はじめに
昨日2020年11月23日米国市場閉場後のゼネラル・エレクトリック(GE)株価は、
3.18%の上昇で10.07ドルで取引を終えている。これは2020年3月5日の終値10.08ドル以来の10ドル台。
直近1ヶ月のGE株のパフォーマンスを見ると、
市場を大幅に上回るパフォーマンスとなっている。以下に11月に入ってからのGE株の上昇について簡単に整理しておく。
11月に入ってからのGE株の上昇要因
個人的には以下の3点が大きいと感じている。
- コロナワクチンの有望な結果が報道されている事
- ボーイング737MAXの運航再開報道
- アナリストの目標株価引き上げ
1点目のコロナワクチンに関する報道はGE以外の銘柄も同様でGEに限定されたものではないのだが、これがなければGE株を含めた市場全体が上昇基調にはならなかったと思われる。ただ個人的には欧米でのコロナ第2波の拡大を考えると、GEに限らず市場が上向きなのは今一つ不安感がある。
2つ目のボーイング737MAXの運航再開については、GEの航空機事業であるGE Aviationが前年比で大きく落ち込んでいるのは737MAXの生産・引き渡しが滞っている事に影響されている部分が大きい。今後の運航再開に伴う引き渡し・生産が順調に進めばGE Aviationの業績も改善されることが期待されるため、11月に入ってからGE株が上昇している一因だろう。
3番目の目標株価引き上げについては、
ゼネラルエレクトリック株2020年11月13日の5%超上昇まとめ
でまとめている。コロナワクチン報道以前の2020年第3四半期(6~9月)決算でインダストリアル事業のフリーキャッシュフロー(純現金収支)が黒字(流入)になった事が好感されている(市場予想は赤字だった)。
そしてもしかすると、更なる上昇要因になるかもしれない報道が昨日なされている。昨日のGE株の上昇にも寄与しているのかもしれない。以下にその内容をまとめておく。
COVID-19患者の気管内チューブ配置の評価を支援する最初のX線AIを発表
以下はGEの企業ページより引用・抜粋。
- GE Healthcare today announced a new artificial intelligence (AI) algorithm to help clinicians assess Endotracheal Tube (ETT) placements, a necessary and important step when ventilating critically ill COVID-19 patients.
GE Healthcareは本日、臨床医が気管内チューブ(ETT)の配置を評価するのに役立つ、新しい人工知能(AI)アルゴリズムを発表しました。これは、重症のCOVID-19患者を換気する際に必要かつ重要なステップです - The AI solution is one of five included in GE Healthcare’s Critical Care Suite 2.0, an industry-first collection of AI algorithms embedded on a mobile x-ray device for automated measurements, case prioritization and quality control.
AIソリューションは、GE HealthcareのCriticalCare Suite 2.0に含まれている5つのソリューションの1つです。これは、自動測定、ケースの優先順位付け、品質管理のためにモバイルX線デバイスに組み込まれた業界初のAIアルゴリズムのコレクションです - Up to 45% of ICU patients, including severe COVID-19 cases, receive ETT intubation for ventilation. While proper ETT placement can be difficult, Critical Care Suite 2.0 uses AI to automatically detect ETTs in chest x-ray images and provides an accurate and automated measurement of ETT positioning to clinicians within seconds of image acquisition, right on the monitor of the x-ray system.
重度のCOVID-19症例を含むICU患者の最大45%が、換気のためにETT挿管を受けています。適切なETTの配置は難しい場合がありますが、Critical Care Suite 2.0はAIを使用して胸部X線画像のETTを自動的に検出し、X線システムのモニター上で画像取得から数秒以内にETTの位置を正確かつ自動で測定します
同じ発表の中でDr. Amit Gupta氏(Modality Director of Diagnostic Radiography at University Hospital Cleveland Medical Center and Assistant Professor of Radiology at Case Western Reserve University, Cleveland)は、
- Altogether, this technology is a game changer, helping us operate more efficiently as a practice, without compromising diagnostic precision.
全体としてこのテクノロジーはゲームチェンジャーであり、診断の精度を損なうことなく、実務をより効率的に運用するのに役立ちます
と述べている。
これが本当に「game changer」足り得るものならば、GEに関係なく素晴らしいものなのだが。
まとめ
11月のGE株の上昇要因と今後GEの株価に寄与しそうなGE Healthcareのソリューションについて触れてみた。
昨日のGE株の上昇はGE Healthcareのソリューション発表だけではない気がする。というのも昨日のボーイング(BA)株が、
5.97%上昇しているので、GE株の上昇もボーイング株の上昇につられた部分があると思われる。本当にGE Healthcareのソリューションが有効なのかについては、GEからの発表だけでなく第3者のコメントが欲しいところ。
年初来のGE株のパフォーマンスを見てみると以下の様になる。
2月下旬のコロナ本格化以降は市場に比べて低調なパフォーマンスが続いていたのだが、10月、11月になって市場を上回るパフォーマンス。年初来ではまだマイナス10%近いのだが、上に挙げたようなここ最近の上昇要因を考えるとネガティブな見方が多い自分でも多少の期待感は出てきた。
ただ、自分が予想・期待すると残念ながら裏切られる事が非常に多いので、過度な期待はせずに気長に待つとしよう。早く四半期配当が現在の@0.01ドルから増配してもらいたいのだが・・・。