2022年ストレステスト結果を受けての米銀配当等(2022/6)

はじめに

2022年6月23日発表のFRB米銀ストレステスト結果まとめ

で言及した様に、6月27日(月)の米国市場閉場後に各銀行が損失に対するストレス資本バッファー(stress capital buffer)をどの程度保有する必要があるかや株主に還元できる額を決める要件が各行から開示され、それに伴い配当等についてのアップデートを行っている。

以下自分の所有米銀株であるシティグループ(C)とJPモルガン・チェース(JPM)を中心に、いつも比較として使っているバンク・オブ・アメリカ(BAC)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)を交えてアップデートの内容と、その発表を受けての6月28日(火)の株価について確認しておくことにする。


2022年ストレステストを受けての主要米銀四半期配当方針

以下はいずれも各企業のサイトより引用・抜粋。ストレス資本バッファーは最終的にFRBが決定。

シティグループ(C)

ストレス資本バッファー要件:3.0%から4.0%に増加すると予想

現在の一株当たり四半期配当:@0.51ドル(12四半期、3年間据え置き)

今後の一株当たり四半期配当:恐らく@0.51ドルから変わらず

  • We have capacity to maintain the current common dividend of $0.51 per share in a range of stress scenarios, including the one outlined in the FRB stress test.
    我々はFRBストレステストで概説されたものを含む様々ななストレスシナリオで1株あたり0.51ドルの現在の普通配当を維持する能力を持っています

JPモルガン・チェース(JPM)

ストレス資本バッファー要件:3.2%から4.0%に増加すると予想

現在の一株当たり四半期配当:@1.00ドル

今後の一株当たり四半期配当:恐らく@1.00ドルで変わらず

  • JPMorgan Chase’s Board of Directors intends to maintain the current quarterly common stock dividend of $1.00 per share for the third quarter of 2022 in light of higher future capital requirements.
    JPモルガン・チェースの取締役会は、将来の資本要件の高まりを考慮し2022年第3四半期に1株あたり1.00ドルの現在の四半期普通株式配当を維持する予定です

ウェルズ・ファーゴ(WFC)

ストレス資本バッファー要件:3.1%から3.2%に増加すると予想

現在の一株当たり四半期配当:@0.25ドル

今後の一株当たり四半期配当:@0.30ドル(20%増、2022年第3四半期より)

  • The Company expects to increase its third quarter 2022 common stock dividend to $0.30 per share from $0.25 per share, subject to approval by the Company’s Board of Directors at its regularly scheduled meeting in July.
    当社は、2021年第3四半期の普通株式配当を1株当たり0.25ドルから0.30ドルに引き上げる予定です。これは7月に定期的に開催される取締役会の承認を条件としています
  • Additionally, over the four-quarter period beginning third quarter 2022 through second quarter 2023, the Company has significant capacity to execute on common stock repurchases, which will be routinely assessed as part of the Company’s internal capital adequacy framework that considers current market conditions and other risk factors.
    さらに2022年第3四半期から2023年第2四半期までの4四半期にわたり、当社は普通株式の買戻しを実行するための重要な能力を有しており、現在の市況およびその他リスク要因を考慮した当社の内部自己資本比率の枠組みの一部として定期的に評価します

バンク・オブ・アメリカ(BAC)

ストレス資本バッファー要件:2.5%から3.5%に増加すると予想

現在の一株当たり四半期配当:@0.21ドル

今後の一株当たり四半期配当:@0.22ドル(4.8%増、2022年第3四半期より)

  • In October 2021, we renewed the Company’s previously announced $25 billion common stock purchase program with $17 billion remaining as of March 31, 2022, and today we are also announcing that we expect to increase the quarterly common stock dividend by 5% to $0.22 per share.
    2021年10月に当社は以前に発表した250億ドルの普通株式購入プログラムを更新し、2022年3月31日時点で170億ドルを残っています。また本日、四半期の普通株式配当を5%増の1株あたり0.22ドルにする予定であることも発表しました

まとめ

上記の様な情報開示を受けての6月29日(火)の4行と市場(S&P 500)の日中推移及びの株価を見てみると以下の様になる。

市場がいずれも1.5%以上下落しているのに比べると、主要4銀行はシティの下げ幅が他行に比べて1%多いものの市場よりは下げ幅が少なく済んでいる。先週6月24日(金)の時点でアナリストがストレス資本バッファー/配当・株式買い戻しについて言及して既に株価にある程度織り込み済みで特に驚きは無かったということなのだろう。

ちなみに昨日米国市場が振るわなかったのは10:00以降に下落基調になっていることから、同日10:00にConference Boardより発表された米消費者信頼感指数(Consumer confidence Index)が98.7%と5月の103.2%から4.5%下落し、市場予想の100.0%を下回った事が影響したようだ。また今後6ヶ月の短期見通しであるExpectations Indexは73.7%から66.4%に急落し、2013年3月の63.7%以来の低水準となっている。

結局2022年6月23日発表のFRB米銀ストレステスト結果まとめで以下の様に懸念していた

「次は実際のストレス資本バッファーがどうなるか、その結果自社株買い戻しや配当がどうなるかに注目だが、上述のアナリストの見込が正しいのであれば残念ながら期待しない方が良さそうだ。シティは丸三年(12四半期)配当据え置き中であるので何とか配当増を期待したかったのだが・・・。」

通り自分の所有している米銀株シティとJPモルガンの配当は据え置きとなる可能性が高いのは残念ではあるが、最近の市場を考えるとストレステストを受けて急激な株価下落や配当減にならなかったことを良しとするべきなのだろう。

そして約半月後の2022年7月14日はJPモルガン、7月15日にはシティがそれぞれ2022年第2四半期の決算発表を予定しているので、ストレステスト同様何とか上手く乗り切ってくれることを期待したい。

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