はじめに
2022年11月3日(木)には自分の所有しているケロッグ(K)の2022年第3四半期決算発表があった。
以下ケロッグの2022年第3四半期決算内容について確認・整理しておく。
ケロッグ2022年第3四半期決算概要
以下の情報はケロッグの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第3四半期の総売上高(Reported Net Sales)は39億4600万ドル、前年同期は36億2200万ドルで前年同期比9.0%増加
- 2022年第3四半期の一時項目を除く調整後1株あたり利益(Adjusted Diluted EPS)は1.01ドル、前年同期は1.09ドルで前年同期比7.3%減少
- 2022年第3四半期の純利益(Net income attributable to Kellogg Company)は3億1000万ドル、前年同期は3億700万ドル
2022年通期見通し
2022年通期見通しは以下の通り。
- Net Sales(売上、既存事業ベース):~+10%(前四半期は7~8%)
- Operating Profit(営業利益):~+6%(前四半期は4~5%)
- Earnings Per Share(EPS、調整後恒常為替ベース):~3%(前四半期は~2%)
- Cash Flow:~12億ドル(前四半期と変わらず)
Cash Flow以外は上方修正。ただしこれは恒常通貨ベースである点には注意。
その他
決算資料を見ていて大きな見落としをしていたことに気が付いた。
最初Post-Separation Companies(分離後企業)の意味合いが判らなかったので調べてみたところ、2022年6月21日にケロッグは既に将来的な三社分割を発表していた。構造を簡素化し、スナック事業に焦点を絞るためで、北米シリアル部門と植物由来の食品事業は分離するとのこと。分離の完了は2023年末とのこと。まだ先の話ではあるが、頭には入れておくべきだろう。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第3四半期の総売上高(Reported Net Sales)は39億4600万ドル、市場予想の37億8000万ドルを上回っている
- 2022年第3四半期の一時項目を除く1株あたり利益(Adjusted Diluted EPS)は1.01ドル、市場予想の0.98ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてのケロッグの株価は
8.32%の大幅下落。同日の米国市場が
いずれも下落してはいるものの、売上、EPSが市場予想を上回り、通年見通しも引き上げたケロッグ株がこれ程大きく下落するのは不可解。
調べてみるとアナリストの評価が株価下落に大きく影響したようだ。
BernsteinのアナリストAlexia Howard氏のケロッグ投資格付けアップデート
投資格付け:Underperformで変わらず
目標株価:55ドルで変わらず
以下はAlexia Howard氏の投資格付けアップデートの要旨。
- 2023年も投入コストとサプライチェーンの圧力が引き続き強く価格設定が難しくなる可能性があり、マージンと全体的な利益の傾向が来年悪化する可能性があることを懸念している
- 利益率はこれまでのところ低下しているものの、堅実なトップラインと予想よりも優れた価格弾力性により粗利益率は成長を続けているが、消費者がさらなる値上げに我慢できなくなった場合これは崩壊する可能性がある
- 米国食品医薬品局(FDA)が新たに提案した、食品ラベルの「健康」表示を更新することで慢性疾患の負担を軽減し「健康の公平性」を高めたいとする考えは、時間がかかるかもしれないが健康とウェルネスのテーマが再浮上し、米国のシリアルカテゴリーに圧力をかける可能性がある
- 脂肪、砂糖、塩分が多い製品の宣伝に制限を課すイギリスの高脂肪糖及び塩(HFSS:High in Fat, Sugar or Salt)イニシアチブの潜在的な影響も考えられる
こういったアナリストの指摘が嫌気され好決算にもかかわらずケロッグ株が大幅下落したものと思われる。
年初来のケロッグ株の推移は
今回の決算翌日を含めて8.44%上昇と市場(S&P 500)の20.89%下落に比べると、今回の大幅下落を含めてもまだ悪くないパフォーマンス。
決算内容を見ると悪くはないのだが、アナリストの見解はかなりネガティブで目標株価も現在株価からかなり乖離があるので、今後のケロッグ株がどちらの方向に進むのかを注意深く見ていきたい。