パラマウントによるワーナー買収提案準備との報道(2025/9)

はじめに

米国日付9月11日(木)は米消費者物価指数の結果に注目していたのだが、同日には自分の所有銘柄であるワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)が前日比30%近い上昇となっていた。

日中の動きを確認してみると

13時半を境に急上昇していることが判る。

調べてみると掲題の件がウォール・ストリート・ジャーナル誌に報じられたことがワーナーブラザース株急騰の要因だったらしい。以下、報道の内容について確認し、整理しておく。


2025年9月11日のウォール・ストリート・ジャーナル誌によるパラマウント・スカイダンスによるワーナーブラザース・ディスカバリー買収提案準備報道概要

以下は主に初報をしたウォール・ストリート・ジャーナル誌の記事より引用・抜粋。

  •  パラマウント・スカイダンス(PSKY)がワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)の買収を準備していると、この問題に詳しい関係者が語る
  • パラマウント・スカイダンスが検討しているワーナーブラザース買収提案の対象は会社全体で大半が現金で行われる見通し
  • 提案はスカイダンス代表のデイビッド・エリソン氏の一族(デイビッド・エリソン氏の父親は、オラクル(ORCL)創業者のラリー・エリソン氏)からの支援もあるとのこと
  • 実際の提案はまだ行われておらず、買収提案は決裂する可能性がある
  • パラマウントとワーナーブラザースはこの報道についてコメントせず

パラマウント・スカイダンス(PSKY)に関する補足

パラマウント・スカイダンス(PSKY)は2025年8月7日にスカイダンス・メディア(非公開企業)がパラマウント・グローバル(PARA)を84億ドルで買収合併し設立された企業。

上述した様にパラマウント・スカイダンス代表のデイビッド・エリソン氏はオラクル(ORCL)創業者のラリー・エリソン氏であり、資金力は豊富(2025年9月10日のオラクル株上昇によりラリー・エリソン氏は一時的にイーロン・マスク氏を上回る世界一の富豪となった。ただし取引終了時点では再びマスク氏が10億ドル上回った)。

また買収を進めるには反トラスト法(独占禁止法)問題をクリアする必要があるが、ラリー・エリソン氏はトランプ現大統領と長年良好な関係にあり、政治的な側面支援も期待できる。


アナリストらのコメント

 eMarketerのアナリスト、Jeremy Goldman氏

  • (パラマウントの動きについては)はっきりと予想されたわけではないが、誰もがこれまでの流れで何となく予兆を感じていた
  • WBDの株主にとってはケーブルテレビ事業と映画制作・動画配信事業の分割による再編計画が成果をもたらすまで待つよりも、手っ取り早く現金が得られる方がずっと魅力的だ

Huber Researchのアナリスト、Douglas Arthur氏

  • これは非常に可能性のある取引であり、理にかなっているとさえ言えるだろう
  • エリソン一族には現金がないわけではない。そして、スタジオとストリーミングの統合については誰もが話している

反トラスト法に詳しい法律事務所Doyle, Barlow & Mazardの弁護士Andre P. Barlow氏

  • 司法省は、合併が消費者の価格上昇につながるかどうか、クリエイターの交渉力を低下させるかどうか、コンテンツの多様性を低下させるかどうかを調査したいだろう
  • 同時にトランプ政権の司法省反トラスト局は、バイデン前政権時代の積極的な姿勢と比べると、この合併に対して寛大になる可能性もある
  • 合併により独立系メジャースタジオの数が減り、劇場公開、ホームエンターテインメント、コンテンツライセンスにおいて合併後の企業の市場シェアが拡大する。両社のケーブル事業が合併することで交渉力が高まり、ケーブル・プロバイダーとの広告料やキャリッジ料の引き上げにつながる可能性もある

まとめ

概ね市場は報道に対して好意的な反応を示し、パラマウント・スカイダンス株も

15%を超える上昇となっている。

報道のあった翌日の9月12日(金)の米国市場でもワーナーブラザースは

更に16.70%上昇、パラマウントもそれには及ばないものの

7.62%上昇と両社とも上昇幅を拡大している。

現時点ではあくまでパラマウント・スカイダンスがワーナーブラザース・ディスカバリーの買収を準備しているという関係者の発言に基づく報道だけで、パラマウントとワーナーブラザースは正式にコメントしていないため過度な期待を抱くべきではないだろう。

個人的には2022年4月にAT&Tから分離して以降株価が伸び悩み、直近の四半期決算でも下落が拡大、そして無配当が続いているワーナーブラザース株が現金買収されるのは悪くは無い(ただし今回の上昇を受けても自分の取得価額@27.68ドルからは30%超下落しているのだが・・・)。

いずれにせよ今後の動向には要注目。願わくば自分の取得価額に近い額で買収が成立すると有難いのだがなあ。

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