はじめに
2022年3月31日には5月の生産量を決定するOPECプラスの閣僚級会合が行われた。
2022年3月は終わらないロシアのウクライナ侵攻、アメリカに次ぐ原油消費国である中国でのCOVID-19拡大による都市のロックダウンなどがあり、今後の原油消費がどうなるか想定しにくいと思うのだが、そのような状況下でOPECプラスはどう決断をしたのか以下に確認して整理しておくことにする。
2022年3月31日のOPECプラス会合まとめ
以下は主にロイター、ブルームバークの報道より引用・抜粋。
【会合前】
- OPECプラスは31日の会合で5月の生産水準を決定する見通し
- 参加国はこれまで続けてきた小幅な供給増の方針を転換する必要はないとの見解を示唆
- ロシア関係筋の話として「OPECプラスのパートナー国の支持に期待している」
- UAEのマズルーイ・エネルギー相は29日ドバイでの会議で以下の様に発言
- この分野において我々は専門家だ
- 市場の均衡を図ろうとしているが簡単ではない。我々は単なる生産者ではなく正しい方策だと言うのは経験に基づいているためだ。従って我々を信頼してほしい
- この組織で政治的な問題を議論することはできず、生産量の増加は慎重な方法とメンバー間のコンセンサスによってのみ可能になる
- 米国、EU、国際エネルギー機関(IEA)は一段の増産を求めている
- IEAはロシアからの石油輸出が日量250万バレル減ると予測
- 米政権は日量100万バレルの石油備蓄を最大180日間にわたり放出することを検討
【会合結果】
- オンライン形式で開いた閣僚級会合で5月も現行の緩やかな増産ペース(実際には5月の生産をこれまでの日量40万バレルから43万2000バレルにやや引き上げ)を維持することで合意
- ロイターが入手したOPECプラスの内部報告書ではウクライナ紛争が長期化すれば世界経済は大きな打撃を受け、「欧州だけでなく、世界中で消費者、企業信頼感が低下する」との見方を示している
- OPECプラスの共同技術委員会(JTC)は一段の増産を求めていたIEAのデータを今後利用しない方針を決定
- JTCは今後IEAのデータに代えてウッドマッケンジーとライスタッド・エナジーのリポートを補助的な情報源として利用
- OPECプラスの次回会合は5月5日予定
まとめ
結局今回の会合では従来の段階的な原油増産を据え置く形となり概ね市場の予想通りであったわけだが、OPECプラスと欧米の間での温度差が鮮明になった気がする。
OPECプラス加盟国それぞれに色々と思惑がある訳だが、基本的には原油高を維持したいというのが本当のところなのだろう。また今後IEAのデータを用いないというのも個人的には結構驚く点であった。
過去1ヶ月のニューヨーク原油先物価格を振り返ってみると
2月28日終値が1バレル=95.72ドル、3月31日終値が1バレル=100.28ドルと終値ベースでは4.7%上昇。ただし期間中は1バレル=120ドルを超えたり、95ドル近くなる局面もあったりと今一つ安定していない動き。
自分が所有しているエクソン・モービル株の動きと重ねてみると
原油価格程の上下動は無いものの騰落の傾向は類似している様に見受けられ、このひと月の終値ベースではほぼ同じ程度の上昇率。
冒頭にも書いたがウクライナ情勢、中国でのCOVID-19による需要減など今後もしばらく不安定な原油先物価格が続きそうな気がする。次回OPECプラス会合予定の5月5日前にエクソン・モービルの第1四半期決算発表が4月29日に予定されているので、この不透明な原油需要がエクソンの決算にどのような影響を与えたのか、今後の見通しはどうなるかに注目したい。