はじめに
随分遅れてしまったが2020年10月29日に発表されたデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)の2020年第3四半期決算を確認して整理しておく。
2020年第3四半期決算概要
以下の情報はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトより引用・抜粋。
- 2020年第3四半期の総売上(Net Sales)は50億9600万ドル、前年同期は54億2600万ドルで前年同期比6%減
- 2020年第3四半期の継続事業による1株当たり損失(Income(Loss) per common share from continuing operations)は0.11ドルの損失、前年同期は0.49ドルの利益
1株当たりの損失に関しては、
- This decline is mostly attributable to non-cash impairment charges associated with Non-Core businesses, higher merger-related amortization expense and lower segment results
この減少は主に、非中核事業に関連する非現金減損費用、合併関連の償却費の増加、セグメントの業績低下に起因します
としており、あまり気にしなくてよいのかもしれない。セグメント業績の低下は気に掛かるが、このコロナ状況下では致し方ないだろう。
- 2020年第3四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.88ドル、前年同期は0.96ドルで前年同期比8%減
以下は各事業部ごとの内容。
Electronics & Imaging部門:
売上高は前年比7%増の10億400万ドル。前四半期に続きセミコンダクターテクノロジーが堅調で、前年比一桁台後半の成長だったことが寄与している。
Nutrition & Biosciences部門:
売上高は前年比4%減の14億6700万ドル。純粋に販売・出荷量が前年比で振るわなかった事が原因としている。
Transportation & Industrial部門:
売上高は前年比14%減の10億4500万ドル。5%の価格低下と、自動車製造台数の減少に伴う9%の販売量の減少が主な原因としている。一方で上半期に見られた安値からは回復していると述べている。
Safety & Construction部門:
売上高は前年比6%減の12億4900万ドル。10%の出荷量減少が影響。
財務状況については以下の通り。
ここでは
- No debt repayments until 4th quarter 2023 other than those expected to be satisfied with proceeds from N&B/IFF transaction
N&B/IFFトランザクションからの収入で足りると予想されるものを除き、2023年第4四半期まで債務返済はありません
というのが大きいだろうか。N&B/IFFトランザクションと言っているのは以前にまとめた
IFFがデュポン(DD)の食品原料部門買収発表(2019/12)
のこと。この売却により73億ドルが見込まれている。また現在のスケジュールは以下の通りで
2021年第1四半期のクローズに向けて予定通り進んでいる。
また今回は2020年の通期目標を発表しており、
- 売上(Net Sales):201億ドル~202億ドル
- Adjusted EPS(調整後1株当たり利益):が3.17ドル~3.21ドル
としている。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2020年第3四半期の総売上(Net Sales)は50億9600万ドル、市場予想の50億4700万ドルを上回っている
- 2020年第3四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.88ドル、市場予想の0.77ドルを上回っている
- 2020年通期の売上(Net Sales)見通しは201億ドル~202億ドル、市場予想は201億2000万ドル
- 2020年通期の調整後EPS見通しは3.17ドル~3.21ドル、市場予想は3.03ドル
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてデュポンの株価は、
3.67%の上昇。同日のダウ工業平均が0.52%、S&P 500が1.19%、NASDAQが1.64%それぞれ上昇しているのを差し引いてもまずまずの上昇具合だったと言える。市場予想を上回る堅調な決算結果が評価されたのだろう。
年初来のパフォーマンスを見てみると、
市場に比べると悪いのだが、一応3月下旬の底からは緩やかに回復している。このまま市場並みとは言わないまでも、株価が堅調に推移してくれればいいのだが。