はじめに
2024年11月1日(金)には自分の所有銘柄であるエクソン・モービル(XOM)の2024年第3四半期決算発表があった。
前回の2024年第2四半期決算は市場が大きく下落する中でほぼ横ばいとなったものの
「今後のエクソン株だが、基本的には買収効果が今後も期待できることから悪くはない動きとなる気がしている。ただしエクソン株はよくも悪くも原油先物価格に連動する可能性があるため、現在の中東情勢や米国の景気減速懸念などに敏感に反応する可能性もある。前四半期と同じ期待になるが、市場と同程度のパフォーマンスは維持して欲しいものだ。」
と書いていた。実際にはその後は大きな上昇や大きな下落もなく狭い範囲での株価推移だったような印象がある。
そんな状況の中、今回のエクソン2024年第3四半期決算及び株価はどうだったのか。以下に内容を確認し整理しておく。
エクソン・モービル2024年第3四半期決算概要
以下の情報はエクソン・モービルの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第3四半期の総収入(Total revenues and other income)は900億1600万ドル、前年同期は907億6000万ドル
- 2024年第3四半期のGAAPベースでのエクソン帰属純利益(Net income/(loss) attributable to ExxonMobil)は86億1000万ドル、前年同期は90億7000万ドル
- 2024年第3四半期の1株あたり利益(EPS)は1.92ドル、前年同期は2.25ドル
- 2024年第3四半期の特別項目を除く調整後1株あたり利益(Earnings Excluding Identified Items Per Common Share)は1.92ドル、前四半期は2.14ドル
- 2024年第3四半期の設備及び探鉱用投資(Capital and Exploration Expenditures)は71億5900万ドル、前四半期は70億3900万ドル
事業部別業績
各事業部の結果は以下の通り。
【アップストリーム(U/S)(探索権の獲得、原油の探鉱、開発、生産)】
Non-GAAPベースの利益は61億5800万ドルで、前四半期は70億7400万ドル。
【エネルギー製品(EP)】
Non-GAAPベースの利益は13億900万ドルで、前四半期は9億4600万ドル。
【化学製品(CP)】
Non-GAAPベースの利益は8億9300万ドルで、前四半期は7億7900万ドル。
【特殊製品(SP)】
Non-GAAPベースの利益は7億9400万ドルで、前四半期は7億5100万ドル。
2024年通期見通し
2024年の通期見通しに関しての資料提示はなし。
その他
その他決算及びカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 第3四半期の利益は86億ドルで、第3四半期としては過去10年間で最高の四半期の一つ(ただし昨年よりも減少)
- さらに重要なのは、今四半期の結果が当社の全社的な変革がいかにして収益力を向上させているかを引き続き示していること
- 当社はすべての事業において、特に景気サイクルの底にある状況において、コスト削減、高収益の投資、収益性の向上を目的とした売却に注力してきた
- 今朝、四半期配当を4%増額して1株あたり0.99ドルにすると発表
- 当社は年間配当金を42年連続で増額しており、配当貴族(dividend Aristocrats)と呼ばれるエリート層に属している
- S&P 500企業のうち、40年以上にわたり毎年増配している企業は4%未満
- 当社はまた、S&P 500企業の中で最も高い配当金を支払っている上位5社に名を連ねている
- 第3四半期は(買収した)パイオニアとの初の完全な四半期であり、生産量で日量77万石油換算バレルが追加された。パイオニアのシナジー効果は予想よりもかなり高い
- 12月11日に企業計画アップデートを行う予定
質疑応答は細かい話や世界各地で進展中の様々なプロジェクトの現状についてが多かった印象でここでは割愛。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第3四半期の総収入(Total revenues and other income)は900億1600万ドル、市場予想の935億ドルを下回っている
- 2024年第3四半期の特別項目を除く調整後1株あたり利益(Earnings Excluding Identified Items Per Common Share Assuming Dilution)は1.92ドル、市場予想の1.88ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてエクソン・モービルの株価は
前日比1.57%の下落。同日の米国市場が
いずれも上昇して終えたことを踏まえるとエクソンの下落はまずまず大きい。日中の動きを見てみると取引開始直後は
2%を超える上昇で始まったのだが、時間経過と共に下落傾向となってしまっている。当初は市場予想を上回るEPSが評価されたのだろうが、売上が市場予想に届かなったことや同日決算のあった競合シェブロン(CVX)が売上、EPS共に市場予想を上回り2.86%上昇したのと比べて見劣りしたことが下落の原因なのだろう。
決算後数日を含めた年初来のエクソン株の推移を市場(S&P 500)及びニューヨーク原油先物価格と比べてみると
2024年4月末の第1四半期決算頃までは概ね原油先物価格の推移と類似。以降は原油先物価格程エクソン株は下がらなかった一方で、6月から原油先物価格が上昇してもエクソン株は上がらず。そして7月半ばから再度の原油先物価格が下落傾向になった際にもそれ程下がらずにいたのだが、10月には原油先物価格と同様に下落傾向となり、エクソン株、原油先物価格がやや持ち直し始めた中での今回決算では上昇し、その後数日も大統領選でトランプ氏が勝利したこともあってかエクソン株は上昇傾向が続いている。
今後のエクソン株だが、トランプ氏が大統領選に勝利したことによる利点が有力とみられている一方で、原油価格が中東情勢や今後の需要過多の予測から価格/供給のバランスがどうなるか、そして上の年初来チャートの様に原油先物価格とある程度の連動性が見られるエクソン株がどう推移するのかは極めて不透明。12月に予定されているOPECプラス会合でどういう決断が下されるかにまずは注目しておくことにしたいが、年初来の原油先物価格下落に対して持ちこたえているこの状態を維持してもらいたいものだ。