2024年5月発表の米消費者物価指数と市場(2024/5)

はじめに

米国時間2024年5月15日(水)に2024年4月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。

前回2024年4月発表のCPIはインフレ圧力が根強いことが示されFRBの政策/先行きに不透明感が増したこともあってか市場(S&P 500)は4月半ばに6営業日続落。その後米企業の四半期決算が予想よりも好調なこともあってかやや持ち直したものの、4月30日発表の雇用コスト指数や住宅価格指数でまた下落と不安定だった。

そして4月30日、5月1日実施のFOMCでは上下動はあったもののFRBのスタンスは変わらなかったことで結局前日とあまり変わらない穏当な形で終え、その流れを受けて今回のCPI発表まで株式市場は4月の下落を取り戻す勢いを示している。

そんな中で今回のCPI結果、そしてそれを受けて市場はどう動いたのか。以下に確認して整理しておく。


2024年5月15日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2024年4月消費者物価指数(CPI)

以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。

  • 2024年4月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は0.3%の上昇、市場予想は0.4%の上昇

  • 2024年4月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では3.4%上昇、市場予想も3.4%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比3.6%上昇、市場予想も3.6%の上昇、前月比では0.3%の上昇、市場予想も0.3%の上昇

  • 家庭用食品(Food at home)は前年比1.1%上昇。2024年3月は前年比1.2%上昇
  • 電気代(Electricity)は前年比5.1%上昇。2024年3月は前年比5.0%上昇
  • 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比5.5%上昇。2024年3月は5.7%上昇

労働統計局によると住居費とガソリンが全品目の伸びの70%余りを占めている。

サービス分野で最大の項目となる住居費が3ヶ月連続で前月比0.4%上昇。ブルームバーグの算出によると、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.4%上昇で、2024年で一番低い伸び率だったとのこと。


同日の市場の動き

米国株式市場

CPIの伸び鈍化を受けて、ここ最近不透明だった米連邦準備理事会(FRB)の利下げが早ければ9月に開始されるとの期待が高まったことから株式市場は上昇。同日米商務省が発表した4月の小売売上高が横ばい(市場予想では増加)だったことも、利下げが近付いているという期待を補強して株式市場上昇に寄与したのだろう。

米国10年債

今回のCPI結果を受けて、年内の利下げ期待が高まったことから利回りは低下している。

ドル円為替

CPIの発表があった米EDT8:30は上記ドル円チャートのBST13:30。CPI発表直後にドル安になったもののその後少し方向感に乏しい動き。そして時間経過と共にドル安傾向が顕著となり2円程度(1ドル=153円台)まで円高となったが、上記グラフの後徐々にドル高となり結局24時間経過時点では1ドル=155円台となっている。為替に関しては未だドル高基調が続いているのだろうか。


まとめ

今回のCPIの結果次第では、冒頭に触れた5月に入ってから上昇していた株式市場が前回のCPI時の様に再び下落に転じるのでは、という懸念もあったのだが実際にはインフレ鈍化がみられる結果となったことで上昇して終えており一安心。

ただ総合CPIは鈍化しているものの、コアCPI指数の動きは不透明であり今回はやや低下したものの次回以降の結果次第ではまだまだ市場に与える影響は大きそうだ。何とかインフレを低下させ、株式市場、ドル円為替への影響を最小化してもらいたい。今回の様に今後も穏当に各種経済指標、FOMCのイベントを通過してくれるといいのだが。

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