はじめに
昨日2023年12月6日(水)の米国株式市場は
時間経過と共に徐々に失速していずれも前日比下落して取引を終えている。
そんな中自分が所有しているタバコ銘柄のアルトリア・グループ(MO)とフィリップ・モリス(PM)は
揃って市場より大きい下落幅となっている。
調べてみたところアルトリア、フィリップ・モリスに動きがあった訳ではなく、同業のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の発表が影響していたようだ。掲題の通り今後の紙巻きタバコ銘柄の株価に影響を与えそうな事柄でもあるので、以下に内容を確認し整理しておくことにする。
2023年12月6日のブリティッシュ・アメリカン・タバコの発表
発表のタイトルは2023 Second Half Pre-Close Trading Update(2023年下半期の取引終了前最新情報)であるが、アルトリア株とフィリップ・モリス株に影響を及ぼしたであろう部分のみを抜粋する。
【ブリティッシュ・アメリカン・タバコの企業サイトより引用】
- 無煙世界の構築(Build a Smokeless World)という当社のビジョンと、米国の可燃物業界に影響を与えている現在のマクロ経済的逆風とを組み合わせ、2023年に当社は会計上の非現金調整減損費用を約250億ポンド計上する予定
- この会計調整は主に当社が買収した米国の可燃性ブランドの一部に関連しており、当社はその評価を推定30年間の経済的耐用年数とする
- これに伴い当社は米国可燃物ブランドの残存価値の償却を2024年1月から開始する
【アナリストとのカンファレンスコールでの経営陣の発言】
- ニューポート、キャメル、ポール・モール、ナチュラル・アメリカン・スピリットの各ブランドが影響を受ける
- 30年以内に可燃性タバコがなくなるとは考えていないが、BATの貸借対照表上の約800億ドルに相当するこれらのブランドの価値を無期限に正当化することはもはや不可能
この発表を受けてニューヨーク証券取引所のブリティッシュ・アメリカン・タバコ株は
前日比8.50%の大幅下落となっており、2010年9月以来の安値とのこと。
まとめ
上記の様にブリティッシュ・アメリカン・タバコの発表が同業のアルトリア、フィリップ・モリスの株価に影響を及ぼしたのだが、ポイントは
- 規制と健康リスクに対する意識の高まりがタバコ会社の伝統的な可燃性タバコビジネスを圧迫している
- インフレで疲弊した消費者の一部が安価なブランドへ移行している米国の経済的課題
- 違法な使い捨てVAPEの台頭
等の組み合わせから、米国可燃性タバコブランドの一部の扱い方を調整し、その価値を30年の有限の耐用年数にシフトせざるを得なかったという点だろう。
また大手タバコ会社の中では、米国で従来のタバコ事業の価値を減損処理した初めてのケースであり、タバコブランドの価値には有効期限があることを認めるのも初めてとなる。
自分にとって問題なのは、上記の様な理由がブリティッシュ・アメリカン・タバコだけでなく、自分が所有しているアルトリア、フィリップ・モリス株にもそのまま当てはまることだろう。昨日のブリティッシュ・アメリカン・タバコの発表を受けてアルトリア、フィリップ・モリス株がいずれも下落した点からもそれは明らかと言える。
年初来のアルトリア、フィリップ・モリス株の推移を見てみると
市場(S&P 500)が18.49%上昇しているのに対してアルトリアは9.52%、フィリップ・モリスは8.57%と下落している。
残念ながらこの先同様の発表がアルトリア、フィリップモリスから行われて更に株価が大幅下落する可能性もあることは認識しておいた方がいいだろう。何とか可燃性タバコの代替品が成長して欲しいのだがまだまだ時間がかかりそうだし、タバコ銘柄の取り扱いについて自分が取るべき手段を真剣に考える時期なのかもしれない。