2025年4月7日の関税を巡る情報で大きく乱高下した米国株式市場

はじめに

2025年4月7日の米国株式市場は

最終的には主要3市場がいずれも1%以内の変動に留まりはしたが、その動きは荒く特に取引前半には大きく乱高下した。掲題に挙げた事が主な原因だったのだが、以下S&P 500中心にその経緯を簡単に整理しておくことにする。


2025年4月7日のS&P 500の動き

時系列に見てみると以下の様になる。

  • 週末から月曜にかけてトランプ大統領及びトランプ政権の経済チームメンバーは基本的に関税措置を擁護する姿勢を示した(マスク氏は除く)
    • トランプ大統領
      • 問題を解決するには時には薬を飲まなければならない
    • 経済顧問ピーター・ナバロ氏
      • このすべてにパニックに陥ってはいけない
      • アメリカ史上最も広範囲な減税が数カ月以内に実施される。それを考慮すると、景気後退に関する議論は馬鹿げているように思える
    • スコット・ベッセント財務長官
      • 今すぐにでも引退したいアメリカ人、つまり何年も貯蓄口座にお金を貯めているアメリカ人は、株式市場の日々の変動を気にしていないと思う
    • ハワード・ラトニック商務長官
      • 何百万という人間の軍隊が小さなネジを締めてiPhoneを作る。そういうものがアメリカにやってくるだろう
  • 日経平均は7.8%下落して2024年12月の直近高値から23%下落の弱気相場入り
  • ハンセン指数は13.2%下落となり1997年以降で最大の下落を記録
  • 欧州市場も大きく下落して取引を開始
  • トランプ大統領がSNSに以下の投稿
    • The United States has a chance to do something that should have been done DECADES AGO. Don’t be Weak! Don’t be Stupid! Don’t be a PANICAN (A new party based on Weak and Stupid people!). Be Strong, Courageous, and Patient, and GREATNESS will be the result!
      アメリカには何十年も前にやるべきだったことを実行するチャンスがある。弱気になるな!愚かになるな!パニックに陥るな(弱くて愚かな人々に基づく新しい政党!)。強く、勇気を持ち、忍耐強くいれば、素晴らしい結果が生まれる!
    • Countries from all over the World are talking to us. Tough but fair parameters are being set. Spoke to the Japanese Prime Minister this morning. He is sending a top team to negotiate! They have treated the U.S. very poorly on Trade. They don’t take our cars, but we take MILLIONS of theirs. Likewise Agriculture, and many other “things.” It all has to change, but especially with CHINA!!!
      世界中の国々が我々と話をしている。厳しいが公平な条件が設定されている。今朝、日本の首相と話をした。彼は交渉のためにトップチームを派遣している。彼らは貿易に関して米国を非常にひどく扱っている。彼らは我々の車を受け入れないのに、我々は彼らの車を何百万台も受け入れている。農業やその他多くの「もの」も同様だ。すべてを変える必要があるが、特に中国に関しては!!!
  • 4月7日(月)のS&P 500は下落して始まり一時その下落幅は4%を超える
  • 以下の出来事が現地時間10時過ぎからの約1時間に発生してS&P 500は大きく乱高下
    • あるSNSで(不明)以下の投稿がなされ、報道各社もそれを報道したため前日比3%の上昇に転じる
      • HASSETT: TRUMP IS CONSIDERING A 90-DAY PAUSE IN TARIFFS FOR ALL COUNTRIES EXCEPT CHINA
        ハセット国家経済会議(NEC)委員長:トランプ氏は、中国を除く全ての国を対象に90日間の関税適用停止を検討している
    • 直後にハセット氏が米FOXニュースのインタビューで以下の様に答え、S&P 500は再び前日比マイナスに
      • (トランプ大統領が90日間の一時停止を検討するかどうか)大統領が何を決定するかは大統領が決めると思う
    • ホワイトハウスのSNSが「Wrong. Fake News.」(間違い。フェイクニュース)と投稿
  • 現地時間11時過ぎにトランプ大統領がSNSに以下の投稿(長いので一部のみ)をし、S&P 500は再び前日比約2%の下落へ
    • if China does not withdraw its 34% increase above their already long term trading abuses by tomorrow, April 8th, 2025, the United States will impose ADDITIONAL Tariffs on China of 50%, effective April 9th. Additionally, all talks with China concerning their requested meetings with us will be terminated! Negotiations with other countries, which have also requested meetings, will begin taking place immediately.
      中国が明日、2025年4月8日までに、すでに長期にわたる貿易濫用に対する34%の引き上げを撤回しない場合、米国は4月9日から中国に50%の追加関税を課す。さらに、中国が要求している米国との会談に関するすべては終了だ! 同様に会談を要求している他の国々との交渉は、直ちに開始されるだろう
  • この後は特に目立った出来事はなく、S&P 500は前日比2%下落~1%上昇の範囲で方向感に乏しい動きを繰り返しつつ前日比マイナス0.23%で取引を終えている。

2025年4月7日米国市場閉場後の動き

  • トランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の大統領執務室会談でのトランプ大統領の発言
    • 関税停止については検討していない
    • 関税は自身の経済政策に極めて重要であり、基本的に維持するつもり
    • 全ての国との公正で良い取引の扉は開かれており、恒久的な関税もあり得るし、交渉もあり得る。関税以外にも必要なものがあるからだ
  • トランプ大統領のSNSでの中国への追加関税50%のを受けて中国商務省の報道官の発言
    • 断固として反対し、アメリカがこのような措置を実行に移すのであれば、自国の利益を守るために対抗措置を講じる
    • アメリカが対中関税をエスカレートさせるという脅しは、間違いを重ねるものであり、中国はこれを決して受け入れない。アメリカが独断専行を続けるのであれば、中国は最後までつきあう

まとめ

2025年4月7日のS&P 500は最終的には前日比マイナス0.23%で取引を終えたのだが、その範囲は前日比4%超下落から3%超上昇という幅広いもの。この短時間にこれ程大きく市場が動いたことはちょっと記憶にない。またこの乱高下は午前中に起こり、その後上述チャートではそれ程動いていないように見えるが、午前中の乱高下の幅が大きいためにそう見えるだけであって、実際には前日比2%下落~1%上昇とかなり荒い動きをしている。

結果的には3日連続の大幅下落を避けることは出来た(ただしほぼ横ばいで終わったとはいえ、結局持ち直した原因はよく判らない。特に時系列を考えると。もしかすると日米首脳会談で関税交渉の余地があるかもしれないことが、時間経過と共に徐々に前向きに捉えられたのかもしれない)が、4月7日の米国市場を振り返ると、トランプ政権の政策/発言、ちょっとしたニュース(例えフェイクであっても)に対する市場の見方/考え方次第でまだまだ神経質で変動幅の大きな株式市場の動きが続く気の休まらない状況が続きそうだ。またフェイクではあったにしても、その上昇振りを考えると米国の相互関税措置の延期/停止や撤回が市場上昇のきっかけになるであろう事もはっきりしたと言える。

4月8日の米国市場は、7日閉場後の米/イスラエル会談や中国の反応を踏まえてどうなるのだろうか。4月に入ってからこれまで

2025年4月2日発表の米国の相互関税発表後の市場と自分の資産

2025年4月の米相互関税に対する中国の報復等と市場/自分の資産

と大きく下落しているので何とか7日の横ばいから反発して欲しいものだ。

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