トランプ氏の一部EUへ関税表明を受けて市場急落(2026/1)

はじめに

現地時間2026年1月17日(土)、トランプ大統領が自身のSNSにグリーンランドを巡ってEU8ヶ国に関税を課すと投稿を行った。その内容と経緯については

トランプ氏がグリーンランド巡り一部EUへ関税表明(2026/1)

でまとめたが、その際には

「少なくとも休場明けの1月20日(火)の米国市場はこの状況を受けて大きく下落すると想定される」

と書いていた(2026年1月19日(月)はMartin Luther King, Jr. Dayで米国市場は閉場)が、実際に米主要3株式指数は

いずれも大幅下落となった(自分の悪い予想ほどよく当たる)。

以下、1月20日のグリーンランドを巡る状況のアップデートと市場の動きについて整理しておくことにする。


グリーンランドを巡る状況アップデート

以前の状況については

トランプ氏がグリーンランド巡り一部EUへ関税表明(2026/1)

を参照。日付/時間についてはいずれも現地日付/時間

  • 2026年1月19日深夜、トランプ大統領の記者団へのコメント
    • 非常に興味深いダボス会議(1月19日から開催)になるだろう
    • 伝えたいメッセージがたくさんある(1月21日トランプ大統領の演説予定)
    • 米国はいずれにせよグリーンランドを掌握する
    • (欧州首脳は)あまり抵抗しないだろう
    • (フランスが米国が提唱するガザ平和評議会へ参加事態をするとの報道について問われて)マクロン氏はそんなことを言ったのか。彼のワインやシャンパンに200%の関税を課す。彼も参加するだろうが、参加する必要はない
  • 2026年1月19日深夜(日付的には20日)、トランプ大統領のSNS投稿
    • I had a very good telephone call with Mark Rutte, the Secretary General of NATO, concerning Greenland. I agreed to a meeting of the various parties in Davos, Switzerland.
      グリーンランドに関して、NATO事務総長マーク・ルッテ氏と非常に有意義な電話会談を行い、スイスのダボスで関係者による会合を開くことに同意した
    • As I expressed to everyone, very plainly, Greenland is imperative for National and World Security.
      明確に言ってきた通り、グリーンランドは国家と世界の安全保障にとって不可欠だ
  • 2026年1月20日、欧州委員会のUrsula von der Leyen委員長のダボス会議で演説
    • 欧州は北極地域の安全保障に全力を尽くす。この点では米国と目標を共有している
    • グリーンランドとデンマークの連帯、双方の領土の主権と完全性には交渉の余地がない
    • 米国の人々は味方というだけでなく、友人だと考えている
    • 欧州連合(EU)と米国は昨年7月に貿易協定に合意した
    • 政治においてもビジネスにおいても、合意は合意だ。そして友人同士が握手するということは、何か意味を持つはずだ
    • 我々が負の連鎖に陥れれば、双方が戦略的な地勢図からまさに締め出そうとしている敵対勢力を後押しするだけだ。われわれの対応は揺るぎなく、団結していて釣り合ったものになる
  • 2026年1月20日、トランプ大統領のホワイトハウスでの記者会見
    • (グリーンランド関連関税の導入について)他の選択肢もあるが、関税が最強で、最速で、最も容易な方法だ
    • (グリーンランド関連関税の導入がEUによる投資約束の破棄を招く可能性があるか)EUは我々との合意を非常に必要としている。本当に必要としている。合意を得るために懸命に戦った。だから、それはないだろう
    • (グリーンランドの安全を守るためにどこまでやるつもりか)わかるだろう(You’ll find out.)
    • (マクロン大統領が提案したG7緊急会合への出席について)いや、行かない。英仏首脳とは良好な関係を保っている

2026年1月20日(火)の米国市場の動き

米国株式市場

冒頭に挙げた通りいずれも大きく下落。これは2025年10月にトランプ大統領が中国への追加関税を示唆する投稿を行って以来の下落幅。

S&P 500の日中の動きを見てみると

開場直後に1.5%程度下落。その後1.0%~1.5%下落の範囲で推移していたが、昼過ぎから下落傾向となり結局前営業日比2%を超える下落で取引を終えている。ダウ工業平均、NASDAQ総合も概ね同様の動き。

ちなみに同日行われたトランプ関税に関する最高裁の審議で判断は下されず(次回審議日程は未定)。またトランプ大統領が期限としたクレジットカードの金利上限に関する状況の進展も無かった。

米国10年債

2026年1月19日(月)はMartin Luther King, Jr. Dayで米国市場は閉場。前週末から利回りは上昇して取引が始まったが、その後は方向感が明確というほどではない動きで取引を終えているが、一時2025年8月下旬以来の高水準である4.31%となる局面もあった。

これはグリーンランドを巡る関税の動きに加えて、1月19日(月)の日本市場での長期金利上昇が米国及び欧州にも波及したものと見られている。

同日ベッセント米財務長官はダボスでNBCのインタビューに答え「私は日本の経済担当カウンターパートと連絡を取っている。日本側から市場を落ち着かせる発言が出てくることを確信している」、「米市場の反応を、日本で国内要因によって起きている動きと切り分けるのは極めて難しい」などとコメントしている。

ドル円為替

先週末は1ドル=158円近辺で取引を終えていたが、週末のトランプ大統領の投稿を受けて1ドル=157.5円までドル安に。しかしその後は徐々にドル高傾向となり一時1ドル=158.5円台を突破。その後為替介入が取り沙汰され1ドル=157円台後半になり、その後は1ドル=158円を挟んで方向感が定まらない動き。

ただしドル高となっているのは対円だけで、ドルは欧州通貨などに対してドル売り傾向が顕著となり1日のドル下落率としては2025年12月中旬以来最大の下落となっている。


まとめ

以上、グリーンランドを巡る状況のアップデートと市場の動きについて整理してみた。

覚悟していたとはいえ市場は上述の様に3ヶ月振りとなる大幅下落となり、自分の米国株資産は

2%を超える大幅減少でここまで減少するとは思わなかった。特に自分の主力銘柄のシティグループ(C)が

と他の米銀株に比べても大きく下落したのが影響し、シティ株だけで約3万ドルの減少(ただしシティの下落幅が大きかった理由は不明)。

自分の米国株資産が2%を超える減少となったのは市場よりも更に遡り2025年4月10日に米中の関税報復が激化して

3%を超える減少となって以来のこと。また絶対額では

米国相互関税発動後2日目の2025年4月4日に経験しており、それらと比べるとマシだったと自分を慰めるしかないだろう。

この日の下落で市場にある程度状況が反映されたと思いたいが、ダボス会議でのトランプ大統領の演説内容、それを受けての今後の状況次第では更なる下落局面もあるだろう。昨日も書いた様に何とか早めに事態が鎮静化してくれることを願いたい。

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