はじめに
本日2021年3月29日(月)は野村ホールディングスが米国子会社と取引先との間で多額の損害が発生する可能性(試算では20億ドルとのこと)があると日本で報じられ、野村ホールディングスの株価は1日で16.33%の大幅下落。
自分の投資は米国株なので関係ないだろうと思っていたのだが、米国での報道をよく見てみると、もしかすると自分の米国株資産にも影響があるのかもしれない事に気が付いた。
そこで今回の事象とそれがなぜ自分の米国株資産に影響を及ぼしかねないかについて整理しておくことにする。
野村の損失可能性について
以下は野村HLDの発表より引用・抜粋。。
- 2021年3月26日、当社の米国子会社において、米国顧客との取引に起因して多額の損害が生じる可能性のある事象が発生しました
- 本件について、損害の見込み額および当社連結業績に与える影響を精査しておりますが、当社からの当該顧客に対する請求額は3月26日時点の市場価格に基づく試算で約20億ドルあり、本取引に関連するポジションの処理や市場価格の変動等により、当該金額は今後増減する可能性があります。
自分が最初見たニュースは概ねこの情報だったので、自分には関係ないだろうと思っていた。
米国での報道
以下は主にブルームバーク、ロイターの報道より引用・抜粋。
- Archegos Capital Management LLCは先週クレディ・スイスのマージンコール*に応じることが出来なかった
- このためArchegos Capital Management LLCの保有資産200億ドルに対して強制清算(forced liquidation)の措置が取られる
- 強制清算に伴い複数の銘柄が200億ドルのブロックトレード*の影響で急激に値下がり。具体的には以下など。
- ViacomCBS(VIAC):-27.31%(26日)
- Discovery(DISCA):-27.45%(26日)
- Tencent Music Entertainment Group(TME):-27.08%(24日)
- Baidu(BIUD):-8.54%(24日)、-14.47%(25日)
- Archegos Capital Management LLCはデフォルトの可能性
- Archegos Capital Management LLCと取引のある金融機関として報道されているのは以下
- Nomura Holdings Inc.
- Credit Suisse Group
- Morgan Stanley
- Goldman Sachs
- Deutsche Bank
- UBS Group
*マージンコール(Margin Call):
信用取引の顧客に対し、最低証拠金(minimum maintenance)に達する十分な資金または株式を口座に預け入れるように請求すること
*ブロックトレード(Block trade):
大口投資家が証券会社を通じて株式を一度に大量の相対取引で売買すること
米国株への影響可能性
米国株への影響に関しては不明な点が多いのだが、以下の点が考えられる。
- Archegos Capital Management LLCの保有資産は既に全て売却されたのか
金曜日の時点で全て売却されているのであれば問題はないのだが、まだ途中であるとすれば今後Archegos Capital Management LLCが保有していた銘柄が大幅下落する可能性がある。
- Archegos Capital Management LLCの保有資産が200億ドルで済むのか
報道によるとArchegos Capital Management LLCはレバレッジを効かせた取引により増大している可能性があるので、保有資産が200億ドルを超えている可能性もある。レバレッジの大部分はスワップを通じて銀行によってなされており、Archegos Capital Management LLCは規制当局への提出書類で保有を開示する必要がなかったため、その規模感がまだ不明。
- Archegos Capital Management LLCの保有資産売却に伴い、ファンドのポジション管理が加速する可能性
今回の200億ドルの資産売却を受けてファンドのポジション管理が加速することで、市場全体への影響が大きくなる可能性もある。ただ先週は先に挙げた個別銘柄の大幅下落はあったものの市場全体がそれに引っ張られた感じはない。
- Archegos Capital Management LLCと他にも取引をしていた金融機関が増える可能性
自分が所有しているシティグループ(C)、JPモルガン・チェース(JPM)がArchegos Capital Management LLCと取引をしていたという報道は無いが、取引をしていないと明言されてもいない。
まとめ
整理してみた結果、今後詳細が明らかになるにつれてどうなるかはまだ定かではないものの、今のところは自分の米国株資産への直接的な影響は避けられそう。
しばらくはこのニュースの続報が出るに伴って市場が上下する様な気はするが、その程度であれば御の字であろう。
望むらくは今後の報道で自分の所有しているシティやJPモルガンがArchegos Capital Management LLCとの取引で大きな損失といった事態や、Archegos Capital Management LLCが大口で保有していた銘柄に自分の所有銘柄が含まれていないことを期待したい。本当に。