はじめに
2025年3月は
トランプ大統領の相互関税に関する発言で揺れる市場(2025/3)
で整理した様にトランプ政権の関税政策で市場が変動(ほとんど下落)することが多く、上記まとめ以降も3月26日に自動車・自動車部品の輸入に対する25%の追加関税を定めた大統領布告を発表している(自動車については米国東部時間4月3日午前0時1分以降に通関されたもの、自動車部品の発動日は今後官報で公示されるが遅くとも5月3日までに適用)。
そして米政権の関税政策の影響が表れる各種経済指標を米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利決定において重要視する姿勢を示しており市場も注目しているのだが、米現地時間2025年3月28日(金)には米商務省が2025年2月の個人消費支出(PCE:Personal Consumption Expenditures)価格指数、米ミシガン大学がミシガン大消費者信頼感指数(MCSI:Michigan Consumer Sentiment Index)を発表している。
以下それらの内容を確認し、それを受けて市場がどう反応したかについて整理しておく。
2025年3月28日米商務省発表の2025年2月個人消費支出(PCE)価格指数
以下は米商務省のサイトより引用・抜粋(発表は米東部夏時間8:30)。
- 2025年2月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比2.5%上昇、市場予想も2.5%の上昇
- 変動の大きい食品及びエネルギーを除いた2025年2月の個人消費支出(PCE)コア価格指数は前年同月比2.8%上昇、市場予想は2.7%の上昇
また物価の瞬間風速を示すとされる前月比では
- 2025年2月の個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.3%上昇、市場予想も0.3%の上昇
- 変動の大きい食品及びエネルギーを除いた2025年2月の個人消費支出(PCE)コア価格指数は前月比0.4%上昇、市場予想は0.3%の上昇
となっている。
また2月の前月比実質個人消費支出(Real PCE)は0.1%増で、市場予想の0.3%増を下回っている。
詳細を見てみると、自動車など耐久財への支出は需要拡大を受けて増加しているのだが、これは一部の消費者が関税措置発動の前に購入を急いだことを示している可能性があると考えらえる。一方でサービス支出は物価が上昇する中、外食などが落ち込み約3年ぶりに減少している。
2025年3月28日ミシガン大学発表の2025年3月ミシガン大消費者信頼感指数(MCSI:Michigan Consumer Sentiment Index)
以下はミシガン大学発表の資料より引用・抜粋(発表は米東部夏時間10:00)。
- 2025年3月ミシガン大消費者信頼感指数は57.0、市場予想の57.9を下回っている
元々速報値が57.9でそこから変わらないとの見方だったのだが予想外に下方修正され、2022年11月以来の低水準。
また米5~10年期待インフレ率が4.1%とこれも速報値の3.9%から上方修正されている。
FRBのパウエル議長は今月のFOMC会合後の会見で、ミシガン大学調査の長期インフレ期待は例外的であるとしているが、ミシガン大の消費者調査ディレクターJoanne Hsu氏は今回の発表で
- 消費者は、経済政策の動向を背景に痛手を受ける可能性を引き続き懸念している
- 特に消費者の3分の2が今後1年間で失業率が上昇すると予想しており、これは2009年以来の最高値である
- 近年、堅調な労働市場と所得が消費者支出を支える主な力の源泉であったことを考えると、この傾向は消費者にとっての重要な脆弱性を明らかにしている
と述べている。
同日の市場の動き
米国株式市場
主要3市場は、取引前に発表された個人消費支出(PCE)価格指数が市場予想をやや上回り、実質個人消費支出(Real PCE)は市場予想を下回ったことで、支出が抑制されつつインフレが加速していることが示唆される内容であり、サービスへの支出が減少していることなどを受けて下落して始まった。
そしてその後のミシガン大消費者信頼感指数でも、消費者がインフレへの懸念を示している内容となったため、一段と下げ幅を拡大して取引を終えている。
米国10年債
PCEが発表された米国東部夏時間8:30は上記チャートのCDT(米国中部夏時間)では7:30。
利回り低下で取引が始まりPCEを受けて一瞬だけ利回りが上昇したものの低下傾向。ミシガン大消費者信頼感指数を受けて利回りはの低下傾向は顕著になり、前日比大きく利回りを下げて取引を終えている。
株式市場と同様に米個人消費支出価格指数/ミシガン大消費者信頼感指数の結果、インフレの高進と経済成長への懸念が高まったことが要因だろう。
ドル円為替
PCEの発表があった米EDT8:30は上記ドル円チャートのGMT12:30。
PCE発表直後はややドル安だったものの限定的で発表前の1ドル=150円台後半から半ば程度へ。しかしその後のミシガン大消費者信頼感指数を受けドル安が顕著となり、最終的には1ドル=149円台後半となって取引を終えている。
米個人消費支出価格指数/ミシガン大消費者信頼感指数を受けて、インフレ加速への懸念からFRBの利下げが意識され(LSEGによると発表前は2025年の利下げ幅見通しが0.63%だったが、発表後は0.73%)、日米金利差の縮小予想からドル安傾向になったものと思われる。
まとめ
今回の米個人消費支出(PCE)価格指数、ミシガン大消費者信頼感指数(MCSI)を受けて株式市場は下落、債券利回りは低下、ドル円為替もドル安という結果となった。先月のミシガン大消費者信頼感指数発表時にも触れたが、インフレの強さに加えて景気減速が示唆されたことがその要因なのだろう。
3月半ば以降の経済指標やFRB当局者の発言で、米国経済が景気後退に陥る可能性は思ったほど高くないかもしれないという期待も出ていたのだが、今回の結果で再び景気減速の懸念が認識されることになった。
そして米現地時間4月2日には、トランプ大統領が2月に署名し、3月にも発言していた相互関税に関する措置が発表されることだろう。その内容、そして市場がどう動くかが注目されるのだが、何とかインフレ加速、経済減速というスタグフレーションに陥る事は回避してもらいたいものだ。