アルトリア(MO)2024年第3四半期決算(2024/10)

はじめに

2024年10月31日(木)には自分が所有しているアルトリア・グループ(MO)の2024年第3四半期決算発表があった。

前回2024年第2四半期決算では低調な決算内容から3%下落したものの

「決算を受けて目立つアナリストのアップデートが無かったにもかかわらず8月初の市場大幅下落局面で株価を維持していることを考えると、決算内容は特段振るわず長期的な懸念としてのタバコ製品出荷量減少が頭を離れないが、しばらくは底堅い動きを続けてくれるかもしれない。」

と書いていた。

今回の決算結果及びそれを受けての株価はどうだったのか。以下に決算内容を確認し情報を整理しておく。


アルトリア・グループ2024年第3四半期決算概要

以下の内容はアルトリア・グループの企業サイトより引用・抜粋。

  • 20243第3四半期の売上高(Net Revenues)は62億5900万ドル、前年同期比0.4%減
  • 2024年第3四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は53億4400万ドル、前年同期比1.3%増
  • 2024年第3四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.38ドル、前年同期比7.8%増

  • 2024年第3四半期のタバコ製品の出荷量は前年同期比8.4%の減少

  • 2024年第3四半期の売上高(Net Revenues)に占める割合
    • タバコ製品(紙巻きタバコ、葉巻):88.51%
    • オーラルタバコ製品(電子タバコ、経口タバコなど):11.54%
    • その他:-0.05%

  • 2024年第3四半期の営業損益(Operating Companies Income(Loss))に占める割合
    • タバコ製品(紙巻きタバコ、葉巻):89.49%
    • オーラルタバコ製品(電子タバコ、嗅ぎタバコなど):14.14%
    • その他:‐3.63%

2024年通期見通し

2024年通期の見通しは以下の通り。

  • 2024年通期の調整済み希薄化後EPS見通し:5.07~5.15ドル(前回と変わらず)
  • 2023年実績(4.95ドル)比成長率:2.5%~4.0%(前回と変わらず)

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 第3四半期中、自社株1350万株を6億8000万ドルで買い戻し
    • 既存の自社株買い戻しプログラム残は3億1000万ドルで年末までに完了予定
  • 第3四半期にNJOY(電子タバコ)の消耗品出荷量は15%以上増加し1040万個。デバイス出荷量は約3倍の110万個
  • NJOYの結果は励みになるが、より広いe-vaporカテゴリにおいて、成長は違法な使い捨て製品の急増により妨げられている
    • 規制当局、連邦および州の議員、貿易パートナー、その他の利害関係者と積極的に連携し、問題への取り組みを促し続けている
      • 今夏、FDAは米国税関・国境警備局と共同で、シカゴの入国港で中国からの5万を超える未承認の電子タバコ製品を押収
      • FDAは8月に、輸入されるすべての電子タバコ製品にPMTA申請追跡番号を含めることを求める規則案を発表
      • 先週、連邦タスクフォースは7600万ドル相当の無許可の電子タバコ製品を共同で押収すると発表
  • 米国国際貿易委員会(ITC)で進行中のJUULとNJOYの訴訟
    • JUULはNJOYに対して、NJOYはJUULに対してそれぞれ特許侵害の申し立てをしている
    • ITCは2025年4月上旬までにこの訴訟の最終判決を下す予定
    • NJOYは訴訟で不利な結果になった場合にACE(製品名)を市場に残したり、販売の混乱を抑制したりできると思われる戦略を策定している
  • 業務を一元化し、標準化されたプロセスを合理化し、人工知能と自動化をさらに活用し、特定のトランザクションタスクをアウトソーシングする予定
    • 初期段階の税引前費用総額は約1億ドルから1億2500 万ドルと想定
    • 初期費用は2024年第4四半期から計上され、2025年上半期末までに費用の大部分を調整後EPSから除外する特別項目として計上する予定
    • 今後5年間で少なくとも6億ドルのコスト削減が実現すると予想
  • インフレ率はここ数ヶ月で弱まっているものの、長期にわたるインフレの累積的な影響が続くため、喫煙者は依然として経済的圧力にさらされており、可処分所得が抑制されている
  • 10月に以前の投資に関連する通常損失の税務処理に関してIRSと合意に達した
    • 約128億ドルの損失のうち、IRSとの合意に従い2023年の納税申告書で通常損失40億ドルと資本損失41億ドルを申告
    • 資本損失のうち32億ドルは、IQOS取引およびABIへの投資の一部売却に関連する資本利益を相殺するが、JUUL投資による資本損失は56億ドル残っている
    • このうち9億ドルは2028年までの資本利益を相殺するために利用できるが、財務諸表上56億ドルの税控除は認識されていない
  • 9月30日時点のEBITDAに対する総利益率は2.1倍で、約2倍という当社の目標と一致している
  • 質疑応答
    • JTは最近米国のタバコ業界で買収を完了している(8月21日に米4位のベクター・グループを買収)が、Ploomデバイスに関する日本たばこ産業との提携について変化はあるか
      • Ploomデバイス用の合弁会社への影響はまったく見ていない

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2024年第3四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は53億4400万ドル、市場予想の53億3000万ドルを上回っている
  • 2024年第3四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.38ドル、市場予想の1.35ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算発表を受けてアルトリア・グループの株価は

前日比7.84%の上昇。同日の米国市場が

前日米国市場閉場後に決算を発表したマイクロソフト(MSFT)とメタ(META)が人工知能(AI)向け投資の資本費用が増加していると明らかにしたことで、利益率への不安からマイクロソフトが6%、メタが4.1%下落したためにS&P 500、NASDAQ総合を中心に大きく下落したのと比べると、アルトリア株の上昇は際立っている。売上、EPS共に市場予想を上回っているもののその幅は小さく、通期予想も変わっていないことを考えると、NJOYや経口タバコ製品(on!)の好調を踏まえてもこの上昇幅は大きすぎるような気がする。何が市場に評価されたのだろうか。

年初来のアルトリア株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると

冒頭に挙げた第2四半期決算後の期待以上に堅調な株価推移が9月頭までは続いていたのだが、その後は市場の上昇に対して理由は不明だが下落傾向。そして今回の決算を受けて年初来高値の水準まで上昇している。

今後のアルトリア株だが、今回決算を受けての上昇が持続するのかがポイントだろう。決算翌日は市場が上昇していたのに対して下落していることを考えると、決算前までの流れが本当に変わるかどうかは不透明。この年初来高値に近い水準を次回四半期決算まで維持してくれれば上出来だろうか。

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