向が見られ、市場予想(6月の0.25%利下げ)に向かって大きなサプライズが無いことを願いたい」
と書いていたのだが早くも当てが外れてしまった。イラン情勢という大きな状況変化が起こったことも踏まえて、今後もやはり利下げに影響を与える米経済指標の内容、それに伴う市場の動きには気を付けていきたい。