はじめに
2022年8月4日(木)の米国市場閉場後の決算発表を受けて自分が所有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)は大きく下落しその後も低調な株価が続いているのだが、昨日8月24日は
と珍しく前日比5%を超える上昇。同日の米国市場も
いずれも前日比プラスとなっているものの0.5%以下で、他のストリーミングサービスを提供している主な企業と比べてみても
ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの上昇は大きくなっている。
上昇の理由は何かと思って調べてみたところ、同日には目立ったニュースやアナリストの格付アップデートもなじゃったのだが、第2四半期決算発表以降掲題の様に様々なコスト削減策を発表しておりそれが評価されたのかもしれない。
以下、最近のワーナー・ブラザース・ディスカバリーのコスト削減策について整理しておくことにする。
最近のWBDコスト削減策
【2022年8月23日】
- HBO Maxのラインナップから「Batman: Caped Crusader」を含む今後6つのアニメーションプロジェクトを削除
あくまでHBO Maxのラインナップから削除されただけで、他のケーブルテレビ等に販売する可能性もあるとのこと。
【2022年8月19日】
- HBO Maxから20のオリジナルHBO Maxプログラムを含む36の映画とシリーズを削除
HBO Max はすでにこれらの番組の制作費を支払っているが、長期的な視聴率の指標に基づいてキャスト、クルー、ライターへのいわゆるバックエンドの支払いを含む残余金を支払う必要がある。ただそれを含めても事情に詳しい2人の関係者によると、コンテンツの削除により合計で数千万ドルが節約されるとのこと。
【2022年8月15日】
- HBO Maxのオリジナル・リアリティ番組、キャスティング、インターナショナル、買収部門の70名(14%)がレイオフ
ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの別部門ではさらなるレイオフが予想されるが、HBOではこれ以上の解雇はなさそうとの報道あり。
【2022年8月2日】
- 「Batgirl」が完成間近であるにもかかわらず公開を中止
これは決算発表前のことだが、既に7000万ドル以上を費やし完成間近の映画「Batgirl」の公開を中止すると発表。未完成のプロジェクトとして、戦略の変更による合併税の優遇措置(advantage of a change-of-strategy merger tax benefit)が適用される可能性もあるが、IRS(米内国歳入庁)の判断では適用されないかもしれない。
まとめ
以上最近のWBDのコスト削減策について確認してみた。
ただ過去10日程のWBD株と市場(S&P 500)の推移を比べてみると
これらコスト削減策がWBD株上昇に必ずしも貢献しているとは言えず、先に挙げた昨日のWBD株上昇は「様々なコスト削減策を発表しておりそれが評価されたのかもしれない」といった事ではなく、理由は判然としないがたまたまの可能性が高い。
過去1ヶ月で見ても
四半期決算を受けての急落からほぼ変わらずで推移している。
四半期決算まとめ時には
「2023年夏にHBO MaxとDiscovery+を統合して重複するコストを削減する方向なのだろうが、そのため2022年にEBITDA損失のピークが発生するとしており、2022年中の業績・株価回復は難しいのではないだろうか。」
と書いていたのだが、やはりこういったコスト削減施策をコツコツと行いその結果が決算発表に表れるまでは、余程のポジティブな出来事が無い限り株価の大幅上昇は見込めない気がする。