はじめに
2022年5月5日には6月の生産量を決定するOPECプラスの閣僚級会合が行われた。
2022年4月も3月に続いて終わらないロシアのウクライナ侵攻、アメリカに次ぐ原油消費国である中国でのCOVID-19拡大による都市のロックダウンなどがあり、OPECプラスがどう決断するのか気になっていたところだが、以下にその内容を確認して整理しておくことにする。
2022年5月5日のOPECプラス会合まとめ
以下は主にロイター、ブルームバークの報道より引用・抜粋。
【会合前】
- ロイター通信によると関係者の話として、OPECプラスは6月の産油量目標を日量43万2000万バレル引き上げることで合意する見込み
- 石油消費国はOPECプラスに対し、ロシア産原油の不買で生じた溝を埋め原油高によるインフレの緩和に貢献するよう求めている
- 4日に欧州連合(EU)が対ロシア制裁第6弾として、ロシア産原油の段階的輸入禁止、主要銀行や放送局への制裁措置を提案
- OPECのバーキンド事務局長は4日に開催されたOPECプラスの合同専門委員会(JTC)で、他の産油国がロシアからの原油供給を代替するのは不可能だと発言
【会合結果】
- 5日の閣僚級会合で6月も現行の緩やかな増産ペース(日量43万2000バレル)を維持することで合意
- ロシア産原油の供給阻害の責任はOPECプラスにはないとし、一段の増産呼びかけには応じず
- 中国の新型コロナウイルス感染拡大抑制に向けたロックダウンは原油需要見通しに対する脅威になっているとの見方
- 会合では対ロシア制裁措置については全く討議されず15分足らずで終了
- OPECプラスの次回会合は6月2日予定
まとめ
今回の会合も前回の会合と同様に、OPECプラスは石油消費国の呼びかけに応じず従来の段階的な原油増産を維持する形となった。前回の会合時に
「OPECプラスと欧米の間での温度差が鮮明になった気がする」
と書いたのだが、その傾向は会合で対ロシア制裁措置については全く討議されなかったことからも今月も続いている気がする。
会合結果を受けてのニューヨーク原油先物市場と米国市場(S&P 500)の動きを確認してみると
と会合結果が伝わった米国東部時間午前9時過ぎは供給不足の懸念から上昇したのだが、同日の米国市場が
大きく下落したこともあり、それにつられる形で上げ幅を縮小する結果となっている。
今後の原油先物価格だがEUのロシア産原油の段階的輸入禁止、中国でのCOVID-19に関連するロックダウンによる石油需要減などにより神経質な動きが続きそうな気がする。年初来のニューヨーク原油先物を見ても
3月中旬以降は方向感が定まらず、かつ上下動も大きいように見受けられる。
自分がそれなりに所有しているエクソン・モービル(XOM)株は以下の様にニューヨーク原油先物価格との連動性が高い(と自分は思っている)ので、
原油先物価格は高値安定して欲しいという思いがある一方、最近続いた所有銘柄の決算発表ではエネルギーコストの上昇が収益に影響を及ぼしていると言及している企業も多いので、今後はバランスの取れた原油先物価格で落ち着いて自分の所有銘柄への悪影響が極小化されて欲しいのだがなあ。