ボーイング(BA)2020年第1四半期決算発表(2020/4)

はじめに

昨日2020年4月29日は、自分が所有しており昨年来の737MAXの問題に加えて、新型コロナウイルスの影響による航空需要の減少により、株価低迷が続いているボーイング(BA)の2020年第1四半期決算発表があった。

3月には配当停止を発表し、今週の年次株主総会ではその状況が3~5年は続くだろうとしており、フリーキャッシュフロー、737MAXの運航再開、従業員の削減など、様々な問題が山積みの状況でどのような発表がなされたのか、以下にまとめて整理しておく。


2020年第1四半期決算発表

以下の内容はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2020年第1四半期の売上高(Revenues)は169億800万ドルで、前年同期比26%減少
  • 2020年第1四半期の純損失(Net (Loss)/Earnings)は6億4100万ドルの損失、前年同期は21億4900万ドルの純利益
  • 2020年第1四半期の一株当たり損失((Loss)/Earnings Per Share)は1.11ドルの損失、前年同期の一株当たり利益は3.75ドル
  • 2020年第1四半期の調整後一株当たり損失(Core(Loss)/ Earnings Per Share)は1.70ドルの損失、前年同期の一株当たり利益は3.16ドル

  • 2020年第1四半期のフリーキャッシュフローはマイナス47億3000万ドル、前年同期はプラス22億8700万ドル

キャッシュフローについてはアナリストとのカンファレンスコールで色々質疑があったのだが、最終的には最高財務責任者(CFO)のGreg Smith氏が、

  • Our current forecast based on all the rate discussions we just had today is a positive 2021 cash flow.
    本日行ったすべてのレートディスカッションに基づく現在の予測では、2021年のキャッシュフローはプラスです

としている。

  • 2020年第1四半期の商用機の引き渡しは50件、前年同期は149件で66%のマイナス

商用機に関しては以下の発表があった。

737MAX機については、規制当局による承認を経て第3四半期にも出荷を再開できる見込みとしており、生産は低稼働率で第2四半期に再開し、段階的に生産を増やして2021年は月31機とする方針を示している。

一方で787型機のひと月あたり生産機数を2020年に10機、2022年までに7機に削減する計画を新たに発表。777/777Xの生産も月5機から2021年に3機に削減するとしている。

2020年の通期見通しや、第2四半期の見通しについては四半期決算資料では言及されず。

決算発表後のアナリストとのカンファレンスコールで人員削減目標が具体的な数値として挙げられていた。以下は最高経営責任者(CEO)David L. Calhoun氏の発言。

  • At this time, we are taking action to reduce our workforce by approximately 10% of our roughly 160,000 employees by end of this year, through the combination of voluntary layoffs, attrition and involuntary layoffs as necessary. This is 10% of the total for our enterprise.
    現時点では、自発的解雇、離職および必要に応じて非自発的解雇を組み合わせることにより、今年末までに約16万人の従業員の約10%の人員削減に取り組んでいます。 これは、企業全体の10%です

決算発表資料で、

  • The company also announced a leadership and organizational restructuring to streamline roles and responsibilities, and plans to reduce overall staffing levels with a voluntary layoff program and additional workforce actions as necessary.
    同社はまた、役割と責任を合理化するためのリーダーシップと組織の再編を発表し、自発的なレイオフプログラムと必要に応じて追加のアクションにより全体的な人員配置レベルを削減する計画を立てています

としていたよりも踏み込んだ形となっていた。


まとめ

決算発表結果を受けて昨日のボーイングの株価がどうなったかというと、

5.86%の上昇。ダウ工業平均が2.21%、S&P 500が2.26%それぞれ上昇しているが、それを上回る上昇となった。ただし、時間内取引で一時12%上昇となった時点よりは下がっている。

ちなみに米国市場閉場後には、格付け会社S&Pがボーイングの格付けをジャンク(投機的等級)の1段階上に当たる「BBBマイナス」に引き下げている。理由としては

  • “Earnings and cash flow over the next few years are likely to be lower than we had previously expected due to the impact of the coronavirus on aircraft demand, with the pace of recovery in air travel still highly uncertain,”
    新型コロナの影響により、向こう数年間の利益とキャッシュフローが従来見通しを下回る可能性が高く、旅客回復のペースは依然として非常に不確実であるため

と説明している。

昨日の決算発表を受けて、ボーイングが決算発表で挙げていた前提が目論見通りにいけばいいけれども、やや不安が残る点が多いのではないかと個人的には思った。パッと思い付くだけでも、

  • 737MAXの運航再開時期
  • 航空業界への米政府支援
  • 新型コロナウイルスの収束とそれに伴う旅客需要の回復時期、度合い

といった想定が崩れると、ボーイングが意図しているシナリオには大きなズレが出てくるだろう。また、今回明確にされた人員削減の影響も気に掛かるところ。

自分の所有しているボーイング株の扱いについては、年次株主総会のまとめでも言及したが、少なくとも今回の決算発表を受けてどうするかの明確な解答は自分の中では出ていない。しばらく状況を注視して判断するべきだろう。手遅れにならないように…。

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