米銀大手が収入見通し引き下げで株価下落(2020/9)

はじめに

昨日のシティグループ(C)株の下落まとめの最後に、

「これで下げ止まるのか、それとも一層の株価下落という事になるのか、ということ。この点については何とも言えない。個人的には当然昨日でこれら報道が株価に反映されてくれていればと願うのだが。」

と書いたのだが願いむなしく、

9月15日米国市場後も7%近い下落。前日9月14日が、

5.59%の下落だったので、昨日はそれより酷い事になってしまった。この2日間のシティ株だけで、(3.34+2.85)×5,750株=35,592.5ドルのマイナス。日本円だと約370万円のマイナスかあ。

ただ、9月15日は自分が所有している銀行株であるJPモルガン・チェース(JPM)も

3%超の下落となっており、昨日はシティ株だけが下落した訳ではなく、ダウが0.01%、S&P 500が0.52%、NASDAQが1.21%それぞれ上昇したにも関わらず、米銀株が総じて下げていたようだ。

以下に昨日のシティ株を含めた銀行株の下落について整理しておく。


米国時間9月15日の米銀株下落の要因

調べる前に米銀株が下落した要因として想定したのは、

  1. 米連邦公開市場委員会(FOMC)の1日目の結果を受けての事
  2. シティに関しては昨日の下げで下落しきっていなかった

という2点。1に関しては、1日目という事で会合の内容はまだ分からずで、あまり影響がなかった様に思える。2に関してはその通りだったという事なのだろう。

この2点だけだとシティの下落は納得できるのだが、JPモルガンの下落には説明がつかない。そこで調べてみると、ロイター通信の記事が上手くまとまっていたので、それを引用・抜粋させてもらう。

  • Executives at the top U.S. banks warned investors this week that 2020 revenue will be lower than expected due to weak loan demand and an uptick in repayments during the coronavirus pandemic.
    米銀大手の幹部らは2020年の収入について、新型コロナウイルスのパンデミックを背景にした融資の需要低迷や返済増加により、従来予想を下回るとの見通しを今週投資家に対して警告した
  • Bank of America , the second-largest U.S. bank by assets, said it found little appetite for new loans when it surveyed its corporate clients twice this year.
    “Most of them are saying, ‘We don’t need money,'” CEO Brian Moynihan said in a virtual investor conference on Tuesday. “We tended not to believe them, honestly.”
    資産で全米2位のバンク・オブ・アメリカ(BAC)は今年2回実施した法人顧客調査で新規融資への需要がほとんどないことが分かったという。同行のBrian Moynihan最高経営責任者(CEO)は15日火曜日に行われたvirtual investor conferenceで、「資金は必要ない」という回答がほとんどだと述べた。「正直に言って、彼らを信じない傾向がありました」
  • But loan balances at the Charlotte-based bank dipped below pre-pandemic levels earlier this month, potentially setting up its loan book to shrink in the third quarter for the first time since 2015, according to an investor presentation and Refinitiv data.
    しかし、投資家向けプレゼンテーションとRefinitivのデータによると、同行(バンク・オブ・アメリカの本社がCharlotte)の融資残高は今月に入り、新型コロナのパンデミック前の水準を下回っており、第3四半期には2015年以来初めて減少する可能性があります
  • Consumers with additional cash from government stimulus programs and from spending less have used some of that money to pay off debt. In addition, large corporate clients have raised cash from the capital markets, which have been propped up by the Federal Reserve, rather than banks.
    消費者は政府の支援金や支出削減で捻出した資金の一部を債務の返済に充てています。これに加え、主要法人顧客は銀行からではなく、米連邦準備理事会(FRB)が支える資本市場で資金を調達しています
  • The shifts caused Bank of America to slash its outlook for quarterly net interest income by roughly $400 million.
    こうした動きを受け、バンク・オブ・アメリカは第3四半期の純金利収入見通しを約4億ドル引き下げました
  • In the same conference, JPMorgan Chase & Co trimmed its outlook for annual net interest income by $1 billion, citing an expected drop in loan demand.
    同じ会議でJPモルガン・チェース(JPM)は、年間の純金利収入見通しを10億ドル引き下げ、融資需要の減少が見込まれるためとしました
  • Sluggish loan demand is the latest headwind for banks that have been hit by prospective costs for bad loans in the recession.
    融資需要の低迷は、リセッション(景気後退)で不良債権引当金の積み増しを余儀なくされている銀行にとって新たな逆風となっています
  • The Federal Reserve is holding interest rates near zero to support the economy, but that also means banks earn less from loans.
    FRBは金利をゼロ付近に維持し景気を支えているが、銀行にとっては融資による金利収入の減少につながっている

勿論ロイター通信の記事が昨日の銀行株下落要因の全てでは無いと思うのだが、この記事自体は自分に取って腹落ちする内容だった。昨日まとめた際に言及したようにシティも具体的な数値は出さなかったが減収が予想されるとしている。

また、シティに関しては14日の米国市場閉場後に、週内に人員削減を再開し全世界の従業員の1%未満が削減対象となると発表していたが、最近新規採用を特に米国で行ったため従業員総数は減少しない見込みとの事。恐らくこれはあまり株価には影響していないだろう。


まとめ

9月14日のシティ、15日の米銀株の下落原因については納得できたのだが、問題はこの先どうなるか。

まずは現地時間16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)2日目の結果とその後に発表される政策金利が銀行株に影響を及ぼすだろう。色々予想はされているがここでは割愛。ただ、先月にまとめた

2020/8/27のFRBインフレ目標に関する政策変更について

の内容がどこまで具体化されるのか。上記の際は政策変更中心で具体的にどうするかは不明瞭だったので、その内容次第では市場に大きな影響が出る可能性もある。

そして気が付けばシティそしてJPモルガンの2020年第3四半期決算発表(2020/10/13)まで1ヶ月を切っている。バイアンドホールド/長期投資なので実際に売買することは無いだろうが、銀行株に対する自分の考えがある程度整理されるのはその際なのだろう。

ただ、その後11月には米大統領選があるので、それも市場の変動要因となるだろうから、まだ続いているコロナの影響もあり、しばらくは落ち着かない市場の動きになりそうな気がする。

早くコロナウイルスに対するワクチンが開発されて、本格的な経済回復をして欲しいものだ。

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