クラフト・ハインツ(KHC)が会社分割を発表(2025/9)

はじめに

米国日付2025年9月2日(火)に、自分の所有銘柄であるクラフト・ハインツ(KHC)が会社分割を発表した。

7月にはウォール・ストリート・ジャーナル誌がクラフト・ハインツの会社分割検討を報道していたり、その後の四半期決算でも会社分割や部門売却の可能性を否定はしていなかったことから驚きはないが、以下発表された内容について確認し整理しておくことにする。


2025年9月2日のクラフト・ハインツ発表概要

以下はクラフト・ハインツの企業ページより引用・抜粋。

  • 本日クラフト・ハインツは、取締役会が非課税スピンオフを通じて当社を2つの独立した上場企業に分割する計画を全会一致で承認したことを発表
  • 分割により誕生する企業(社名は後日正式決定)は以下の通り

    • Global Taste Elevation Co.

      • 2024年の売上は154億ドル、Adjusted EBITDAは40億ドル
      • 30億ドル規模のブランドであるHeinz、Philadelphia、Kraft Mac & Cheeseが含まれる
      • 売上の約75%がソース、スプレッド(バター、ジャムなどの塗物)、調味料
      • 魅力的なカテゴリーと地域において成長を促進していく
    • North American Grocery Co.

      • 2024年の売上は104億ドル、Adjusted EBITDAは23億ドル
      • 30億ドル規模のブランドであるOscar Mayer、Kraft Singles、Lunchablesが含まれる
      • 売上高の約75%は、それぞれのカテゴリーで1位または2位のブランドから得られている
      • 安定成長カテゴリーにおいて堅実なフリーキャッシュフローを生み出していく
  • この分割は、クラフト・ハインツの能力とブランドを最大限に活用しつつ複雑さを軽減し、両社がそれぞれの戦略的優先事項に資源をより効果的に配分することを目指している
    • ビジネスのあらゆる分野に適切なレベルの注意とリソースを投入し、それぞれのブランド ポートフォリオがその潜在能力を最大限に発揮できるようにする
    • 運用の複雑さを軽減し、さらなる効率化と業界トップクラスの利益率を実現する
    • それぞれの戦略的目標に基づいて資本配分をカスタマイズし、パフォーマンスを加速し、財務の柔軟性を維持する
  • 両社は、有機的成長への投資、株主への資本還元、そして戦略的取引の検討に充てる十分な裁量的キャッシュフローを確保すると予想され、全体として現在の配当水準は維持される見込み
  • 経営陣は両社の投資適格格付けを維持するための資本構成を目指す
  • 分割は取締役会による最終承認、分離の非課税性に関する税務見解、適切な税務申告の有効性など、慣例的な条件が満たされた後、2026年後半に完了する予定
  • 資本構成、役員構成、社名、ブランド配分など各事業の具体的な事項については、後日改めてお知らせする

分割発表後のクラフト・ハインツ株価

上記発表があったクラフト・ハインツの9月2日の株価は

前日比6.97%の下落。同日の米国市場も

下落してはいるのだが、クラフト・ハインツの下落はそれを差し引いてもかなり大きい。

市場は効果が出るのに時間がかかる分割ではなく、より即効性のある売却を望んでいたようであること、またクラフト・ハインツの筆頭株主(27.5%)であるバークシャー・ハサウェイの著名投資家ウォーレン・バフェット氏がCNBCのインタビューに対して「disappointed(失望した)」、「両社を統合するというアイデア(2015年に旧クラフトフーズと旧ハインツが合併した際、バークシャー・ハサウェイと投資会社3Gキャピタルが主導)は決して素晴らしいものではなかったが、クラフト・ハインツを2社に分割しても問題は解決しない」と答えたことが下げ幅が大きかった理由だろう。

ただ翌日9月3日は

続落することなく多少回復したので、今回の分割発表に伴う下落は既に株価に吸収されたことを願いたい。


まとめ

以上クラフト・ハインツの分割発表とそれを受けての株価についてまとめてみた。

7月の2025年第2四半期決算をまとめた際には、

「今後のクラフト株だが、取り沙汰される分社化や事業売却等が発生すれば上昇する可能性もゼロではないが、通期見通しが低調であることを考えると上昇には転じにくいだろう。」

と書いていたが、分割を発表したにもかかわらず大幅下落と考えていたよりも悪い結果となってしまった。既述の通り分割では状況改善には不十分という見方が大勢を占めたようだ。

今回の発表では分割の具体的な内容は明らかになっておらず、今後発表される詳細な内容によって株価が持ち直して欲しいが、分割という基本方針が変わらない限りはそれも望み薄なのだろう。分割完了が2026年後半予定と時間があるので、可能性は薄いがそれまでに業績が持ち直すか、あるいは事業売却への方針転換などに一縷の望みをかけたいところだが、クラフト株の先行きは暗そうだ。発表にあったように配当だけは何とか現状レベルを維持してもらいたい。

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