またしても米相互関税の情報が錯綜(電子機器関連)(2025/4)

はじめに

2025年4月になってから米国の関税政策を巡っては、結局フェイクニュースだったが

2025年4月7日の関税を巡る情報で大きく乱高下した米国株式市場

や数日前に発動した米相互関税の上乗せ部分の90日間停止

米相互関税の90日一時停止で米株市場は上昇、だが(2025/4)

に代表されるように関税を巡る情報、政権の発言、施策が市場の不安定さに拍車をかけている。

そしてこの週末も米国の関税政策を巡る情報が錯綜している。

以下、その内容について確認し整理しておく。


米のハイテク機器に関する上乗せ関税を巡る直近の動き

【2025年4月11日(金)深夜】

  • 米税関・国境警備局が関税の対象外となる品目の一覧を公表
    • 除外対象となるのは20の製品カテゴリーで、コンピューター、ノートPC、ディスクドライブ、自動データ処理装置、半導体製造装置・機器、メモリーチップ、薄型ディスプレー、スマートフォンなど
    • これらの電子機器は大半の国に課している一律10%の関税も免除される
    • この措置は米国時間4月5日午前0時1分にさかのぼって適用される

【2025年4月13日(日)】

  • 中国商務省がSNS(微信(ウィーチャット))に以下の投稿
    • これは米国が「報復関税」という一方的な誤った行為を正すための小さな一歩だ
    • この誤った行為を完全撤回する大きな一歩を踏み出し、相互尊重に基づいた対等な対話を通じて意見の相違を解決する正しい道に立ち戻ることを求める
  • 米ラトニック商務長官が米ABCの番組で以下の発言
    • (除外対象となった)これらの製品全ては半導体として分類され、生産を確実に米国内へと戻すために特別な関税をかけることになる
    • 必要とする基本的な物品を中国に依存したままではいられない
    • (半導体に関する新しい関税は)恐らく1、2ヶ月後に発動される
    • 半導体に関する通知は、週内に連邦官報に掲載される
  • トランプ大統領がSNSに以下の投稿(長いので前半部分のみを抜粋)
    • NOBODY is getting “off the hook” for the unfair Trade Balances, and Non Monetary Tariff Barriers, that other Countries have used against us, especially not China which, by far, treats us the worst!
      他国が我々に対して行使してきた不公平な貿易収支と非通貨関税障壁から「逃れる」者は誰もいない。特に我々を最もひどい扱いをしている中国はなおさらだ!
    • There was no Tariff “exception” announced on Friday. These products are subject to the existing 20% Fentanyl Tariffs, and they are just moving to a different Tariff “bucket.” The Fake News knows this, but refuses to report it.
      金曜日に発表された関税に「例外」はない。これらの製品は既存の20%のフェンタニル関税の対象であり、単に別の関税「枠」に移されただけだ。フェイクニュースはこれを知っているが報道を拒否している
    • We are taking a look at Semiconductors and the WHOLE ELECTRONICS SUPPLY CHAIN in the upcoming National Security Tariff Investigations.
      我々は、今後の国家安全保障関税調査において半導体と電子機器サプライチェーン全体を調査する予定だ
    • What has been exposed is that we need to make products in the United States, and that we will not be held hostage by other Countries, especially hostile trading Nations like China, which will do everything within its power to disrespect the American People.
      明らかになったのは、我々は米国で製品を作る必要があり、米国民を軽視するためにあらゆる手段を講じる中国のような敵対的な貿易国をはじめ、他の国々に人質に取られることはないということだ
  • トランプ大統領が大統領専用機で記者団に対し以下の発言
    • 半導体輸入に対する関税率を今後1週間以内に発表する
    • 同分野の一部企業には柔軟な対応を取る

【2025年4月14日(月)】

  • 中国外務省報道官の定例会見でのコメント
    • 事実が証明しているように、関税戦争や貿易戦争には勝者がいなく、保護主義には出口がない
    • アメリカによる関税の乱用は、他人にも自分にも損害を与えることになる
    • 圧力をかけるという誤ったやり方を放棄し、平等・尊重・互恵の上で対話を通じて問題を解決するよう求める

まとめ

最初に米国の相互関税からハイテク機器に関する上乗せ関税が免除されるという報道、その後中国が見方によっては歩み寄りとも取れる反応をしたことで少しほっとしたのだが、米ラトニック商務長官が今回関税の除外対象となったスマートフォンやコンピューター、その他電子機器について今後予定している半導体に関する関税の対象になるとの認識を示し、またトランプ大統領がもラトニック商務長官の発言を確認し中国を名指しで批判したことで、僅かな安堵感は週末の僅かな期間で無くなってしまった。しかしその後トランプ大統領は一部企業には柔軟な対応を取るともしている。

この週末の情報の錯綜を受けて市場が、電子機器に関する上乗せ課税が一時免除されたことや一部企業に柔軟な対応を取るとしたことをポジティブに捉えるのか、結局1週間で詳細が明らかになり、1、2ヶ月後には半導体というカテゴリーで、最近米国が鉄鋼・アルミニウムや自動車・自動車部品に関した一律課税と同様な措置がなされる可能性が高いということをネガティブに捉えるのかに要注目。また中国の反応も現時点では自制を求める程度だが注意が必要。

もはや政権の動きを想定するのは諦めているのだが、それにしてもトランプ政権の特に関税政策に関する不整合/迷走具合は素人目から見ても酷すぎる。何とかならないものかねえ・・・。

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