はじめに
2023年7月27日(木)には自分の所有しているブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)の2023年第2四半期決算発表があった。
25日(火)から27日(木)にかけては自分の所有銘柄の決算発表が以下の様に多数発表されており、
25日:ダウ・インク(DOW)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、GEヘルスケア・テクノロジーズ(GEHC)
26日:ボーイング(BA)、コカ・コーラ(KO)、AT&T(T)
27日:ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)、マクドルド(MCD)、ワブテック(WAB)、ケマーズ(CC、時間外)、モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ、時間外)
加えて26日にはFOMC会合結果が発表されて、どの銘柄から決算を確認していくか迷うところ。株価だけを見ると概ね無難に乗り切った感もあるのだが、その中ではブリストル・マイヤーズ株が
と大きく決算を受けて株価を下げており、その原因確認を後回しにすると悶々とした気分が続きそうなので早めにブリストル・マイヤーズの決算内容を確認し整理しておくことにする。
ブリストル・マイヤーズ2023年第2四半期決算概要
以下の情報はブリストル・マイヤーズ スクイブの企業サイトより引用・抜粋。
- 2023年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は112億2600万ドル、前年同期は118億8700万ドルで前年同期比6%減少(恒常為替ベースでは5%減少)
- 2023年第2四半期の1株当たり利益(Earings Per Share Non-GAAP)は1.75ドル、前年同期は1.93ドルで前年同期比5%減少
2023年第2四半期の主力製品の売上は以下の通り。
主力のEliquisは前年同期比1%減、Opdivoは4%増となっておりIn-Line全体では前年同期比4%減。New Productも含めると前年同期比4%増。そして特許保護が失われたRevlimidは前年比41%減少の12億3700万ドルとなっている。
2023年通期見通し
2023年の通期見通しは以下の通り。
【GAAPベース】
- レポートベース総売上高率(Total Revenues Reported Rates):一桁台前半の減少(前回~2%の増加から下方修正)
- 恒常為替ベース総売上高(Total Revenues Ex-FX):一桁台前半の減少(前回~2%の増加から下方修正)
- Revlimid:~55億ドル(前回の~65億ドルから下方修正)
- グロスマージン:~76%(前回の~77%から下方修正)
- 営業経費(Operating Expenses):一桁台半ばの減少(前回の一桁台前半の減少から増加)
- 税率(Tax Rate):~16%(前回は~21%)
- 希薄化後一株当たり利益(Diluted EPS):3.72~4.02ドル(前回の4.10~4.40ドルから下方修正)
【Non-GAAPベース】
- レポートベース総売上高率(Total Revenues Reported Rates):一桁台前半の減少(前回~2%の増加から下方修正)
- 恒常為替ベース総売上高(Total Revenues Ex-FX):一桁台前半の減少(前回~2%の増加から下方修正)
- Revlimid:~55億ドル(前回の~65億ドルから下方修正)
- グロスマージン:~76%(前回の~77%から下方修正)
- 営業経費(Operating Expenses):一桁台半ばの減少(前回と変わらず)
- 税率(Tax Rate):~17.5%(前回は~17%)
- 希薄化後一株当たり利益(Diluted EPS):7.35~7.65ドル(前回の7.95~8.25ドルから下方修正)
Revlimid(10億ドル)、そして程度は小さいがPomalyst(3億ドル)の売上減少を加味して通期見通しをアップデートしたとのこと。
Revlimid、Pomalystの売上減少
Revlimid、Pomalystの売上減少は、特許切れのためのジェネリック製品(Revlimid)や競合製品(Pomalyst)のためではなく、独立系のBMS患者支援財団(Bristol Myers Squibb Patient Assistance Foundation)によって提供される無料医薬品の利用が異常に増加したためとしている。
カンファレンスコールでの説明では、
- 独立系のBMS患者支援財団は他で経済的支援を受けていない資格のあるすべての患者に無料の医薬品を提供している
- 今年初めに適格な多発性骨髄腫患者に経済的援助を提供する独立した第三者慈善財団の基金が一定期間閉鎖された
- 基金が一定期間閉鎖されたため1の要件を満たす患者の申請が増加し、Revlimid、Pomalystを無料提供することとなった
- 米保健福祉省(HHS)のガイダンスでは、患者がこのプログラムに参加するとBMS患者支援財団は暦年の終わりまで無料の製品を提供することになる
ということらしい。
その他
その他決算資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 40億ドルの自社株買戻しを2023年第3四半期に予定
- 2020~2025年の財務目標については変化なし
- (今回のRevlimid、Pomalystの様なケースが今後起こる可能性について)現在BMS患者支援財団は無料製品の申請が通常レベルに戻っていることを確認している。また2024年に発効するメディケア・パートDの適用範囲変更によって薬価は患者に手頃な価格となるため、無料の薬物プログラムにアクセスする必要がある患者の数が減少するであろうことから、今年に限定されると予想している
- (通期見通し下方修正へのRevlimid、Pomalyst以外の要因があるか)ガイダンスの唯一の変更は説明した RevlimidとPomalystに関連したもの
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2023年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は112億2600万ドル、市場予想の118億ドルを下回っている
- 2023年第2四半期の調整後1株当たり利益(Non-GAAP Diluted EPS)は1.75ドル、市場予想の1.96ドルを下回っている
- 2023年第2四半期のEliquis売上は32億400万ドル、市場予想の34億ドルを下回っている
- 2023年第2四半期のOpdivo売上は21億4500万ドル、市場予想の23億ドルを下回っている
- 2023年第2四半期のRevlimid売上は14億6800万ドル、市場予想の16億7000万ドルを下回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてブリストル・マイヤーズ株は最初に挙げた通り4%を超える大幅下落。同日の米国市場が
日経新聞電子版の日銀が28日に開く金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正案を議論する方針と報道したことを受けて下落に転じて終わったのを考慮してもブリストル株の下落は際立っている。
売上、EPSともに市場予想に届かず、通期見通しも下方修正したことを考えると仕方がないと言えるだろう。個人的にはもっと下落してもおかしくないと思ったのだが、原因がはっきりしていることと再現性が無いことで下げ幅が限定されたのだろうか。マイナス要因が株価に反映されたかどうか、決算後数日のブリストル株の動きには注意しておきたい。
年初来のブリストル株は
昨日の下落で年初来安値を更新し、市場(S&P 500)の約18%上昇に対して約15%の下落となってしまっている。今回の決算内容では2023年中はRevlimidとPomalystの影響もあり、決算内容に含まれていない新しいポジティブ要因が無い限り大きな上昇は難しいだろう。規模は小さいが順調なTotal New Product Portfolio(前年同期比79%増)が一層市場規模を拡大して株価/業績向上に貢献してくれるといいのだが。