アメリカのベネズエラ軍事介入後の市場と原油価格(2026/1)

はじめに

現地時間2026年1月3日(土)未明にアメリカがベネズエラへ大規模な軍事作戦(Absolute Resolve)を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束してアメリカへ移送した。

この件に関しては色々な立場から様々な意見が出ているが詳細は割愛し、2026年1月5日(月)の米国市場及びニューヨーク原油先物価格がどう変動したか、また1月4日(日)に開催されたOPECプラス会合について確認しておく(ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量とされている。ただし現在の生産量は世界の1%未満とも)。


2025年1月4日(日)開催のOPECプラス会合

会合前の状況

  • OPECプラス有志8ヶ国は昨年2025年に、市場シェアを回復するため原油生産を日量約290万バレル引き上げている
  • ただ2025年11月の会合で、北半球の冬の需要が比較的低調だとして2026年1~3月は増産を一時停止することで合意している
  • 2025年はOPECプラス加盟国やその他の主要産油国の供給量が拡大したため、原油先物価格はCOVID-19以降では最大となる18%の大幅下落を記録
  • また2026年も大幅な供給過剰が予想されている

会合結果

  • 3月まで増産を見送り、原油生産量を据え置く方針を再確認

その他

  • 最近のオンライン会合と同様、今回の会合も10分足らずの短時間で終了したとのこと
  • 会合参加者によると、ベネズエラに関する詳細な議論はなかったが、複数の参加国代表者がマドゥロ氏拘束を受けて直ちに供給量を調整するのは時期尚早と発言したとのこと

2025年1月5日(月)米国市場の動き

米国株式市場

米国のベネズエラ軍事介入後の初取引では米主要3株式指数はいずれも上昇。

同日は米供給管理協会(ISM)が発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)が47.9と市場予想の48.4を下回ったものの、顧客在庫が2022年10月以来の低水準となり、顧客在庫指数が「低すぎる」状態にあることは、通常、将来の生産にとって好ましい状況とみなされるため、PMI結果は市場に大きな影響を及ぼさなかった。

S&P主要11セクターでは7セクターが上昇し、下落したのはS&P主要消費財、S&Pヘルスケア、S&P情報技術、S&P公共事業の4セクター。情報技術セクターが伸び悩んだことがS&P 500、NASDAQ総合の上昇がダウ工業平均に及ばなかった理由だろう。

また中南米の株式市場もMSCIの中南米株価指数が2.2%上昇しており、とりあえず市場は冷静に事態を受け止めている様に見受けられる。

米国10年債

前日とほぼ変わらずで取引を開始し、その後利回りは低下傾向となったが後半はほぼ横ばいで取引を終えている。

利回りは低下したがその変動幅は限定的で、こちらも米国のベネズエラ軍事介入に対する市場の反応は薄かったと言える。市場では1月FOMCの政策金利に影響を及ぼす可能性がある1月9日(金)発表の米雇用統計を控えて様子見が主流のようだ。

ドル円為替

週末の米国によるベネズエラ軍事介入後の1月5日の取引はややドル高で始まり1ドル=157円台となったが、その後は基本的にはドル安傾向だが方向感がはっきりしない動きで1ドル=156円前後~157円の範囲での動き。そして現在は1ドル=156.25~156.50円の狭いレンジでの推移が続いている。

特段大きな動き/傾向はなく思ったよりは落ち着いた動きとなっており、債券市場と同様に1月9日(金)発表の米雇用統計を控えて小動きとなっている模様。

ニューヨーク原油先物価格と大手石油株

週末の米国によるベネズエラ軍事介入後の取引は当初やや上昇し1バレル=57.50ドルを超えたがすぐに1バレル=56.50ドルまで下落。しかし米東部時間1月5日の午前4時前から上昇に転じて、1バレル=58ドルを超える水準での取引が続いている。

週明けの取引で当初下落傾向となったのはベネズエラの石油関連施設に直接の被害がなかったためと思われ、その後上昇したのは今後の不透明さや短期的な供給混乱可能性が意識されたものと思われる。

また自分が所有しているエクソン・モービル(XOM)を含む大手石油会社の株価は

とまちまち。

トランプ大統領が軍事行動後のFOXニュースとのインタビューで、ベネズエラの石油事業に関与することになる、との発言などもあり米企業であるエクソン、シェブロン(CVX)は上昇(BP、SHELはイギリス企業)。シェブロンの上昇幅がエクソンに比べて大きいのは、シェブロンが既にベネズエラで操業している唯一の米石油企業であるためだろう。


まとめ

米国によるベネズエラ軍事介入が市場にどう影響を及ぼすか身構えていたのだが、まずは株式、債券、為替、原油いずれも冷静に反応している様に見受けられる。地政学リスクの懸念から市場の下落も覚悟していたのだが、米国市場に加え中南米市場も上昇したのは以外の感がある。

ただし1日だけで判断するのは時期尚早で、今後の事態の推移・動向については注意していく必要があるだろう。事態が早期に鎮静化し、穏当な着地点を見出すことを願いたいがどうなるだろうか。

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