はじめに
現地時間2024年12月9日(月)、掲題の通り自分が所有しているモンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)が米大手チョコレートメーカーのハーシー(HSY)の買収を検討しているとの報道がブルームバーグによってなされた。
以下、その内容について確認しておくと共にモンデリーズ株の動きも整理しておく。
ブルームバーグのモンデリーズによるハーシー買収検討の報道
以下はブルームバーグの報道より引用・抜粋。
- モンデリーズは統合の可能性についてハーシーに予備的な打診を行ったと、協議が非公開であるとして匿名を条件に関係者が語った
- モンデリーズがハーシーとの取引を模索したのは今回が初めてではなく、2016年にハーシーが230億ドルの買収提案を拒否したことを受けて、買収の可能性に関する協議から撤退している
- ブルームバーグがまとめたデータによると、ハーシーの価値は負債を含めて440億ドル以上。つまり、モンデリーズがハーシーを買収すれば、マース社が8月に負債を含めて約360億ドルでケラノバ社を買収することで合意した今年最大の取引であるスナック菓子メーカーの価値を上回ることになる
- どのような取引もハーシーの経営権を握る信託「ハーシー・トラスト」の支持が必要になる
- ハーシー・トラストは同社のクラスB株ほぼ全てを保有し、同社議決権の約80%を有している
- 同信託は保有資産の分散化を図るため、ハーシー株の一部売却を徐々に進めてきた
- ハーシー・トラストが買収を支持すれば、他の企業からも同社買収に関心が寄せられる可能性があると、関係者は語った
- 関係者によると、協議はまだ初期段階にあり協議が合意に至るかどうかは確実ではないという
- モンデリーズの担当者はコメントを控えた
- ハーシーの担当者は市場のうわさについてはコメントしないと述べた
- ハーシー・トラストの広報担当者からはまだ返答が得られていない
報道を受けてのモンデリーズとハーシーの株価
報道を受けてのモンデリーズとハーシーの株価は以下の通り。
【モンデリーズ】
【ハーシー】
同日の米国市場は
いずれも下落しているが、モンデリーズの下落はそれらより大きく、ハーシーの上昇は下落を考えるとかなりの大幅上昇となっている。
ここで年初来のモンデリーズ、ハーシー、そして参考としてS&P 500の推移を見てみると
S&P 500は短期的なブレはあるものの概ね上昇傾向にあるのに対し、モンデリーズとハーシーは共に冴えない動きで特に9月からは右肩下がりの傾向が顕著になっている。
モンデリーズは10月末の第3四半期決算では上昇したものの、その後はやはりカカオ価格を代表とする原材料高騰への懸念からか下落しており、その状況はハーシーも同様。そんな状況でのモンデリーズによるハーシー買収の検討はまだ予備的な段階で金額を含めた買収要件が不明ではあるが、通常買収提案は現在株価にプレミアムが上乗せされることが多いためにハーシー株にとっては買収価格が現在株価より上昇する可能性が高いことが評価され、モンデリーズにとっては現在株価より高いオファーを出すことになる可能性が嫌忌されたのだろう。
まとめ
今回のモンデリーズによるハーシー買収検討は、報道によるとあくまで早期の予備段階であり今後正式に買収提案まで至るのかは不明であり、買収条件も未定。そしてブルームバーグの報道によると、買い手はモンデリーズだけでなく他の企業も買収を提案してくる可能性もある。従ってモンデリーズによるハーシー買収の可能性はゼロではないものの、まだまだ不確かな気がしている。
個人的には今回の報道をきっかけに上で確認した年初来のモンデリーズの株価チャートの方が気にかかる。S&P 500が約27%上昇しているのに対してモンデリーズは約15%下落しており、加えて直近の方が下落傾向が強い。10月末の第3四半期決算で
「今後のモンデリーズ株だが、堅調な決算であったことは確かだが、これから策定されていく来年のカカオ価格が不透明であることから上昇傾向には転じにくいだろう。何とか9月中旬からの下落傾向に歯止めがかかり、年初来安値を更新する様な事態にならないことを願いたい。」
と書いていた願いは叶わず、この買収前の12月には既に年初来安値を更新してしまっている。
そして今回の買収検討のニュースもモンデリーズ株の上昇には繋がらなかった事を考えると、まだまだ下落傾向が続くことが想起される。一体いつになったら、そしてどの程度の株価でモンデリーズの下げが止まるのだろうか。しばらく我慢の時が続くことを覚悟しておこう。