米のカナダ、メキシコ、中国への関税発動当日の市場(2025/3)

はじめに

米東部時間2025年3月4日00:01(日本時間14:01)に米国のカナダ、メキシコへの25%関税(カナダ産エネルギー製品は10%)、中国へは2月4日の10%から更に追加で10%の関税を課す措置が発動された。

昨日既にまとめたように関税発動前の3月3日の米国市場は、株式市場はダウ工業平均が1.48%、S&P 500が1.76%、NASDAQ総合が2.64%の大幅下落、米国10年債は大きく利回り低下、ドル円為替も大きくドル安と変動が激しかった。

その際には

「そして3月4日に関税が発動された後の米国株式市場はどう反応するのか、そして関税措置は今後どうなるのかという点が注目」

と書いていたのだが、関税が発動されて以降の主な動きと実際の関税発動を受けての米国市場がどう動いたかについてまとめておくことにする。


3月4日の米国のカナダ、メキシコ、中国への関税措置発動後の主な動き

発動前の主な動きは前日のまとめ参照

【米国日付3月4日米国市場取引終了前まで】

  • メキシコのシェインバウム大統領が以下の発言
    • この30日間で、組織犯罪やフェンタニルの密売に対する断固たる措置が取られ、安全保障と貿易に関する二国間会談も行われた
    • トランプ米大統領によるメキシコからの輸入品に対する25%の関税は正当性がなく、同国政府は関税および非関税措置で対応する
    • トランプ氏の決断は誰も得をしない
    • 9日に報復関税を含む対応の詳細を発表する
    • トランプ大統領とおそらく6日に会談する
  • ラトニック米商務長官がCNBCでのインタビューで以下の発言
    • (米政権が発動させた)メキシコ、カナダ、中国に対する関税措置の影響で物価が上昇する可能性があるが、合成麻薬フェンタニルの米国への流入阻止に向けた進展が示されれば関税措置を撤廃できる
    • 物価の短期的な変動は当然あり得るが、長期的には状況は全く異なったものになる
  •  ベッセント米財務長官がFOXニュースでのインタビューで以下の発言
    • 中国は輸出に大きく依存しており、そうしたビジネスモデルは容認できない
    • 中国の製造業者が関税を吸収するため価格は上がらないと確信している
    • (カナダとメキシコに対する関税について)我々は移行期の真っただ中にあると思う
  • トランプ大統領が自身のソーシャルメディアTruth Socialに以下の投稿
    • Canada doesn’t allow American Banks to do business in Canada, but their banks flood the American Market. Oh, that seems fair to me, doesn’t it?
      カナダはアメリカの銀行がカナダでビジネスを行うことを許可していないが、カナダの銀行はアメリカ市場に溢れている。それは公平だと思いますか?
    • ただしカナダ銀行協会によると2月時点で16行の米銀がカナダ国内で事業を展開しているとのこと
  • 世界貿易機関(WTO)中国政府代表部が、記者らに電子メールでWTOに追加で異議を申し立てたことを発表
  • カナダのトルドー首相が記者団に以下の発言
  • トランプ大統領が自身のソーシャルメディアTruth Socialに以下の投稿
    • Please explain to Governor Trudeau, of Canada, that when he puts on a Retaliatory Tariff on the U.S., our Reciprocal Tariff will immediately increase by a like amount!
      誰かトルドー・カナダ州知事に、カナダが米国に報復関税を課せば同率の相互関税が即時発動されると説明して下さい!

【米国日付3月4日米国市場取引終了以降】

  • ラトニック米商務長官がFOXニュースでのインタビューで以下の発言
    • 今日一日中、メキシコとカナダの当局者と電話で話していた。彼らはもっとうまくできることを示そうとしており、トランプ氏が耳を傾けている
    • 大統領は彼らと何らかの結果に至るだろう。(関税)休止とはいかないだろうが、もっと努力するなら妥協案をまとめるだろう。恐らく、明日5日発表する
  • トランプ米大統領の施政方針演説における関税関連
    • 他国は何十年もの間、米国に関税を課してきたが、今度は我々が他国に関税を課す番だ
    • 関税はアメリカの雇用を守るためだけではなく、我々の国の魂を守るためでもある
    • 関税はアメリカを再び豊かにし、再び偉大にするためのものであり、それはすでに起こっており、かなり急速に起こるだろう
    • 多少の混乱はあるだろうがそれで構わない。それほど大きな混乱はないだろう

2025年3月4日の市場の動き

米国株式市場

米国主要3株式市場は似たような動きだが、下落幅は前日と逆でダウ工業平均の下落幅が最も大きく、NASDAQ総合の下落幅が最も小さい。S&P 500の日中推移を見てみると

前日比大きく下落して始まり下落傾向が続いたものの、11:30ぐらいから買い戻しが入ったのか上昇傾向となり一時前日比プラスに戻ったが、取引終了前の30分で大きく下落幅を拡大し、結局前日比マイナスで取引を終えるという不安定な動きだった。

米国10年債

米国株式市場が始まる米国東部標準時9:30は上記チャートのCST(米国中部標準時)では8:30。

取引直後に利回りはやや低下して始まったものの細かい範囲での動きが続いた後、利回りは上昇傾向となって前日より利回りが上昇して取引を終えている。

ドル円為替

米国株式市場が始まる米国東部標準時9:30は上記チャートのGMT(英国標準時)では14:30。

変動幅が大きいため米株式市場や米国債ほどの動きには見えないが、米国株式市場開始時位のドル安から徐々にドル高となり1ドル=148.25円前後から149.5円へ。米国株式市場が下げに転じた15:30(上記チャートの20:30)には再び149円台前半までドル安となったものの、米国株式市場が取引を終えた16:00過ぎ(上記チャートの21:00)からまたドル高となり1ドル=149円台後半での取引が続く。この上昇は上述したラトニック米商務長官の発言によるものだろう。

しかしまた徐々にドル安傾向となり、これを書いている日本時間3月4日の21時前後では1ドル=149円台前半で推移し、方向感がつかめない状況が続いている。


まとめ

以上、関税が発動されて以降の主な関連の動きと実際の関税発動を受けて米国市場がどう動いたかについてまとめてみた。

ちなみに自分の米株資産だが、3月に入ってからのこの2営業日で

【3月3日閉場後】

【3月4日閉場後】

と7万ドルを超える下落となっており、2025年1月後半から維持してきた140万ドルも割り込んでしまった。更に円ベースではドル円為替のドル安の影響も上乗せされており、

【3月3日閉場後】

【3月4日閉場後】

2営業日で1,000万円をはるかに超える資産減少となっている。

そして問題なのは、色々と動きはあるものの今後関税措置がどうなるかがまだ不透明な点。米国市場閉場後にラトニック米商務長官がカナダ、メキシコと妥協案をまとめているとしたが、その詳細は不明でありトランプ大統領の施政方針演説でも具体的には触れられていない。もし妥協案のとりまとめが不調に終われば、なまじ期待があっただけに市場に更なる下落を起こすだろうから、正直3月5日の市場にはあまり期待はしない方がいい気はしている。米2月ADP(Automatic Data Processing社)雇用統計等の経済指標発表もどう転ぶか判らない。

その他要因も含めて米国株式市場の下落はいつ止まるのだろうか・・・。

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