はじめに
2021年4月19日には自分が所有しているコカ・コーラ(KO)の2021年第1四半期決算発表があった。
発表後の株価をちらっと見たところ大きな変化は無かったようだし、同日のアルトリア・グループ(MO)の下落が酷かったのでその確認や翌日のフィリップ・モリス(PM)の決算を優先してしまって遅れたが、コカ・コーラの決算内容について確認し整理しておく。
コカ・コーラ(KO)2021年第1四半期決算概要
以下の内容はコカ・コーラの企業サイトより引用・抜粋。
ちなみに今回は前回まであったプレゼンテーションスライドが提供されていない。アナリストとのカンファレンスコールもプレゼンテーションスライド無しで行った模様。理由は不明。
- 2021年第1四半期の純売上高(Net Operating Revenues)は90億2000万ドルで前年同期比5%増加
- 2021年第1四半期の一時項目を除く1株当たりの利益(Comparable Diluted Net Income Per Share)は0.55ドルで前年同期比8.0%増加
2021年第2四半期の考慮事項としては為替の追い風(currency tailwind)が、Comparable net revenuesで3~4%、Comparable EPSで5~6%あると想定している。
2021年通期の見通しはいずれもNon-GAAPベースで、
- Organic Revenue(本源的売上高):一桁台後半の成長率
- Comparable EPS(調整後EPS):一桁台後半~二桁台前半の成長率
- Free Cash Flow:少なくとも85億ドル
と見込んでいる。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2021年第1四半期の純売上高(Net Operating Revenues)は90億2000万ドルで、市場予想の84億6400万ドルを下回っている
- 2021年第1四半期の一時項目を除く1株当たりの利益(Comparable Diluted Net Income Per Share)は0.55ドルで、市場予想の0.50ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算発表を受けてコカ・コーラの株価は、
0.60%の上昇。コカ・コーラだけで見ると普段の株価の動きの範囲内でパッとしないようにも思えるが、同日のダウ工業平均が0.36%、S&P 500が0.53%、NASDAQが0.98%いずれもマイナスであった事を考えるとこれはそれなりに良かったのではないだろうか。
全体的にはEMEA(Europe, the Middle East and Africa)地域の落ち込みをアジア太平洋地域がカバーした感じになっている(北米・南米はまちまちだがそれ程変わらず)。
また、前回の四半期決算時には確認を忘れていた米国歳入庁(IRS)との税務訴訟に関しては、
- there are no material updates since our last report
前回のレポート以降重要な更新はありません
としている。
この問題に関する前回のレポート(四半期決算資料)での言及を簡単にまとめると、
- IRSとの進行中の税務訴訟に関する遡及的納税義務は違憲であり、最終的には勝訴すると考えている(ちなみに税務裁判所は今のIRSを支持)
- 潜在的な債務(Potential liability)の全額に対する引当金は計上していない(not recording a provision for the full amount of the potential liability)が、税金の影響を考慮し2020年12月31日に終了した事業年度に4億3800万ドルの税引当金を計上している(recorded a tax reserve of $438 million)
- また米国税裁判所の見解が最終的に支持される可能性を考慮し、潜在的な債務(Potential liability)を120億ドルと見積もっている(calculated the potential liability of approximately $12 billion)
といった具合になる。
すっかり忘れていた米国歳入庁(IRS)との税務訴訟だが、コカ・コーラ株は報道のあった2021年1月に大きく下げたものの、その後は2月の決算発表では目立つほどの下落はなく乗り切り、今回の決算も予想されていた以上で株価はここ最近右肩上がり。
アナリストとのカンファレンスコールでもIRSとの訴訟に関する質問は無かったのだが、これが既にこの問題を織り込み済みなのか、それともセンシティブな問題で回答が得られないため質問が無かったのかは微妙な所で今後の懸念材料ではある。
またCOVIDの影響に関してはアナリストからの質問もあったが、基本的にはワクチン接種の進展を鑑み、2021年の通期予想にも自信を持っている(we remain confident in our full year guidance)としているので、COVIDに関する懸念は織り込み済みということだろう。
IRSとの訴訟、COVIDといった懸念はあるが、このまま業績・株価の右肩上がり傾向が続いてくれることを期待したい。