はじめに
2023年2月23日(木)の米国市場閉場後に自分が所有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)の決算発表があった。
決算発表後の時間外取引では下落していたのだが、翌日24日(金)の取引ではどうなったのか。
以下決算内容と株価を確認し整理しておく。
ワーナーブラザース・ディスカバリー2022年第4四半期決算概要
以下の内容は、ワーナーブラザース・ディスカバリーの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第4四半期の総売上高(Total Revenues)は110億800万ドル、前年同期は31億8700万ドル
- 2022年第4四半期のシリーズA株希薄化後1株当たりの純(損失)利益(Net (loss) income per share allocated to Warner Bros. Discovery, Inc. Series A common stockholders Diluted)は0.86ドルの損失、前年同期は0.08ドルの利益
事業部別業績
プロフォーマ調整はワーナーブラザース・ディスカバリー設立前の2022年4月8日までのAT&T傘下時のワーナーメディア事業であったため比較可能な様に実施。
【スタジオ部門】
プロフォーマベースでの売上は前年比23%減、費用は前年比19%減、Adjusted EBITDAは前年比34%減(いずれも為替の影響除く)。
【ネットワーク事業】
プロフォーマベースでの売上は前年比6%減、費用は前年比3%減、Adjusted EBITDAは7%減(いずれも為替の影響除く)。
【DTC事業】
プロフォーマベースでの売上は前年比6%増、費用は前年比6%増、Adjusted EBITDAは2億1700万ドルの損失で前年比70%増(いずれも為替の影響除く)。
DTC加入者数
- 有料ストリーミング加入者の総数は今四半期110万増加し合計9610万
2023年見通し
2023年の見通し及び財務目標は以下の通り。
- 2023年のGAAPベースEBITDA成長率は20%台前半から半ば
主に財務上の目標について触れられている。
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2022第4四半期の純損失にはワーナー・ブラザースとディスカバリーの統合に関連した取引関連無形資産の税引き前償却費18億5000万ドルと税引き前リストラ費用11億9800万ドルが含まれている
- 昨年4月のAT&Tからのワーナーメディア分離及びディスカバリーとの統合以降の債務返済額は70億ドルに達しており、今後の経営効率性を追求して2024年までに40億ドルのコスト節減を実現する道筋にある
- 最高経営責任者(CEO)のDavid Zaslav氏はカンファレンスコールで以下の様にコメント
- リストラの大部分は終わった。今、私たちは1つの会社だ(The bulk of our restructuring is behind us…we are one company now)
- 今年は当社にとって非常にエキサイティングな年になるだろう(This promises to be a very exciting year for our company)
- 複数の「ロード・オブ・ザ・リング(Lord of the Rings)」の制作を発表
- 「ホグワーツ・レガシー(Hogwarts Legacy)」は発売2週間で1200万ユニット超を販売し、売上は8億5000万ドル
- DCは我々にとって最大の価値創造の機会である(DC is the biggest value creation opportunity for us)(注:ワーナーブラザース・ディスカバリーが所有するDCユニバースが1月に今後8〜10年の計画の一部としてバットマンやスーパーマンを含む10本の映画製作を発表している)
- HBO Max/Discovery+の統合については4月12日に予定しているプレスイベント詳細を発表
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第4四半期の総売上高(Total Revenues)は110億800万ドル、市場予想の113億7600万ドルを下回っている
- 2022年第4四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)は0.86ドルの損失、市場予想は0.21ドルの損失
- 2022年第4四半期の有料ストリーミング加入者増加は110万、市場予想の160万を下回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算発表を受けてワーナーブラザース・ディスカバリーの株価は
1.14%の下落。同日の米国市場がPCE指標の影響もあって
いずれも1%を超える下落となっていることや、冒頭に挙げた様に本取引前の時間外後取引で4%を超える局面もあった事を考えると悪くない着地点だったと言えるだろう。
ただ日中の動きを見てみると
市場(S&P 500)が下落してほぼフラットだった一方、WBDは午前中の上下動が激しく一時前日比プラスとなる局面もあったものの最終的には市場と同程度の下落という判断に難しい動きとなっている。
個人的には第4四半期の売上やEPSは市場予想を下回っているものの、カンファレンスコールでの前向きな発言を信じたいところだが今後どうなるか。
前四半期決算(11月3日)を受けて10ドルを割り2022年末には更に8ドル台にまでなったWBD株だが、
2023年に入ってからはかなり上向きとなっており今回の決算も結果的には無難に乗り切ったので、何とかこの2023年の上昇基調を維持してもらいたい。