はじめに
3月10日にエチオピア航空が運航するボーイング737MAX型機が、アディスアベバ空港を離陸した直後に墜落して搭乗していた157人が死亡したことを受けて、3月11日に株価が急落したボーイング(BA)なのだが、何故か株価が下げ止まっている。3月12日に整理した時点から追加情報が出ており、どちらかというとネガティブな情報に自分には思えるのだが、何故か株価が下げ止まっている様に見えるので、その点を整理してみる。
前回(3月12日)からの主な追加情報
明記のないものはロイター通信からの引用
以下は時系列も意識しているが、時差の関係もあるため順序が違う可能性もあるので注意。
3月12日(現地時間)
【EU】
- 欧州航空安全機関(ESSA)は12日(現地)、エチオピア航空が運航する米ボーイングの最新鋭旅客機「737MAX8」の墜落事故を受け、欧州連合(EU)域内における737MAX8型機および同9型機の運航を一時停止すると発表
- 「入手可能なあらゆる情報に基づき、影響を受ける2モデルの耐空性を確保するため、さらなる措置が必要と判断した」
【米国】
- 米連邦航空局(FAA)は12日、米国内では運航を停止しない方針を示した
- FAAのエルウェル長官代行は「調査ではシステムの性能に問題はなく、航空機の運航を停止する根拠はない」と説明。海外の航空当局からこれまでに提供されたデータには対策を取る必要性を示すものはないとした
【その他】
- エチオピア、インドネシア、中国、英、ドイツ、フランス、アイルランド、オーストリア、ノルウェー、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、オマーン、インドなどが運航停止を発表
- アルゼンチンなど南米諸国は同機の運航停止を検討
3月13日(現地時間)
【韓国】
- 韓国の格安航空会社(LCC)イースター航空は13日から、保有するボーイングの新型旅客機「737MAX8」2機の運航を一時停止すると発表
【ノルウェー】
- 航空会社ノルウェー・エアシャトルは、米ボーイングの最新鋭旅客機「737MAX8」の運航停止を巡り、運航停止で生じる売上高の損失や追加費用に対する補償をボーイングに求める方針
- 同社はボーイングの737MAXを18機運航している
- ノルウェー・エアシャトルのウェブサイトによると、13日には30以上のフライトがキャンセルされた。大半はオスロ、ストックホルム、その他北欧の都市から離陸する予定だった
【カナダ】
- カナダ政府は13日、エチオピア航空が運航する米ボーイングの最新鋭旅客機「737MAX8」の墜落事故を受け、安全性に懸念があるとして、737MAX機の運航を停止すると発表
- ガルノー運輸相は記者会見で、カナダにおける737MAX8と737MAX9の発着便および飛行を停止すると述べた。即時適用する
- 運輸相は、衛星データによれば、エチオピア航空の墜落事故と昨年のインドネシアでのライオン・エア機墜落事故との間に類似点が見られるとし、決定的ではないが、安全性の基準値を超えていると判断したとの見方を示す
【米国】
- トランプ米大統領は13日、エチオピアで墜落事故を起こしたボーイングの737MAX8型機と、737MAX9型機の運航を一時停止するよう指示すると発表
- さらに、米連邦航空局(FAA)が同日中に、737MAX8に関する発表を行うことを明らかにした
【米国】
- 米政府は13日、エチオピアで墜落事故を起こしたボーイングの旅客機737MAXの運航を一時停止すると発表した。安全性に対する懸念を理由に挙げた。欧州連合(EU)や中国など各国の間で運航停止の動きが広がるなか、米国も同様の措置に踏み切った
- 米連邦航空局(FAA)はトランプ大統領による運航停止の命令を受けて声明を出し、10日にエチオピアで同機が起こした事故の現場から得た新たな証拠や衛星データに基づく決定だと説明
- FAAは2013年にもバッテリー発火問題を受けてボーイングの787型旅客機(ドリームライナー)の運航を一時停止しており、ボーイング機に対する運航停止措置は過去6年間で2度目
- FAAのダニエル・エルウェル長官代理は記者団に対して、ボーイングが進めている737MAXのソフトウエア修正は完了までに数カ月かかると説明。運航停止がどの程度続くのかは分からないと述べた
- ボーイングは同社機は安全だとあらためて主張しながらも、「同機の安全性について一般の利用者に安心してもらうため、慎重に慎重を重ねた措置として、FAAに世界中にある737MAX機全371機の運航を一時停止するよう提言することを決意した」と表明
3月14日(現地時間)
【日本】
- 国土交通省は14日、エチオピアなどで墜落事故を起こしたボーイングの737MAX8型機と、737MAX9型機の日本への乗り入れを停止すると発表
【ロシア】
- ロシア航空当局は14日、10日に墜落事故を起こした米ボーイングの新型機「737MAX」の運航を停止した。インタファクス通信が、同当局トップの話として伝えた
- すでにロシアのS7航空は13日から737MAX8の運航を停止すると表明していた
株価推移
以下はここ数日のBAの株価チャート。
3月11日の開場と共に急落するものの、11日は後半持ち直して終了。5.33%の下落。
3月12日も下落。前日より下落率は大きく6.15%の下落。
3月13日はアメリカも737MAXの運航停止を発表して、一時大きく下落したものの、終値ではなぜか持ち直して0.46%の上昇とほぼ変わらず。
下げ止まりの理由
上記の様な株価推移で、アメリカも運航停止を発表したにもかかわらず13日時点でBAの株価が下げ止まった(様に見える)理由は、今一つ自分にはピンとこない。
米国のヤフーの記事などを見るとどうも、
- 運航停止によりボーイングは問題解決の時間が得られる
- さらなる事故発生の可能性を回避できる
という点で、ボーイングにとって最悪の局面は過ぎ去ったように思えるということらしい。(株式)市場が安定化しつつあるように見えることは、市場もそれを認めている証拠らしいのだが、自分に取ってはやはりピンと来ない。まあ自分の納得感は別として市場はそう動いているということで納得するしかないのか。ボーイングが737MAXの生産中止をしたなどの情報も聞かないし、引き渡しなども予定通りに行われるか不透明に思えるのだが…。
最後に情報として、米国時間13日時点でボーイング社をカバーしている証券アナリスト24人中、7人が「ストロングバイ」、12人が「バイ」、4人が「ホールド」、1人が「ストロングセル」で、同社の「セル」評価は約2年ぶりの事らしい。目標株価中央値は450.50ドル。前回の記事にも11日時点の証券アナリストの情報も簡単に載せている。個人的にはほとんど気にしないのだが、あくまで参考として。