はじめに
一昨日2021年10月19日(火)に自分の保有しているプロクター・アンド・ギャンブル(PG)の2022年第1四半期決算の発表があった。
以下決算発表内容について確認しまとめておく。
P&G2022年第1四半期決算概要
以下は、プロクター・アンド・ギャンブルの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第1四半期の総売上高(Net Sales)は203億3800万ドル、前年同期は193億1800万ドルで前年同期比5%の増加
- 2022年第1四半期の希薄化後一株当たり利益(Diluted Net Core EPS)は1.61ドル、前年同期は1.63ドルで前年同期比1%の減少
- 2022年第1四半期のNon-GAAPベースの一株当たり利益(Net Core EPS)は1.61ドル、前年同期は1.63ドルで前年同期比1%の減少
2022年第1四半期の主な結果は以下の通り。
前四半期に続いてCore EPS Growth(コアEPS成長率)とCurrency Neutral Core EPS Growth(為替を考慮しないコアEPS成長率)が前年同期比マイナスになっている。
アナリストとのカンファレンスコールで
- The July to September quarter provides a good start to the fiscal year, putting us on track to deliver our guidance for organic sales growth, core EPS growth, free cash flow productivity and cash returned to shareholders
7月から9月の四半期は、本源的売上高の成長、コアEPSの成長、フリーキャッシュフローの生産性、株主への現金還元に関する見通しを達成する軌道に乗せる会計年度の良いスタートを提供しています
と語っているが正直かなり疑問。
そのFY2022の見通しは以下の通りで確かに前四半期から変わってはいない。
【売上(Sales)】
【一株当たり利益(EPS)】
【現金(Cash)関連】
ただこれらのガイダンス(見通し)については注意が必要で前四半期には
- This outlook includes headwinds of approximately $1.9 billion
この見通しは約19億ドルの逆風を含んでいます
としていたのが
- The Company said its current outlook estimates headwinds of $2.1 billion after-tax from higher commodity costs and an additional $200 million after-tax from higher freight costs
現在の見通しでは、商品コストの上昇により税引き後21億ドル、運賃の上昇により税引き後2億ドルの逆風が見込まれています
と前四半期から2億ドル増えている。見通しにはこの増加も含まれた上で変わらずなのだが、今後コスト圧力が更に増加しないとは言い切れない。
アナリストとのカンファレンスコールでの説明で
- now a $2.3 billion after-tax headwind for fiscal ’22 earnings or roughly $0.90 per share, a 16 percentage point headwind to core EPS growth
現在2022会計年度の収益に対する税引き後の逆風は23億ドルで、1株あたり約0.90ドル、EPSコア成長に対して16パーセントポイントの逆風となります - while we are not changing our core EPS guidance range, please take note of these dynamics as you update your outlook for the year
コアEPSガイダンス範囲は変更していませんが、今年の見通しを更新する際にはこれらのダイナミクスに注意してください
と注意を促している。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第1四半期の総売上高(Net Sales)は203億3800万ドル、市場予想の198億5000万ドルを上回っている
- 2022年第1四半期のNon-GAAPベースの一株当たり利益(Net Core EPS)は1.61ドル、市場予想の1.59ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記のような決算内容を受けてプロクター・アンド・ギャンブルの株価は
1.18%の下落。同日のダウ工業平均が0.56%、S&P 500が0.74%、NASDAQが0.71%いずれも上昇だったことを考えると結構な下落だったと捉えるべきだろう。
市場予想を上回る売上、一株当たり利益で通期見通しも維持したものの、発表資料やアナリストとのカンファレンスコールの中でコスト圧力に言及する事が多く、実際にアナリストとのカンファレンスコールで
- As discussed last quarter and in the more recent investor conferences, we’ve announced price increases in the U.S. on portions of our Baby Care, Feminine Care, Adult Incontinence, Family Care, Home Care and Fabric Care businesses
前四半期および最近の投資家会議(注:2021年の株主総会が10月12日に実施されている)で議論されたように、米国ではベビーケア、フェミニンケア、成人失禁、ファミリーケア、ホームケア、ファブリックケアの各事業の一部で値上げを発表しました - In the last few weeks, we’ve also announced to retailers in the U.S. that we will increase prices on segments of our Grooming, Skin Care and Oral Care businesses
過去数週間で、米国の小売業者に対してグルーミング、スキンケア、オーラルケア事業のセグメントの価格を引き上げることも発表しました
と製品値上げにも言及している。
年初来の株価の推移を市場(S&P 500)と比べてみると
市場に比べると低パフォーマンス。
前四半期のまとめの際に
「とはいえ直近ではインフレによるコスト高をどう吸収していくかが課題となるだろうから、やはり株価上昇にはあまり期待しない方が良い気がする。」
と書いていたがそれが現実となってしまった感じ。ここしばらくP&G株はこのような状況が続くような気がする。