2024年2月発表の米消費者物価指数と市場(2024/2)

はじめに

米国時間2024年2月13日(火)に2024年1月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。

前回2024年1月発表のCPIを受けた市場は多少変動があったものの、結局は前日とほほ同じで終えている。開場前のCPIでは利下げ時期が遅くなるとの見方だったが、取引時間中のFRB当局者の発言で利下げ時期の議論は尚早とされて流れが変わったようだ。

そして1月末のFOMC会合結果及びパウエル議長の会見では、パウエル議長が「(3月利下げは)最も可能性の高いケース、ないし基本シナリオと呼ばれるものでは恐らくないだろう」と発言したこともあり、利下げ時期の見込みが大きく後退。そんな流れを受けて今回のCPI結果、そしてそれを受けて市場はどう動いたのか。以下に確認して整理しておく。


2024年2月13日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2024年1月消費者物価指数(CPI)

以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。

  • 2024年1月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は0.3%の上昇、市場予想は0.2%の上昇

  • 2024年1月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では3.1%上昇、市場予想は2.9%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比3.9%上昇、市場予想は3.7%の上昇、前月比では0.4%の上昇、市場予想は0.3%の上昇

  • 家庭用食品(Food at home)は前年比1.2%上昇。2023年12月は前年比1.3%上昇
  • 電気代(Electricity)は前年比3.8%上昇。2023年12月は前年比3.3%上昇
  • 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比6.0%上昇。2023年12月は6.2%上昇

今回のCPIは先週2024年2月9日(金)に前年の価格変動を反映するために改定された季節調整係数が用いられている。

新たな係数では住居費などのサービスの割合がより重視され、新車や中古車に代表される財の比重が引き下げられている。そのため、住宅費の占める割合が先月まではCPIの約3分の1だったが、1月は3分の2以上を占めることになっている。


同日の市場の動き

米国市場

今回のCPI結果は市場予想を上回る伸びとなり、既に後退していた早期利下げ開始の可能性がさらに低下したため株式市場は大きく下落。特にダウ工業平均の前日比1.35%下落は約11ヶ月ぶりのの大幅な下落となっている。

米国10年債

今回のCPI結果を受けて、2024年の利下げの時期が3月か5月かに揺れていた2023年12月のCPI発表時以前の12月初め位の水準まで利回りが大幅に上昇。

ドル円為替

CPIの発表があった米ET8:30は上記ドル円チャートのBST1:30。そのタイミングで大きくドル高に振れて1ドル=150円台を突破、その後も150円台半ばを維持して推移している。1ドル=150円台は2023年11月以来約3か月振りのこと。


まとめ

今回のCPIは市場予想を上回る伸びを示し未だインフレ圧力が強いことが示されたため、株式市場は下落、国債利回りは上昇、ドル円為替はドル高へと大きく変動した。

1月末のFOMCでは利下げ開始時期予想が3月19、20日のFOMCから4月30日、5月1日のFOMCが有力へと変わったのだが、今回のCPIを受けて3月の利下げ確率はほぼゼロ、そして4/5月のFOMCではなく6月11、12日のFOMCまで利下げ開始が遅れる可能性も台頭してきたようだ。

1月末のFOMCまとめの際には

「結果発表やパウエル議長の会見などそれぞれの局面で各市場が敏感に反応していることから、今後も各種経済指標やFRB当局者の発言によって市場が神経質な動きをするでのはないかと思われる。」

としていたのだが、珍しくその想定が当たって市場は大きく変動。そして今回のCPIで政策金利の利下げ時期が更に後退する観測が高まったことから、今後の経済指標、FOMC次第では今回と同様に市場が大きく変動する神経質な動きとなるような気がする。今後市場がどう動くかは不透明だが、市場、ひいては自分の資産が大きく変動する可能性は頭に入れておくことにしよう。

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