シティグループ、JPモルガンのストレステスト結果(2020/6)

はじめに

先日今年のストレステスト結果についてまとめたが、それはFRBの視点からのもの。

昨日6月29日は自分の所有銘柄であるシティグループ(C)、JPモルガン・チェース(JPM)からそれぞれストレステストに関する発表があったので、以下に整理しておくことにする。


2020年6月29日付シティグループの発表内容

以下はシティグループの企業サイトより引用・抜粋。タイトルは、

  • Citi Announces 2020 Interim Stress Capital Buffer Requirement
    シティは2020年の暫定的なストレスキャピタルバッファー要件を発表

内容は、

  • The Federal Reserve Board communicated that Citi’s interim Stress Capital Buffer (SCB) requirement would be 2.5% for the four quarter window of 4Q 2020 – 3Q 2021.
    連邦準備理事会(FRB)は、シティの暫定的なストレスキャピタルバッファー(SCB)要件は2020年第4四半期から2021年第3四半期の4四半期ウィンドウに対して2.5%になると伝えました。
  • Incorporating this SCB, and a GSIB surcharge of 3%, results in a minimum regulatory requirement of 10% for both Standardized (using SCB) and Advanced (using the Capital Conservation Buffer – “CCB”) Approaches relative to Citi’s Common Equity Tier 1 ratio of 11.2% using Advanced Approaches as of the first quarter of 2020.
    このSCBとGSIBの追加3%を組み込むと、標準化された(SCBを使用する)アプローチと高度な(資本保全バッファー “CCB”を使用する)アプローチの両方で、シティのCommon Equity Tier 1比率に対する最小規制要件は10%になります。2020年第1四半期の時点で高度なアプローチを使用して11.2%でした。

また、計画されている資本アクションには第3四半期の1株あたり0.51ドルの普通配当が含まれるとしている。


2020年6月29日付JPモルガン・チェースの発表内容

以下はJPモルガン・チェースの企業サイトより引用・抜粋。タイトルは、

  • JPMorgan Chase Regulatory Capital Update
    JPモルガン・チェース資本規制の最新情報

内容は、

  • JPMorgan Chase & Co. (NYSE: JPM) (“JPMorgan Chase” or the “Firm”) announced today that it has completed the 2020 Comprehensive Capital Analysis and Review (“CCAR”) stress test process.
    JPMorgan Chase&Co.(NYSE:JPM)(「JPMorgan Chase」または「会社」)は、2020年の包括的資本分析およびレビュー(「CCAR」)ストレステストプロセスが完了したことを本日発表しました。
  • The Firm’s indicative Stress Capital Buffer (“SCB”) requirement is 3.3% and the Federal Reserve Board will provide the Firm with its final SCB requirement by August 31, 2020.
    当社の指標となるストレスキャピタルバッファー(SCB)要件は3.3%であり、連邦準備理事会は、2020年8月31日までに最終的なSCB要件を当社に提供します。
  • The SCB requirement will become effective on October 1, 2020 and will remain in effect until September 30, 2021. The SCB will be integrated into the Firm’s ongoing risk-based capital requirements, increasing the Firm’s Basel III Standardized approach minimum Common Equity Tier 1 capital ratio to 11.3% (up from 10.5%).
    SCB要件は2020年10月1日に発効し、2021年9月30日まで有効です。SCBは、当社の継続的なリスクベースの資本要件に統合され、当社のバーゼルIII標準化アプローチの最小普通株式Tier 1資本が11.3%への比率に増加します。(10.5%からの増加)。

また、2020年の第3四半期について1株あたり0.90ドルの四半期普通株式配当を維持する予定としている。


ストレスキャピタルバッファー(SCB)

どちらの発表もストレスキャピタルバッファー(SCB)の説明が含まれている。

ストレスキャピタルバッファーとは、米連邦準備理事会(FRB)が将来の危機に備えて義務付けた積み立てておくべき資本の規模の事らしい。そして上記シティとJPモルガンではその数値が異なっている事からも分かる様に、個々の銀行の事情に沿った形になっている。

ストレスキャピタルバッファー(SCB)を組み込むことで、シティは10%から11.2%、JPモルガンは10.5%から11.3%へと最低資本要件を引き上げる、つまり資本を上積みする必要がある。

これが先ごろFRBから指示された自社株買いや増配停止によってカバーされるのだろう。それで足りなければ減配や配当停止となるのだろうが…。


まとめ

自分の所有株であるシティとJPモルガンについてはとりあえず懸念していた減配や配当停止は第3四半期はなさそうだ。報道によるとウェルズ・ファーゴ(WFC)が減配を計画しているとのこと。

ただこれが第4四半期にどうなるのか。コロナウイルスの状況に依存する部分が大きいのだが、自社株買い戻しの停止が続くと株価への影響が大きくなりそうな気がする。

単純に考えると、自社株買いは発行済み株式を減らすので1株当たり利益の増加率を高めてくれる訳で、銀行株のリスクは低減するかもしれないが同時に株価の面での魅力が下がる、つまり株価が下落しそうな気もする。

いずれにせよ、7月にはシティもJPモルガンも第2四半期(4-6月)の決算発表予定なので、その際に今後の見通しが提示されることを期待したい。

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