はじめに
久しく自分の中では米国株式市場の懸念材料となっていた米2024年予算だが、掲題の通り3月23日にようやく可決された。
ここでは
米2024年度予算の4回目のつなぎ予算案が可決(2024/3)
でまとめた以降からの予算可決までの流れとその内容について整理しておく。
2024年3月22日に上下院で可決された米2024年度予算とその流れ
【2月29日(木)】
- 上下両院で4回目のつなぎ予算案が可決
- 農業、エネルギー・水、軍事建設・退役軍人、輸送・住宅・都市開発、商務・司法・科学、内務・環境の6分野は3月8日が期限
- 残りの金融・サービス、労働・保健・教育、国防、国土安全、立法、外交の6分野は3月22日が期限
【3月3日(日)】
- 米共和党のジョンソン下院議長と上院民主党のシューマー院内総務が3月8日期限の6分野に関する2024年会計年度(2023年10月~2024年9月)の予算案(約6500億ドル)で合意したと発表
【3月6日(水)】
- 米下院が賛成339、反対85で6分野の予算法案を可決
【3月8日(金)】
- 米上院が賛成75、反対25で6分野の予算法案を可決
- 下院の可決から日数が空いたのは、上院で一部の共和党保守派議員が移民問題などに関する採決を要求したため(いずれも否決)遅れが生じた
【3月9日(土)】
- バイデン大統領が6分野の予算法案に署名
【3月19日(火)】
- 米共和党のジョンソン下院議長と上院民主党のシューマー院内総務が3月8日に上下院で可決された以外の2024年会計年度の残り6分野の予算案で合意したと発表
- 国境問題対策と関連のある国土安全保障省への歳出を巡る協議が最後まで難航
- 本来は前週末に合意予定だった
【3月21日(木)】
- 3月19日の合意に基づき残り6分野の約1兆2000億ドルから成る歳出パッケージ案が発表
【3月22日(金)】
- 米下院が賛成286、反対134で残り6分野の予算法案を可決
- 共和党の保守強硬派グリーン議員は同党のジョンソン下院議長の解任動議を提出(ただし即時採決ではなく、審議時期は早くても4月想定)
- 米上院は22日の期限内に可決することが出来ず
- 民主党、共和党双方が11月の選挙に向けたメッセージや優先事項を反映させるために法案の修正を進めたため交渉が難航
- 上院議員は採決の実施について合意が得られないまま休会する準備を進め、その場合ホワイトハウス管理予算局(OMB)は土曜朝、主要な連邦機関の業務縮小を開始する予定
【3月23日(土)】
- 22日の期限切れ後のタイミングで上院の合意がまとまる
- ホワイトハウスは、議会が関連予算案を間もなく可決し、大統領が土曜日に法案に署名するという高い確信があるためOMBは閉鎖の準備を中止した、と発表
- 23日(土)中に大統領署名まで至らなければ、連邦政府の資金提供を受けるいくつかの政府機関が深夜以降に閉鎖されることになっていた
- 米上院が賛成74、反対24で残り6分野の予算法案を可決(午前2時)
- バイデン大統領が法案に署名(午前)
まとめ
結果的に政府機関の閉鎖は回避されることになった訳だが、一歩間違えれば2018~2019年以来の政府機関閉鎖という事態に陥った可能性もある。そしてその場合は米国債が格下げとなる可能性が高く(ムーディーズは2023年9月に、米国政府機関が一部閉鎖に追い込まれれば米国債の信用面でマイナスだとしていた)市場が混乱することになっていただろう。
とりあえず今回はギリギリで通過した米国予算だが、今年11月の選挙で大統領、上下両院の勢力図がどうなるか次第ではまた同じ様な事態に陥る可能性がある。予算を除いても11月の米選挙が市場にどういう影響を与えるのかが懸念される。何とか市場に悪影響を及ぼさない選挙結果となってもらいたい。